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2009年3月21日 (土)

自立しようではないか

David Orchard

thestarphoenix.com

2009年3月21日

30年以上にわたって、カナダは、"規制緩和" "自由貿易" "民営化"そして"グローバル化"という、しつこい宣伝にさらされ続けてきた。カナダ自身によるカナダ企業所有は、もはや時代遅れとなった。カナダ国民のために役立ってきた組織や、事業は、一掃されてしまった。"自由市場"こそが未来であり、いかなる"障壁"も非効率的な遺物だった。政府そのものが、できる限りすっかり破壊された。カナダは経済をアメリカと統合すべきであり、効率を更に良くするために、アメリカ・ドルを採用すべきだ。

これに反対する人々は、"ラッダイト" "社会主義者" "保護主義者"あるいは"外国人恐怖症"といって、あざけられた。1988年のカナダ-アメリカ自由貿易条約に対する戦いを率いていた自由党指導者ジョン・ターナーは、優勢な教義に挑戦したために、中傷された。

ほんの昨日まで、規制のない、ボーダーレスの世界という教義を説教してきた連中の一部は、今や180度転換した。ニューズウイーク誌の表紙は宣言している。"我々は今や社会主義者だ。" つい最近まで、カナダの金融セクターの更なる規制緩和を推進し、"保護主義者"や"社会主義者"の嘲笑攻撃を率いてきたハーパー首相とフラハティ・財務相が、カナダの独立した銀行や金融機関を今や自慢している。かつてカナダ市場などもはや不要だと語っていた、分離主義指導者達が、アメリカ経済に依存しているほぼ80%のケベックの輸出は、落ち放題に落ちていると警鐘を鳴らしている。かつて、アメリカ・ドル採用を主張していた連中が、今やカナダの金融制度を、世界の模範として賛美している。

わが国の主権と、わが国の制度の独立維持を目指して戦ってきた我々は、信じられない思いで見つめている。

ところが、不可解なことに、アメリカへの更なる統合という唱導は、未だに続いている。これを推進する人々は、バラク・オバマが大統領に選出されたのを千載一遇の好機と見なしている。元外務大臣デビッド・エマーソンは、カナダ人は今や「さほど抵抗しなくなっている」と語っている。カナダとアメリカの間に残っている「わずかな差異という暴虐」を非難して、今こそ 「本当に、... 経済、環境、および安全保障の北米共同体というずっと大きなビジョンを推進する機会だ」と語っている。

エマーソンと彼の仲間が厚顔にも提案しているのは、北米というまとまりでの国境、アメリカ外交政策の採用、カナダ主権の終焉だ。

わが国の資源と企業を、外国オーナーに手渡すことによって、カナダ人は何十億ドルも負担させられ、何千もの職を失った。今や、我々は驚いたことに"グローバル化した"世界が、後に続いて来てはいないことを知ったのだ。世界の石油の77%は、国営石油会社のもので、多国籍企業のものではないのだ。アメリカには、自給自足、国家的エネルギー安全保障、および自国内支配を目指す国家資源政策があるが、カナダにはない。カナダの指導者たちは、そうした考えそのものを恐れているかのようだ。それで、ケベック州民、大西洋岸のカナダ人、およびオンタリオ市民のほぼ半数が、輸入石油に依存しており、全てのカナダ人が、豊富に持ち合わせている資源に対して、言語道断な"世界価格"を支払っている。

この政策がゆきつく先は?

何十年も、資源という富が、アルバータ州から南へと、しかもただ同然の採掘権で、吸い取られ続けた後、州は赤字で、わずかな140億ドルの基金資産に手を着けようとしている。一方、同様に石油が豊富な状況にあるノルウェーは、利益を蓄え(およそ4000億ドルの基金)、産業もそのままノルウェーの手中に留めている。一体、生活水準がカナダのそれを越えているノルウェー人は、"ラッダイト" "保護主義者"、それとも、単に管理が上手かったのだろうか?

長年にわたって、私は、自前の造船業、東西エネルギー安全保証網、国産農業機械や製造基盤やカナダの最先端の自動車産業などを含む、我が国自身のニーズに基づいた、カナダの産業政策を主張してきた。(クリーンなカナダ国産車を育て上げる代わりに、カナダ政府は、カナダが支配しておらず、その実績は、最先端でも、クリーンでもない、外国に所有されている企業救済のために何十億ドルも与えようとしている。)

外国による所有に依存して勃興した大国など皆無なのだが、悲惨なカナダ鉄鋼業引き渡しのすぐ後であるにもかかわらず、カナダ政府は、カナダ小麦局を破壊し、西部の穀物取引小麦を、外国の手に引き渡すことを含め、更に多くの産業を、引き渡そうとしている。既に、カナダ製造業の利益の半分以上が、外国オーナーに渡っている。カナダ経済を、グローバリゼーションというすっかり信用を失ったイデオロギーの下で、意志薄弱に引き渡し続けるのではなく、カナダがもっているものを強化し、支配を拡大すべきなのだ。最初の一歩は、既存のニューファンドランド、マニトバ、BCおよびケベック水力発電 がカナダ中に流れることを可能にする東西スーパー配電網建設でも良いだろう。これによって、経費削減が実現し、企業を引き寄せられ、新規原発は不要になり、わが国がより強固な安全保障と独立の意識のもと、まとまる助けになるだろう。オンタリオ停電はもう起きなくなろう。

我々の両親たちは、トランス・カナダ・エアウエイズ(エア・カナダ)、世界で三番目に大きな輸送船団や、世界最速の迎撃戦闘機、アブロ・カナダ CF-105を作りあげた。彼らの両親は、カナダの偉大な鉄道と、全国的なインフラストラクチャーを作り上げた。カナダの建国者達は、誰の衛星国でもない強力な国を、思い描いていた。ルイ・リエルは、カナダのことを、世界で抑圧されている人々がやってこられる明確なビジョンを持った国として語っていた。連邦の父ジョルジュ・エティエンヌ・カルティエと、カナダ初代首相ジョン・A・マクドナルドは、カナダは大陸の大国になるだろうと考えていた。カナダ企業の売却を許し、社会機構を破壊し、アメリカ契約の些細な断片に、入札することを今やしおらしく懇願し、「北米共同体」の一部にさせてほしいとせがんでいる連中を見たら、彼らは一体なんと言うだろう? こうしたことが、まさにアメリカの力が頂点を過ぎ、急速に衰退している時に起きているが、指導力のひらめきさえあれば、わが国は浮上しはじめることが可能なのだ。

記事原文のurl:www.thestarphoenix.com/opinion/stand+feet/1408488/story.html

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国名を日本に変えるだけで、そのまま通じそうな文章。

同じアングロ・サクソンの国カナダに対する処遇がこうだ。まして属国に対しては..

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