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2009年3月29日 (日)

オバマ、アフガニスタン・パキスタンでの戦争エスカレーションを発表

wsws.org

Alex Lantier

2009年3月28日

バラク・オバマ大統領は、金曜日、アフガニスタンにおいて、アメリカの戦争を大規模に拡大し、パキスタン国内への更なる拡張することを発表した。

彼の発表は、アフガニスタンとパキスタンにおける、国務省、ペンタゴンとアメリカ諜報機関が参加する、アメリカ戦略の再検討結果として提示されたが、彼が意見を述べる間、すべての首脳陣が、オバマ背後の演壇上にいた。

オバマが発表した政策は、アフガニスタンのみならず、パキスタンにおいても、軍事的暴力の大規模な増強だ。特徴的に、オバマは、発表の前半を、専らパキスタン関係に費やし、彼の政権により、戦略を再検討した主要な結論は、アフガニスタン国境を越えて、戦争をより攻撃的に拡大することであるという合図を送った。

これは、何千人もの多大な数のアフガニスタン人とパキスタン人の死、何1000億ドルもの支出、何千人ものアメリカ人の若者が、南及び中央アジアにおける拡張した戦争で、殺し、殺されるために派兵されることを意味している。

オバマは、アフガニスタンにおける、アメリカの軍と治安上の立場が悲惨なものであることを認めた。"状況はますます危険になりつつある"と彼は述べた。"タリバンを政権から排除してから7年以上になるが、戦争は継続しており、武装反抗勢力は、アフガニスタンとパキスタンの一部を支配している。我が軍、我がNATO同盟諸国及びアフガニスタン政府に対する攻撃は、着実に増大している。そして最もつらいことに、2008年はアメリカ軍にとって、最悪の戦争の年だった。"

彼は更に続けた。"アフガニスタンには選挙によって選ばれた政府はあるが、腐敗によって傷つけられており、国民に対して基本的なサービスを提供できていない。経済は、犯罪行為を奨励し、武装反抗勢力の資金となる麻薬貿易の繁栄によってむしばまれている。"

オバマは、ブッシュ政権のイラクでの軍"増派"を思わせる、アフガニスタンとパキスタンでの計画の概要を述べた。ブッシュは、わいろと軍事的暴力の組み合わせを使い、アメリカ増援部隊を、アメリカの植民地的占領への反対を続けるイラク人殺害に向けながら、様々な民兵の指導者たちから、金で一時的な和平をあがなった。

オバマは、"イラクでは、我々はかつて敵だった人々に手をさしのべ、イラクのアル・カイダを標的とすることに成功した。我々はアフガニスタンでも、同様なプロセスを追求すべきだ。"と説明した。

オバマが既にアフガニスタンに展開した追加のアメリカ兵17,000人に加え、うわべは、アフガニスタン人新兵を訓練するためという名目で、更に4,000人を派兵する計画を発表した。目的は、訓練されたアフガニスタン軍兵士の数を、134,000人に、警官を82,000人に増やすことだと、彼は語った。

アフガニスタンの南の隣国で、アメリカの同盟国であるパキスタンを、アル・カイダ工作員やタリバン戦士にとっての"避難場所"と彼は呼び、アフガニスタンに国境を接するパキスタン人テロリストが、アメリカ人にとって"世界で最も危険な場所"となっていると主張した。

パキスタンは、ワシントンの、こうした勢力を破壊するという要求に対する大規模な軍事作戦を行い損ねており、アメリカはもはやこの状況を許容することはできないことを彼はほのめかした。"長年の、功罪相半ばする結果を前に、我々は彼等を自由にさせておくことはせず、また、できない。パキスタンは、自国内のアル・カイダや暴力的な過激派を根こそぎにすることに対する肩入れを示さなければならない。高位テロリストという標的に関する諜報情報が得られたら、何らかの形で、行動をとるよう主張する。"

パキスタン政権に対して、オバマは、軍事的脅威という"ムチ"とあわせて、"ニンジン"も提供しており、アメリカ議会に、パキスタン国内の道路と社会的インフラ建設用に、今後5年間、毎年15億ドルの支出を承認するように要求している。この資金は"我が国の未来に対する頭金"だと彼は表現し、"パキスタン政府は、これら避難場所の破壊における、強いパートナーでなければならない。"と主張した。

オバマとブッシュ間での政策の本質的な連続性は、オバマが演壇で発表するに当たって、わきをかためた人物たちによって、視覚的に象徴されている。一方には、ブッシュ時代にペンタゴンの長として働き、イラクでの兵員増派を監督した後も、国防長官として留任するようオバマが選んだロバート・ゲーツ、もう一方には、2008年の民主党予備選挙でオバマと戦ったヒラリー・クリントン国務長官。当時、オバマは、クリントンに対する大衆的反戦感情に訴えて、2002年の上院での投票で、彼女が、ブッシュ政権にイラクを侵略する承認を与えたことを批判した。

オバマは、ブッシュ時代、2007-2008年、イラクで司令官として、2008年秋以来、アメリカ中央軍を指揮したデビッド・ペトレイアス大将や、アフガニスタンで元司令官をつとめ、オバマによって駐カーブル・アメリカ大使となった、カール・アイケンベリー大将を含めたほかの何人かのブッシュ政権からの留任者の出席にも触れ、彼等に感謝した。

計画中のイラク駐留アメリカ軍削減が、アフガニスタンとパキスタンにおけるアメリカの軍事行動拡大を可能にするだろうとオバマは強調した。(オバマは、戦争に関するすべての発言において、この2か国を結びつけることを強調した。理由の一つはアメリカ世論を、対パキスタン軍事行動の拡大に向けるためだ)。実際、2008年の大統領選挙のずっと前から、中央アジアにおける戦争をエスカレートするために、イラク駐留アメリカ軍のレベルを引き下げる政策は、アメリカの軍事、政治支配層総意の政策となっており、ブッシュも受け入れていた。いずれにせよ、オバマは、何万人ものイラク駐留アメリカ軍を、少なくともここ数年は、維持するつもりであることを明らかにした。

2008年大統領選挙で、オバマに対する共和党の競争相手だったジョン・マケイン上院議員は、アフガニスタンとパキスタンに関するオバマの発表を、温かく称賛した。

オバマが自分の政策を正当化するのに使った口実は、ブッシュ政権の口実の、再利用の卸売りだった。"対テロ戦争"という表現は使わなかったものの、オバマは、中央アジアにおけるアメリカの戦争をエスカレーションする理由を、ブッシュが使ったのと全く同じ、9/11攻撃について触れ、アメリカの軍事的暴力や、パキスタン国内への戦争の拡張は、アフガニスタンとパキスタンを基地とするアルカイダや外の"過激派"による新たなテロ攻撃から、アメリカ国民を守るのに必要だったと主張した。

アメリカがアフガニスタンで"戦争をすることを選んだわけではなく"、目標は"同国を支配したり、将来を決めたり"することではないと、オバマは語った。2001年911の攻撃におけるこの地域のテロリストの役割が、彼等がアメリカ、アフガニスタン、及びパキスタンの"共通の敵"であることを意味するのだと彼は主張した。オバマは、パキスタンの未来にとって"最大の脅威"は、アル・カイダと、その"過激な盟友たちだ"とさえ主張した。

これらの主張は、ことごとくうそだ。アフガニスタンやパキスタンの政治的局面に、いやいやながら、利他的な見地から関与しているどころではなく、アメリカの支配エリートは、自らの帝国主義的利害を求めて、これらの不幸な国々において、過去30年以上にわたり、攻撃的で容赦のない政策を遂行してきた。

1979年、カーター政権は、ソビエト連邦を、ベトナム戦争のような血まみれの泥沼に陥れようとねらって、ソ連のアフガニスタン侵略を引き起こすよう工作した。この戦争がアメリカの公式な政策であったことが、アメリカ国家保障会議のスタッフにいたことがあり、それから当時のCIA戦略評価センター理事長となったゲーツ国防長官によって、1996年の彼の本「From the Shadows」の中で暴露された。パキスタンを介して、アメリカは、反ソ連レジスタンスに対し積極的に武器を供与したが、レジスタンスの連中は、主として、アヘンの栽培と販売によって資金をまかなっている地方の武将階級によって率いられていた。これがやがてアフガニスタン麻薬産業の爆発的発展をもたらした。

タリバンはアメリカとパキスタンの支配エリートの"共通の敵"どころではなく、ソ連が支援した政権が1992年に崩壊して以来、アフガニスタンにおいて、彼らの主な代理人だった。

パキスタンに対して、アメリカがますます厳しい対応をとるようになった今、マスコミはこの話題に関する沈黙を破り始めた。ニューヨーク・タイムズは最近こう報道している。対抗する軍閥同士による長年の内戦で荒廃したこの国に安定性をもたらすべく、"ISI [パキスタンの軍諜報機関]が、1990年代にタリバン活動を生み出し、育てるのを助長したのだ。あるパキスタン人幹部は、イスラマバードは、‘我が国の利益を保持するための代理勢力として’タリバンのような集団を利用する必要があったと説明した。"

タイムズは、アフガニスタンを統一し、平定するためにタリバンを利用することをねらって、アメリカが当時こうした活動を支援したことには言及しないように決めたのだ。タリバンが、このたくらみが成功すれば、ワシントンとアメリカのエネルギー企業ユノカルは、中央アジアから、アフガニスタンを経由して、パキスタン、インドや、インド洋の港まで、石油と天然ガスのパイプラインを通すことを願っていた。

2001年のアメリカによるアフガニスタン侵略の背後にある、本当の動機は、石油と天然ガスが豊富な中央アジアにおけるアメリカの覇権であり、それにより、アメリカがグローバルな競合相手たちに対して、戦略的な優位を獲得することだ。

アフガニスタンとパキスタンは、パイプラインと中東、ロシア、中国とインド亜大陸の貿易経路の焦点に位置しており、アメリカの両国支配は、ユーラシア最大で、最も急速に成長する経済の諸国との間の貿易や戦略的な関係の展開をめぐり、アメリカが決定的な影響力を手に入れる。特にそれは、インド洋における、中国やインドへの石油供給封鎖を行うアメリカの能力を強固にするだろう。

基本的なアメリカのねらいは、ワシントンによる2001年のアフガニスタン侵略と、それに続くパキスタンでの戦闘拡大以来、変わっていない。ライバル諸国に対する優位を保障しようというアメリカ支配階級の衝動は、大恐慌以来、最も深刻な経済危機に、世界を陥れながらも、実際、増大するばかりだ。

アメリカによるイラクとアフガニスタン占領によって、何10万人もの人々が殺害され、何100万人もの人々が負傷し、追い出された事実が、テロリストが、パキスタン人とアフガニスタン人にとって最も危険な敵だ、というオバマの主張がうそであることを示している。実際、中央アジアの大衆にとって、最大の脅威は、ブッシュからオバマへの政権移行の影響も受けずに、権力の地位にとどまっている、ワシントンの軍国主義者の徒党だ。アメリカ国民について言えば、オバマと彼のハンドラーは、国民の反戦感情と、民主的な本能を、軽べつの念で見ているにすぎない。

アフガニスタンとパキスタンにおけるアメリカの軍事作戦を拡大することにより、オバマは、究極的には主要な大国を巻き込む、より広域のはるかに荒廃的な戦争へと向かっている。

この戦争拡張政策の影響は予想不可能だ。アメリカの政策によって、不安定化されつつあるパキスタンは、核兵器を持った、人口1.3億人の国だ。ウォール・ストリート・ジャーナルの3月26日の記事は、今やアメリカの無人飛行機は、国境を越えた、アフガニスタンでの、アメリカとNATOの軍隊に対する攻撃に関与してはいないが、パキスタン政権からは、主要な脅威と見なされている"パキスタン人のタリバン"指導者バイトゥール・マスフードを標的にしている。ワシントンは、ミサイル攻撃を、パキスタンの州バルチスタンを含めて、拡大することを検討している。そのような攻撃には、パキスタンを内戦に陥れ、究極的には全面的なアメリカの侵略となるリスクがある。

更に多くのアメリカ軍兵士をアフガニスタンに派兵するという決定は、アフガニスタン国内の戦争を激化させるばかりでなく、より広い地域を不安定化させ、外の国々との間の緊張、まず第一には、ロシアとのそれを激化させるだろう。アメリカのアフガニスタンへの主要補給路は、今や戦闘地帯に変えられつつあるパキスタンの地域を通っており、ワシントンは、ますます代替補給路、特に、カフカスと中央アジアの旧ソ連共和国経由のものの検討を強いられている。昨年8月、カフカスにおける影響力を巡る、ロシアに対するアメリカの競合から、アメリカは、グルジアに、南オセチアのロシア軍監視所攻撃をそそのかした。

中国もパキスタンにおけるアメリカの軍事介入遂行を、敵対的政策と見なすだろう。パキスタンは、中国の重要な貿易相手であり、インドに対する戦略的同盟国だ。戦争のエスカレーションは、ワシントンと、アフガニスタンにおけるNATO軍作戦に更に兵員を増やすようにという、アメリカからの増大する圧力のもとにあり、しかも国民の圧倒的多数がこうした展開に反対している、ヨーロッパ諸国間との緊張にも油を注(そそ)ぐ。

中央アジアにおけるより広範な戦争というオバマの発表は、彼の大統領選挙キャンペーンの利己的で、欺まん的な性格と、民主党と共和党間の戦術的差異が何であれ、世界中でアメリカ帝国主義の略奪的なねらいを支持する上での基本合意を、強調している。"チェンジ"の代理人としてを自らを売り込んだオバマは、今や想像もできない結果をもたらすであろう帝国主義的侵略の拡張を統括している。

金曜日の発表は、基本的な政治的事実の極めて明らかな実証だ。民主党によって、あるいは議会に訴えることによっては、戦争に反対することはできない。アメリカと世界中の労働者階級の独立した政治動員によってのみ戦争反対は可能になるのだ。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/mar2009/afgh-m28.shtml

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マスコミは、北朝鮮のミサイル(衛星)発射をめぐる勇ましい軍事対応のことばかり報じている。

あたかも、日本の庶民にとって、"最大の脅威"は、北朝鮮であるがごとくだ。

さにあらず、日本の庶民にとって、最大の脅威は、ブッシュからオバマへの政権移行の影響も受けずに、権力の地位にとどまっている、ワシントンの軍国主義者の徒党であることは明白だろうに。日本の金と、血の更なる貢献求め続ける彼等が、モンゴルのくびきならぬ、アメリカのくびきだ。

孫崎亨著、『日米同盟の正体』、講談社現代新書は、これから更に激しくなるアメリカの苛斂誅求を詳しく描き出している。孫崎亨という人、普通の概念からすれば、外務省のエリート官僚、間もなく退職されるそうだが、現在は防衛大学校の教授だ。

一体なぜ、そういうエリートが、こうした貴重な事実を語ってくれているのかは、良くわからない。13ページにはこうある。

3月の退官を前に、、筆者の危機管理の授業の総決算として執筆したものである。

49ページには、「議論に勝って、飛ばされる」(エピソードがあり(論理的に正しく、議論に勝っても、防衛庁という組織の中では、飛ばされてしまうという、エピソード)がある。

その警告をもって組織の中で生きるべきかもしれない。でもなんと寂しい台詞だろう。

と、著者は言う。示唆的なエピソードだ。

安保は、ガイドライン以降、すっかり変身し、アメリカは、日本を国際舞台で使う方向に転換したのだ。その象徴が、イラクへの陸軍、空軍の派兵、インド洋への海軍派兵、そして、今回のソマリア派兵だ。

また、注目すべきは、著者の「陰謀」に対する姿勢だ。第二章は「二一世紀の真珠湾攻撃」

南北戦争時のリンカーン、真珠湾攻撃の場合などをひいて、911について論じている。

すなおに読めば、このブログでも再三触れている疑念を肯定する章だ。しかも、著者は、インテリジェンスの専門家なのだ。イタリアやドイツの元閣僚には、はっきりと陰謀論を言う人々もいる。著者、閣僚ではないが、発言の重みは、傀儡閣僚の発言よりもあるだろう。「議論に勝って、飛ばされ」外務省をおわれた天木直人氏も、本書の衝撃に触れておられる。

日米同盟の正体を明かした外務省OB 他 2009年03月23日

こういう本こそベストセラーになって欲しいものだが、巨大な基地をかかえる横須賀で小泉ジュニアが跡継ぎとなり、千葉では、森田が知事となり、東京では、エセ・ファシスト石原が知事、さらには大阪や、宮崎の右翼知事という国民文化では、せっかくの渾身の著作も、とうてい理解はえられまい。

オバマになっても変わらないことを、ビル・トッテン氏は、最新のコラムでかかれている。

ビル・トッテン氏のコラム Our World
No.866 アメリカを支配する者

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