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2009年3月 1日 (日)

みんな出てゆけ

ナオミ・クライン

2009年2月10日

アイスランドで、群衆がナベをたたき続けて、政府を倒すのを見ていて、私は、2002年、反資本主義者グループの間で人気があったシュプレヒコール「お前はエンロン。我らはアルゼンチン」を思い出した。

このメッセージは実に単純だ。お前たち、経済サミットなどに集まって相談をしている政治家や社長連中、無謀な詐欺を行うエンロンの経営幹部(もちろん、我々はその半分も知ってはいない)。 我々、つまり戸外の群衆はアルゼンチン国民、不気味なことに我々のものによく似た経済危機のさなか、ナベをたたきながら街路に出て(余計な訳注:ナベ・デモは、スペイン語でカセロラーゾ)。彼らは叫んでいた。”¡Que se vayan todos!" (「みんな出てゆけ!」)3週間の内に、立て続けで4人もの大統領の首を切った。アルゼンチンの2001-02暴動が独特だったのは、それが、特定の政党や、抽象的な腐敗に、向けられては、いなかったことだ。目的は支配的な経済モデル、これは現代の規制緩和された資本主義、に対する初めての全国的反乱だった。

多少の時間がかかったものの、アイスランド、ラトビア、韓国からギリシャに至るまで、そして世界のその他の国々も、ついに¡Que se vayan todos! ("みんな出てゆけ!") という瞬間を自分のものとしている。

禁欲的なアイスランドの女家長たちがなべが平らになるまでたたいている間、子供たちは、冷蔵庫の中から投げつける弾にするものをあさっていた(卵は結構だが、ヨーグルトはいかがなものか?) ブエノスアイレスで有名になった戦術の模倣だ。そして集団的な怒りも、同様に、かつては繁栄していた国を破壊し、懲罰を受けずに済むと思いこんでいた、エリート連中に向けられている。36才のアイスランドの会社員、Gudrun Jonsdottirが言っている通りだ。「こうしたすべてには、うんざりだ。政府など信用しない。銀行など信用しない。政党も信用しないし、IMFも信用しない。この国は良い国だったのに、連中が破壊したのだ。」

もう一つの相似点がある。レイキャビックでは、抗議デモ参加者たちは、明らかに、幹部の首のすげかえだけでは(たとえ新首相がレズビアンであったとはいえ)抱き込まれはしなかった。彼らは、銀行だけでなく、国民に対する支援を望んでいたのだ。大崩壊についての捜査。そして、本格的な選挙制度改革。

同様な要求が今どきでは、EUのどの国よりも急激に経済が縮小し、政府も瀬戸際でふらついているラトビアでも聞こえている。首都は、1月13日の舗装用の丸石を投げる本格的な暴動を含め、何週間も、反対デモ参加者によって動揺させられた。アイスランドと同様に、ラトビア人も、何ら混乱の責任をとろうとしない指導者たちにがくぜんとしている。ブルームバーグTVで、何が危機をひき起こしたのか、と尋ねられ、ラトビア蔵相は肩をすくめて答えた。「別にありませんな。」

しかしラトビアの問題は実に特殊だ。"バルト海の虎"が、2006年に、12パーセントという率で成長することを可能にした政策そのものが、予想されていた今年の10パーセントから、激しく収縮させ、あらゆる障壁から自由になったお金が、できる限り素早く流れ出していき、しかも、そのうちのかなりが政治家のポケットに流れ込んだ。(現在、無力状態になっている国の多くが、昨日の"奇跡"だったのは偶然ではない。アイルランド、エストニア、アイスランド、そしてラトビア。)

何か、アルゼンチン風のものが漂っている。2001年、アルゼンチンの指導者たちは、危機対処策として、残忍な国際通貨基金が処方した、緊急経済対策をとった。これは、90億ドルの支出削減で、その多くは、医療と教育を対象としていた。これは致命的な過ちであることが分かった。労働組合はゼネストを計画し、教師たちは授業の場を街路へと移し、抗議デモは決して止まらなかった。

危機の矛先を向けられることに対する、この同じ下からの拒否こそが、今日多くの抗議を団結させているのだ。ラトビアでは、大衆の怒りの多くは、政府の緊縮政策に集中した。つまり、大量解雇、社会福祉の削減、公務員給与の切り下げ。すべてIMFの緊急融資を受ける資格を得るためだ(いやはや、何も変わっていないのだ)。ギリシャでは、12月の暴動は、警官が15才の少年を射殺したことをきっかけにして起きた。しかし農民が、学生から主導権を奪い、反政府デモが継続したのは、政府の危機対応に対する広範な怒りゆえだ。銀行は、360億ドルの財政援助を得たが、一方で、労働者は年金を削減され、農民はほとんど何も得ていないに等しい。トラクターで道路を封鎖されるという不便さが生じたにもかかわらず、78パーセントのギリシャ人は、農民たちの要求は妥当だと言っている。同様に、フランスでの最近のゼネストは、部分的には、教師の人数を劇的に削減するという、サルコジ大統領の計画がきっかけだったが、国民70パーセントの支持を得た。

恐らく、この世界的な反発を、貫いている頑健な糸は、"非常時政治"という論理に対する拒否だ。これは、「危機の際、どうすれば、政治家たちが、法的規制を無視して、不人気な"改革"をさっさと片付けることができるのか」を表現する言葉で、ポーランドの政治家、レーシェク・バルツェロヴィッチ(元副首相・財務相)が作り出したものだ。韓国政府が、最近気づいたように、このトリックも使い古されてしまった。12月、韓国の与党は、危機を利用して、極めて論議を呼ぶアメリカ合州国との自由貿易条約をごり押ししようと試みた。密室政治を、極端に推し進め、議員たちは秘密投票ができるよう会議室に閉じこもり、ドアを机といすと長いすで封鎖した。

野党の政治家たちは、そのどれも持ちあわせていなかった。大槌と電動のこぎりを使って突入し、12日間の国会座り込みを実行した。投票は延期され、更なる討論が可能になった。新種の"非常時政治"の勝利だ。

ここカナダでは、政治は、YouTube向きとはほど遠いにせよ、驚くほど出来事に満ちている。10月に保守党が、国政選挙に控えめな議席数にせよ、勝利した。6週間後、我が保守党首相は、身内の論客が、公務員からストライキの権利をはく奪し、政党への公的資金援助をなくし、一切の景気刺激を含まない予算案を提出するのを目にすることになった。野党は、歴史的な連合を形成して対応し、国会が突然閉会することで、すんでの所で、政権獲得するところを阻まれた。保守党は、修正予算をもって再起を図った。おはこの右翼政策は消えうせ、法案は経済刺激策がてんこもりだった。

ここで、パターンは明らかだ。自由市場イデオロギーが生み出した危機に、信用を失ったまさにその同じ政策を加速して対処しようなどという政府が、生き延びて、苦労談など語れるはずがない。イタリアの学生たちが街路で好んで叫ぶようになった通りだ。「お前たちの危機の代金など、おれたちは払わん!」

本記事は、The Nationに最初に発表された。

元記事のurl:informationclearinghouse.info/article21959.htm

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あまりにも対照的な、属国日本国民の多数の皆様!

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