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2009年2月10日 (火)

日本の郵政民営化についての書簡 ラルフ・ネーダー

2005年8月9日

100-8798

東京都千代田区霞が関1-3-2

郵政公社

生田正治様

長年にわたり、小生は日本の郵便局が提供している郵便と金融サービスの高い水準を承知しております。郵便は正確かつ効率的で、郵便局は最も小さな村にまで配置されています。

日本の郵便貯金制度は、単に便利というだけでないことに留意すべきです。郵便貯金制度は、金融業務の広範な提供を推進し、また公共事業プロジェクトを通し、経済を安定化させ、刺激するという努力を、長らく支援してきました。更に、郵政職員は共同体の面倒見が良いことで有名で、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、日本の郵便局長の方々は “共同体の柱石”だと正しくも報道しています。

ところが、こうした成功の実績にもかかわらず、小泉純一郎首相は郵政民営化推進を主張し続けています。明らかに、イデオロギー的なものと、私利を画するという営利的な動機の組み合わせから民営化を狙う組織である、アメリカ合衆国通商代表部と、アメリカ商工会議所に、彼が支援されているのは困ったことだと、アメリカの一国民として思っております。小泉首相の要求は日本人のわずか24パーセントに支持されているにすぎません。日本国民は、民営化が、郵便サービスの低下を招くであろうこと、そして局の閉鎖となる可能性もあることを理解しているのです。スウェーデンやニュージーランドのような国々における郵政の独占廃止は、これらの国々で、郵便局のうち半数の閉鎖をもたらし、アルゼンチンでの郵政民営化という冒険的企ては、目も当てられぬ失敗となったため、最近、再度国有化されるに至りました。

アメリカの為政者達は、無謀な民営化計画を押しつけるのではなく、銀行サービスを受ける余裕がなかったり、拒否されたりしている何百万人ものアメリカ人達のために、郵便貯金制度を確立することを含め、郵便サービスを成功裏に運用している指標として、日本を範とすべきなのです。

敬具

ラルフ・ネーダー

写し: 小泉純一郎首相

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記事原文のurl:www.nader.org/index.php?/archives/182-Letter-on-Japanese-Postal-Privatization.html

お恥ずかしいことに、この書簡、"Curing Japan's America Addiction"  Minoru Morita, 211ページで、初めて知った。

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探してみたところ、東京義塾 Curing Japan 3 には、とっくに翻訳が。

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植草一秀の『知られざる真実』の下記項目に、上記書簡の数日前、2005年8月2日におこなわれた、参議院郵政民営化に関する特別委員会における質疑の分析がある。

「かんぽの宿疑惑」を生んだ「郵政米営化」の深層

今のアメリカ発世界金融恐慌を見れば、アメリカの為政者達と小泉元首相と、ラルフ・ネーダーのうち誰が、アメリカの庶民、更には日本の庶民のことを思っていたかは、明らかだろう。

ラルフ・ネーダー、2008年大統領選挙にも出馬したが、全くの泡沫候補扱い。

アメリカの為政者が支えている(=支配している)のは、民主党オバマ、(自民党麻生首相と)民主党オザワ。

国民新党の下地幹郎議員が、2/4の国会で「年次改革要望書」について、至極まっとうな質問をした。郵政民営化は「年次改革要望書」中の目玉である。

麻生首相、「相互的なもので、一方的なものではない」というようなとんでもないごまかしを言った。下地議員、すかさず「韓国などに聞いてみても、こうした包括的な要求はなく、個別交渉だといわれた」と続けた。

国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行の下記記事をどうぞ。

【かんぽの宿】郵政民営化がついに目に見える争点に 国民新党の下地幹郎さん

ところで、「金融危機の資本論」本山美彦・萱野稔人 青土社刊55ページに、苛斂誅求の横車を「拒否できない日本」を説明する記述があった。下記に、本山美彦発言を引用する。

「金融危機の資本論」からの本山美彦発言

日米安保条約の第二条は要するに、「日米経済は一体だ」 ということです。この経済まで包括した一文によって、日米安保は軍事だけではなく経済の問題にもなりました。この条項さえ定まっていれば、あとは「日米安保条約に従って」ということにできますから。「年次改革要望書」のような露骨な要請を日本が拒否できなかったのは、日米安保によるものだともいえるでしょう。

これは金への要求だけでなく、そのまま血に、つまりソマリア派兵に、やがてアフガン派兵につながろう。改憲(その実、壊憲)ではなく、まず、日米安保条約の廃棄、しかるのち、本当の意味の憲法改正で、(アメリカから独立した)軍隊の所有を明記するのが、「まっとうな独立国家」に至る経路だろう。

カンポアンポと直結している。カンポの金を奪われたくなければ、違憲の海外派兵・侵略を防ぐには、アンポを無くすしかない。年次改革要望書や、郵政民営化の実態にふれない(つまり隠蔽だ)マスコミは、もちろん、その根本原因たる、アンポ廃棄などという議論をするはずもない。憲法改正などといって、壊憲はあおるが。憲法「改正」、小泉やらオバマの「改革」と同じで、つまり破壊だ。

小沢民主党代表が、在日米軍縮小案をぶち上げたとて、実質は肩代わりにすぎない。アンポ廃棄がないかぎり、属国の本質は決して変わらない。

北朝鮮に、おもちゃのようなミサイルを時折打ち上げさせ、これまた、おもちゃのようなミサイル防衛システムを、日本に買わせる。昔、家庭によくやってきた、「押し売り」以下の悪辣さ。マッチ・ポンプ商売。これまた、アンポの枠にからみとられている。

東谷暁著「【増補】民営化という虚妄」(ちくま文庫、700円+税)
を遅まきながら読んでいる。(描かれている真実で、いらいらするので精神衛生には悪いが)内容そのものは素晴らしい本だ。

あの民営化フィーバー当時に出版したので、知人から怪訝に思われたという。
更に、二章を補って、文庫になっている。著者の言い分が正しく、小泉、竹中や、八代らの欺瞞による、改革ならぬ日本破壊は明らかだからこそ、そういうことが可能なのだ。小泉・竹中・八代らの言行録、今刊行しても売れまい。(書店、竹中本が山積だが)それでも平然としらばっくれる竹中教授を、大本営広報部、テレビ・新聞は重用する。

精神衛生に悪く、電気の無駄なので、ほとんど民放を見ない。昔、串田孫一は、中曽根首相がテレビに出ると、テレビをスリッパで叩いたという。今、同じことをすれば、液晶テレビ、何台買い換えてもきりがあるまい。
かえって、それが大恐慌さなかの民需拡大には、良いことなのかも知れない。

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コメント

2005年に、すでにこういう書簡が出ていたのですね。知っている人は知っていた。警告する人もいた。それでも止まらなかった。明確な動機と意図と実行力を持った集団には、かなわなかったということでしょうか。すべての問題が安保に集約されます。基地の拒否は、「拒否できる自立した日本」への第一歩になると確信します。

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