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2009年2月20日 (金)

アメリカが支援したもう一つの大惨事-ソマリアの悪夢

Len Wengraf

2009年2月13日-15日

CounterPunch

アメリカが支援したエチオピア軍が、ソマリア内の残り陣地から一月末に撤退し、"対テロ戦争"を装って遂行された二年間の占領が終了した。

エチオピア軍は、2006年12月にソマリアを侵略し、イスラム法廷会議(UIC)政府を打倒し 暫定連邦政府(TFG)をしつらえた。二年後、エチオピア占領者と、継続している内戦の犠牲者として、およそ10,000人が命を失い、110万人のソマリア人が難民となった。

そもそもの始めから、アメリカに支援されてはいたものの、TFGは弱体で、首都モガディシュのわずか一部と、西部ソマリアの一部地域を支配しているに過ぎない。アメリカが訓練したウガンダ軍を含む、数千人のアフリカ連合軍が、TFGを指示するという触れ込みだったが、ほとんど効果はなかった。アメリカは、散発的な空襲で、ソマリアに直接介入もした。

エチオピアによる侵略後、UICの諸派閥や、他の反対派の軍勢が、ソマリア再解放連盟(ARS)として再結集し、また他の連中は、原理主義者アル-シャバブ集団や他の武装諸派と連合した。

TFGと、現在の主要野党ARSとの間の統一合意後、エチオピア軍は撤退した。1月31日に、ARS指導者で、2006年にはUIC政府のトップだった、シェイク・シャリフ・アフメドが、TFG大統領に選出された。

* * *

ソマリアは、紅海、スエズ運河や主要な商業用航路に隣接する、戦略的に極めて重要な、アフリカ東端、アフリカの角に位置している。ソマリアと隣国のスーダンは、アメリカ企業による石油探査の標的となっていたが、中国、インドや他の国々も、開発契約をして、戸口に足を踏み入れた。

ソマリアに対するアメリカ政府の懸念の背景には、過去と現在における競合がある。アメリカは、様々な形で直接介入し(1992-3年の悪名高い"ブラック・ホーク・ダウン"の海兵隊侵略等)、種々の軍閥長を支援し、(エチオピア等)代理軍隊を後押しした。

実際、ソマリアとアフリカの角への西欧による介入の歴史は、絶えず同盟の相手を変え、紛争し、宗主国や冷戦の超大国同士が代理戦争をしていた、二十世紀中の長い時期にまでさかのぼる。ソマリア内戦は、ダルフールや南部スーダンのそれと同様、アメリカと旧ソビエト連邦とが、飢餓が猛威を振るう中、敵対する派閥に何十億ドルもの武器援助を行ったことの、直接の結果と見なすべきだ。

1992-93年のアメリカ海兵隊によるソマリアへのいわゆる人道的介入は、この政策を、違う名称の元で継続したにすぎない。クリントン政権にとっても、続くブッシュ政権にとっても、"テロとの戦い"とともに、「人道的介入」は標語となり、ワシントンによる経済的および軍事的な狙いを追求することの隠れ蓑として、この地域へのアメリカ軍の展開を正当化した。

2003年、アメリカが、イラクを侵略し、占領する際、アメリカ軍は、小さいながらも、ソマリアの隣国で、 紅海のイエメン対岸という戦略的な位置にある国ジブチに大規模基地を建設した。アメリカは、2006年12月ソマリア侵略の準備過程で、エチオピア軍を訓練するのに、そのキャンプ・レモニエを活用した。

カウンターパンチのウエブで、マイク・ホイットニーが指摘しているように: "ソマリアへの介入を正当化するため、ブッシュ政権は'対テロ戦争' をひき起こしたが、アメリカの主張には説得力が欠けている。UICはアルカイダ支部ではなく、テロ組織でもなかった。事実、UICは、ほぼ20年間にわたって、平和のなかったソマリアに一定の平和と安定をもたらしていた。"

政治評論家ジェームズ・ペトラスも同様な指摘をしている。

ICUは部族軍の長達の腐敗と強奪を終わらせた比較的誠実な政権だった。個人の安全と財産は守られ、部族軍の長とその武装した暴漢たちによる、恣意的な没収や誘拐を終わらせた。

ICUは、穏健派や過激派のイスラム教徒、民間の政治家や武装戦士、リベラル派やポピュリスト、選挙至上主義者や権威主義者などを含む、広範な多様な指向の運動体なのだ。最も大切なのは、イスラム法廷会議は、部族分裂を克服し、国を統一し、多少の独立国家としての装いを生み出すのに成功したことだ。

だがブッシュは、UIC統治下のこの相対的安定性が、邪魔をするのを許さなかった。シカゴ・トリビューンの記事によると、ソマリア侵略は、"CIAが腐敗した軍閥長連中を採用して、イスラム教徒の過激派を狩り出し、拉致し ...彼らを秘かに沖合の、アメリカ軍艦上に投獄するという秘密の戦争だった。イギリスの人権団体リプリーブは、9月11日のテロ攻撃以来、17隻ものアメリカ軍艦が、海上監獄として倍増した可能性があると主張している。"

9/11攻撃からわずか一ヶ月後、ブッシュ政権のネオコン・タカ派幹部の一人ポール・ウォルフォウィッツが、エチオピアとソマリアの様々な派閥と会談し、アルカイダ・テロリストが、この地域を"逃げ道"として使う可能性があると主張した。

2006年12月4日、当時、中東の大半とそれを囲む地域を対象とするアメリカ中東司令部のトップ、ジョン・アビザイド大将が、エチオピア首相メレス・ゼナウイと会談した。三週間後、エチオピア軍は越境してソマリアに入り、アメリカはエチオピア軍を支援すべく空襲を始めた。空襲はテロリストを標的にするはずだったが、何十人もの一般人を殺害した。アメリカは、少数の特殊部隊員をもエチオピア軍に埋め込み、海上と、航空支援を行った。

* * *

アメリカ介入の最終的な結果は、言うにいわれぬ破壊だった。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2008年12月に、その衝撃の詳細にわたる報告書を公表している。

二年間の無制限な戦争と暴力的な人権侵害が、十分な対応のないまま、悪化の一途をたどる人道的危機を生み出すことに貢献した。2007年1月以来、モガディシュだけからでも、少なくとも870,000人の一般市民が混沌から逃げ出した--この都市人口の三分の二だ...ソマリアの人道的支援に対する需要は膨大なものがある。

人道支援組織は、325万人以上のソマリア人、南部-中部ソマリアの人口の40パーセント以上が、2008年末までに、緊急支援を必要とするものとみられている...フリーの民兵達が、ケニヤに向かう道路上で、難民を略奪し、殺害し、強姦した。ボートで、アデン湾をイエメンまで渡ろうという必死の試みで、今年何百人ものソマリア人が溺死した。

アムネスティー・インターナショナルは、エチオピア兵士によるソマリア人殺害の無数の事件を文書化している。"一人の幼い子供が、母親の目の前で、エチオピア兵士達に喉を掻き切られた。"例もある。

赤十字によると、ソマリア国民の約半数は食糧援助に依存している。何百万人もの人々が、十分な水、食糧や電力もなしに、テント村で暮らしているが、ハイパーインフレで、主要産品の価格は、2008年に入って以来、六倍にも跳ね上がった。ホイットニーが書いているように 、"現在、アフリカにおける最大の人道的危機だ。人災による地獄は、ことごとくワシントンで作り出されたものなのだ。"

ソマリア人はエチオピア軍の撤退を祝い、シェイク・アフメド大統領は、過去のUIC支配の遺産としての、国民的支持を享受している。対テロ戦争のパートナーをしつらえるという、アメリカ政府の短期的な目標も、挫折したように見える。

しかし、シェイク・アフメドの、アメリカに対する寛大さと、TFGとの協力から、今や、この国の軍隊は、アメリカ政府のテロ組織リストにあげられているアル-シャバブのような集団を含む旧UICの他派閥から分離させられた。アメリカにとって分裂は大歓迎だ。

一方、ソマリア人武装集団による攻撃は続いている。アル-シャバブとつながる可能性の高い自爆攻撃犯が、アフリカ連合軍を、2月3日に攻撃した。

同様に、長期的な構図も、この地域における不安定さが増すことを示している。UIC政府が2006年に崩壊して以来、ソマリア沿岸沖での海賊攻撃の復活、しかも中には、何百万ドルものタンカーを人質として差し押さえているものがあり、最近中国やインド政府が海軍パトロール部隊を派遣するに至っているが、中国としては前例のない動き。

軍事化の増大に伴い、ブッシュはアデン湾への軍艦派遣を提唱し、バラク・オバマは、この政策を継続すると誓約している。

オバマ政権も、2008年10月1日に公式に立ち上げられた、ソマリアや他の諸国や地域を、アメリカによる新たな規模の脅威で支配下に置く、恐ろしいほどの潜在能力を持ったアメリカ軍の新アフリカ司令部であるアフリコムの強力な擁護者だ。実際、アフリコムは、ソマリアの経験を、現地人手先と、高度化した軍事増強強化によって、アフリカ大陸全土で大規模に拡大するのと同じことだ。

ヌヌ・キダネは、"アフリコム、軍事化と資源支配"という題の記事でこう書いている:

読者が、それは数千人の兵士たちがいる従来の基地のことだとお考えなのであれば、再考頂きたい。アフリカ軍司令官キップ・ワード将軍は、アフリコムというのは、"基地"や"駐屯地"ではなく、自在に移動することができ、いかなる目的にも活用可能な、アフリカ中に戦略的に配置された高度な軍事作戦のネットワークなのだと語っている。

ゲーツ大将は、アフリコムを、"異なった目的を持った、異なる種類の司令部であり、我々が希望し、期待しているアフリカとの永続的な安全保障関係を制度化するもの"で、外交と、アメリカの国際開発庁(USAID)による人道的援助が、国防省から指示を受ける"民-軍連携"だと呼んだ。

アフリカ・アクションや他の人権団体は、オバマ政権に、ソマリアの人道的大惨事に対処するよう正しくも要求している。しかし、頻繁に提案される解決策の一つ、国連平和維持軍は、一般ソマリア人にとっての問題を深めるだけだろう。現場において、国連軍はまさに1993年"人道的介入"の時に行ったと同様に、アメリカの優先課題を遂行するだろう。

そうではなく、活動家達は、アフリコムから、海軍によるパトロールにいたるまで、ソマリアにおけるあらゆるアメリカ軍の介入に反対して立ち上がるべきなのだ。"対テロ戦争"に、異議申し立てをすることこそが、ソマリア人にとっての本当の平和にとって、決定的に重要な第一歩だ。

Len Wengrafは、Socialist Workerに執筆している。

記事原文のurl:www.counterpunch.org/wengraf02132009.html

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慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授が、天に唾を吐く文章を書いている。
「かんぽの宿」騒動で分かった! 賛否両論なき日本のネットはゴミの山

履歴をみれば、ばけのかわはすぐに剥がれる。売国大臣の一味ではないか。

小泉元首相の、麻生首相に対する「怒るというよりも、笑ってしまうくらい、ただただあきれている。」という発言と同じ質だ。

人からそれを言われるのに最も相応しい人物自ら言うところがきつい喜劇。
マスコミまるごと、低劣なコメディ番組。韓国ではテレビのことをバカ箱という表現があると何かで読んだ。本当だろうか?

歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は茶番として。
こうした茶番報道のなか、違憲の海外派兵は着々と進む。もちろん郵政私営化も。

知りたくもない演習の模様は、テレビや新聞で大本営報道で知ることができる。
本当に知りたいソマリアの実態や、NATO派兵や、郵政私営化の実態に関する報道、もしあれば、是非ご教示いただきたいものだ。

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