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2009年1月25日 (日)

オバマの新外交政策チーム、アフガニスタンとパキスタンにおける殺りくエスカレーションを準備

wsws.org

Patrick Martin

2009年1月24日

水曜日と木曜日の一連の会議や、公式行事への出席、そして政権最初の軍事攻撃を通して、バラク・オバマ大統領は、中央および南アジアへの軍事介入をエスカレートする中で、アメリカはアフガニスタンとパキスタンでの虐殺を強化する計画であるという明瞭なサインを送った。

金曜日朝、プレデター無人偵察機から発射されたミサイルは、パキスタン国内の二つの標的に命中し、少なくとも18人を殺害した。アメリカのマスコミ報道ですら、殺害された人々の大多数は現地の住民であったことを認めているにもかかわらず、いつもの、リモコンによる殺害作戦の場合同様、アメリカ軍当局は、アルカイダを標的としていたのだと主張した。

三発のミサイルが、北ワジリスタンのザルキ村を攻撃し、10人を殺害したが、そのうちの五人は、アメリカの"治安当局"によると、アルカイダ戦士だとされている。数時間後、別のミサイルが南ワジリスタンの家に命中し、8人を殺害したが、その身元は不明だ。

攻撃は、昨年8月以来20回以上のそうした一連の攻撃で最新のものであり、ペンタゴン当局は、退陣するブッシュ政権に承認された権限のもとで攻撃を遂行したもので、新大統領には、作戦についての十分な情報を与え続けていたと語っている。

ミサイル作戦による死亡者数は、パキスタン政府の数値によると、少なくとも263人にのぼる。アメリカ政府当局でさえも、殺害された人々のうちごくわずかだけが、アルカイダやタリバンと何らかのつながりを持っているに過ぎないと主張している。

パキスタンが主権を持つ領土への攻撃は、国際法にあからさまに違反しており、イスラマバードの政権は口頭で抗議しながらも、同国軍に対する何十億ドルものアメリカの助成金を受け取り続けている。

木曜日、オバマと新任国務長官ヒラリー・クリントンは、国務省で政治集会を催し、二人はこの地域に対する二人の新植民地総督の任命を発表した。

元上院議員ジョージ・ミッチェルは、クリントン政権時代のアメリカ中東特使という自分の役割を繰り返すことになる。元国連大使リチャード・ホルブルックは、アフガニスタンとパキスタンへのアメリカ特別代表だ。

異なる肩書きは異なる役割を反映している。ミッチェルは、イスラエルとパレスチナ当局の間、およびイスラエルと周囲のアラブ諸国間の交渉を復活させ、監督するのが仕事だ。彼の仕事は、厳密に外交的なものだ。

ホルブルックは、アフガニスタンとパキスタンのアメリカが支援する政権と、カーブルのアメリカ軍司令部と仕事をし、アルカイダとタリバンに対する共同作戦を調整することになっている。国務省によると、彼の肩書きは"特使"ではない。それは、彼は外交のみならず、軍事政策についても提案する予定であり、またタリバンとの交渉はしない予定だ。これは、アフガニスタン大統領ハミド・カルザイや幾つかのヨーロッパ諸国による、そうした話し合いへの懇願に対する拒否である。

クリントンは、二人の任命を「.. わが国は、再び世界的な指導力を実際に示すことができるのだという明瞭なサインだ。」と述べた。オバマは、両方の地域で、二人は「我々の真摯な意図を伝えてくれよう」と語った。

ミッチェルは、1998年の聖金曜日合意(別名ベルファスト合意)に至った、北アイルランド交渉で議長をつとめた。この合意のもとで、IRAが武装解除し、アイルランド共和国の政治家達が地方政府に参加した。彼は後に イスラエル-パレスチナ紛争にかかわる委員会の委員長をつとめ、その委員会報告は2001年4月にまとめられたが、ヨルダン川西岸のイスラエル入植地の凍結を主張していたため、後継のブッシュ政権によって無視された。

イスラエルの幹部、特に同国の2月10日国会議員選挙で勝利が見込まれている右翼リクード党は、部分的にレバノン系-アメリカ人家系である(母親がマロン派キリスト教徒)ミッチェルに対するあからさまな不信を表明した。

ミッチェルの任命では、シオニスト政権を、アラブ人大衆に対する軍事的一番槍として利用するという、この地域におけるアメリカ帝国主義の基本政策をごまかすことは不可能だ。ミッチェルの上司たる、オバマもクリントンも、1,300人以上のパレスチナ人が命を失い、5,000人以上の人々が負傷した、イスラエルによる24日間のガザ猛攻撃に対する支持を明らかにしている。

ベトナムで外交官として勤務していた大昔以来、長らくアメリカ帝国主義の最も冷酷な代理人の一人として一貫して働いてきたので、ホルブルックの指名は一層不気味だ。彼が衆目を集めるようになったのは、オハイオ州デイトンで行われ、アメリカが強制するボスニア内戦調停という結論を出した旧ユーゴスラビア危機にかかわる1995年の会談におけるアメリカ外交チーム・リーダーとしてだった。

彼は、1995年の攻勢で、25万人のセルビア人を南部クロアチアのクライナ地域から追い出した、クロアチアのフラニョ・トゥジマン政権による民族浄化を奨励しており、ホルブルックは戦争犯罪で告訴されてもおかしくないのだ。彼は後に、デイトン会談に関する回顧録の中で豪語している。「トゥジマンは、アメリカの立場を明確にして欲しいと要求した。彼はずばり私の個人的見解を尋ねた。私は攻勢に対する基本的な支持を示した ... トゥジマンに、攻勢は交渉上、非常に有効だと私は言った。セルビア人に、数年間にわたって支配してきた領土をあきらめさせるよりは、戦場で勝ち取ったものを確保する方がずっと容易だろう。」

ホルブルックは、デイトン会談時に、クロアチア軍が、セルビア人に対して残虐行為をしていることを十分に承知しており、こう言ったと後に引用されている。「我々は必死だったので、こうした連中を、我々の猛犬として「雇った」のだ。我々には連中を「支配」する必要があるのだから。だが今はそうした物事に上品ぶるべき時ではあるまい。」彼は今度は、南および中央アジアで、アメリカ帝国主義の汚い仕事をするための新たな「猛犬」探しに邁進するだろう。

国務省集会での発言で、"テロに対する戦いの"中央戦線"たる地域、アフガニスタンとパキスタン両国における、彼の言う"悪化した状況"に対する懸念をオバマは、改めて表明した。ジョージ・W・ブッシュのイラクに対する表現を思わせるこの言葉は、アフガニスタン国民の軍事的征服と、大半が、アフガニスタン国内で多数派のパシュトゥーン族と部族的につながっているパシュトゥーン語話者である、国境地域のパキスタン国民に対する広範な攻撃に対する、新政権の強い関与の意志を強調するものだ。

ホルブルックの職務権限は、「この地域におけるアメリカ合州国の戦略的目標を実現する努力の一環として、政府全体にわたって調整をする」ことになろうとクリントンと述べた。こうした目的はアフガニスタン-パキスタン国境沿いの山々に隠れているアルカイダの残滓とは無関係だ。介入の本当の狙いは、ブッシュのもとでそうであったように、オバマのもとでも、中央アジアの石油資源が豊富な地域で、アメリカ合州国を主要大国として確立することだ。

アフガニスタンにおける軍事問題の焦点が改められたことは、ブッシュからオバマへの政権移行に際しても、その地位を保っている国防長官ロバート・ゲーツも示している。木曜日の記者会見で、アフガニスタンでのアメリカの目標は、これまで「余りに広範に過ぎ、余りに遠い将来にわたり過ぎていた。我々には、3年から5年以内に、ある地域での支配を再確立し、国民に治安を実現し、アルカイダを追いかけ、テロの再興を防ぐという点で、現実的に実現可能な、より具体的な目標が必要だ」と彼は述べた。

ペンタゴンでは、アフガニスタンへのアメリカ軍補給路存続の可能性を巡る懸念が高まっている。特にオバマの計画通りに陸上に派兵される軍隊が倍増した場合に。アメリカ軍の補給の三分の二が、パキスタンを経由しており、カイバル峠を経由してアフガニスタン入りする輸送車両集団は、再三攻撃に曝されている。アメリカ中央軍を指揮する立場に昇進した、元イラク司令官で、この地域全域での戦争計画の責任を持っているデビッド・ペトレイアス大将が、最近、これら諸国経由のアメリカの補給品輸送を拡張する条約締結を求める、タジキスタン、トルクメニスタン、カザフスタンおよびキルギスタンを巡る出張を終えた。水曜日、彼は所見をオバマのホワイト・ハウスに報告した。

ニューヨーク・タイムズの1月22日の記事によると、アフガニスタンにおけるアメリカ軍当局のもう一つの主な懸念は、現在、広大な地域に、まばらに展開している主としてイギリス、カナダとオランダ軍の兵士がパトロールをしている、カンダハール周囲の南部諸州におけるタリバンの影響力の強化だ。

タイムズの記者は心配げにこう報じている。「おそらくは、州都の一つであるカンダハールで、兵士不足が最も顕著だということになろう。約3,000人のカナダ兵士が、約500,000人が暮らす都市の治安確保を任されている。最近の訪問で、記者は五日間市内を巡ったが、街路では一人のカナダ兵士もみかけなかった。兵員不足のため、タリバンが市内で大規模攻撃を仕掛けることが可能になっているのだ。」

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/jan2009/fore-j24.shtml

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自分たちが起こした「金融恐慌」をネタに、貯蓄をしぼりとり、

自分たちが勝手に始めた「テロに対する戦い」のため戦地への恒久派兵を強制する

偉大な日本総督についても、提灯記事でない、真面目な分析を読みたいものだ。

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