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2008年12月17日 (水)

ムンタザル・アル-ザイディは我々ジャーリストが、ずっと前にすべきだったことをした

Dave Lindorff

2008年12月15日 "Information Clearinghouse"

イラク人ジャーナリスト、ムンタザル・アル-ザイディが、バグダッドでの記者会見中に、ジョージ・W・ブッシュ大統領の顔めがけて両足の靴を投げつけたが、ホワイト・ハウス報道陣は、もう何年も前にしておくべきことだったのだ。

アル-ザイディは、違法なイラク侵略で始められた5年にわたる戦争は、「アメリカの安全保障、イラクの安定(原文のまま)と世界平和」の為だというブッシュのたわごとを聞いていて、切れたのだろう。昨年、過激派シーア派によって誘拐され、しばらく拘留されていたことがあるテレビ記者が、靴を脱ぎ、ブッシュめがけて投げたのだ。イラクの文化では大変な侮辱だ。そしてこう叫んだ。「これがお別れのキスだ、犬め!」最初の靴が、目標に当たらなかったので、もう一方の靴をつかんで、それも投げ、大統領を二度目によけさせながらアル-ザイディは叫んだ。「これは未亡人、孤児、イラク国内で殺された人々からのものだ!」

前もって選ばれた記者が協力して、大統領の注意を引いたようなふりをし、実は事前提出し、入念に吟味された、質問ができるという、記者会見でのブッシュの嘘を8年間にわたって聞かされながら、私はテレビに靴を投げつけたくなっていたことを認めざるを得ない。

勇敢な抗議行為に対し、護衛によってひどく打擲されるという犠牲を払ったアル-ザイディは、この職業の英雄だ。彼は大統領のたわごとを聞くのを止め、大統領の正体が何であるか言ったのだ。おそらく百万人以上のイラク人の血で、その手がまみれている殺人者・犯罪人だ。アル-ザイディは、(安保条約締結記念の)シャッター・チャンスとして設定されていたはずの瞬間を、この大統領によって生活が破壊された人々の為に、わがゴマスリ・ジャーナリスト連中が、いつも決まって無視する人々の為に、はっきりものを言う瞬間に変えたのだ。

ジャーナリストは、大統領記者会見から、いつも靴下姿で出てくるべきである、と言いたいわけではない。自分の知性を侮辱した連中に対して、自分の感情を表現するやり方は、靴を投げつける以外にもあるが、記者に対して、余りに厚かましい嘘をついた際には、ジャーナリストの一人や二人、大統領に向け、中指を立てて侮辱するのを見るのも悪くはあるまい。あるいは、皆で立ち上がって歩き去り、講演台のところに大統領を置き去りにするのも良いだろう。

報道陣は、大統領を皇族のように扱うのをやめるべき時期だ。8年間の在職中に、彼が何かをなしとげたとすれば、ブッシュ大統領は、むしろ逆に、大統領というのは、ごく普通の、まあ彼の場合は、むしろ普通以下の、人物であることを証明してくれたことだ。大統領職というものは、デトロイト知事、あるいは(ペイリンがつとめた)アラスカのワシラ知事より、尊敬に値するというわけではないのだ。

私が提案したいのは、報道陣は、ブッシュ政権の残りの5週間を活用して 大統領と新たな関係を築くことだ。まやかしの礼儀作法や伝統を全て投げ捨て、昔ながらの獰猛なやり手の記者のように行動し始めるのだ。吠えるように質問し、馬鹿げた回答をあざ笑い、はぐらかされたら補足説明を要求し、そして必要であれば、歩き去ったり、あるいは恐らくは、時に靴を投げたりするのだ。

ブッシュ政権の間、ジャーナリズムという職業は、本格的な災厄、全くの恥辱だったが、記者団によるそうした過ちも一因となった、アメリカと世界が直面するあらゆる危機を前にして、そうした過ちをオバマ政権にまで持ち越してもらう余裕は、我々にない。

現時点では、ブッシュ政権は、最早おきまりのジョークになってしまったが、ジャーナリズムという職業が、この残り少ない数週間を活用して、次期大統領に対しても維持可能な、大統領記者会見と、シャッター・チャンスの新たな伝統を打ち立てて、名誉回復をする機会だろう。

とりあえず、わが母校コロンビア大学ジャーナリズム大学院には、記者会見におけるジャーナリズム技術のコースの教師として、アル-ザイディを採用するよう提案したい。僅か一年で辞められては、穴埋めが難しいだろうから、複数年契約にすべきだ。

注: 靴とホワイト・ハウスということでは、ペンシルバニア州、ホーンズデールのスキップ・メンドラーが素晴らしいことを思いついた。彼は、退陣するブッシュ/チェイニー政権にうんざりしている人々全員が、ホワイト・ハウスに靴を送るよう提案している。ホワイト・ハウスの郵便集配室で、百万足の臭い古い運動靴が山となるのを想像して頂きたい! これは名案だと思う。話を広めよう!

Dave Lindorffは、フィラデルフィアを本拠とするジャーナリスト、コラムニスト。彼の近著は"The Case for Impeachment: The Legal Argument for Removing President George W. Bush from Office" (St. Martin's Press、2006)。彼の著作は、www.thiscantbehappening.netで読める。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article21470.htm

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そう、郵政破壊を進めたコンビの顔をテレビで見るたびに、液晶テレビの画面を何度もスリッパで叩きたいと思ったことを訳者は認めざるを得ない。同じことを考え、想像上、実行する方もおられるのにびっくり。
http://jp.youtube.com/watch?v=gYbjzv7cmN0

ただ、そう思う対象が、大変に困ったことに、あの二人だけ、あるいは昔の話に限らないのだ。今も、政治ニュースに現れる、似非二大政党の大物連中を見ると、全く同じように思えてしまう。きっと、この国に暮らす限りは。

ところで、上杉隆著「ジャーナリズム崩壊」(幻冬舎刊)をよむと、日本ジャーナリズム固有の制度「記者クラブ」は実に困りものであることがわかる。百害あって一利なし。早急になくすべきだ。ただ、上杉隆氏の文章では、ご自分のアメリカ・ジャーナリズム勤務体験からか、「記者クラブ」が存在しないアメリカ大手ジャーナリズム、いかにも健全なように、読めてしまう。

大統領が変わっても、平然と違法な戦争を進めることに、アメリカ大手ジャーナリズムが異をとなえているようには見えない。アメリカ大手ジャーナリズム、とうてい健全には見えない。「記者クラブ」がなくとも、ゴマスリ・ジャーナリスト連中、国境に関係なく、跳梁跋扈するもののようだ。どちらも、ジャーナリストという名はやめ、大本営広報部員にして欲しい。

80年前のアメリカ・ジャーナリズムの真実を描いた、アプトン・シンクレアの古典「ブラス・チェック」を思い出した。

首相に激励のクリスマス・カードを送る方々がおられるというが、不満の意志も表明したいものだ。

彼等にも、なんとか、クツ辱感を味わって頂きたいものだ。しかし、靴投げをゲームにした、今人気の、「ショック・アンド・オー」(衝撃と畏怖)ならぬ、「ソック・アンド・オー」(靴下と畏怖)と、ペンシルバニア州、ホーンズデールのスキップ・メンドラーさんの発案に学んで、履きふるしの靴下をお送りするなどという、過激な行動はよろしくないだろう。なにしろ、豪邸を見学にゆくだけで、つかまるお国柄だ。

(当初、ムンタデルとしたが、アラビア文字を見ると、ムンタザルのほうがよさそうだ。あるいは、ムンタゼルかも知れない。貧弱なアラビア文字知識では、アラビア文字綴りからは、母音a,eの区別はつけられない。あしからず。)

「阿修羅」に、ごもっともな書き込みがある。

マズゴミよ、いい加減にしろと思った時

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