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2008年11月11日 (火)

中東戦争でのカナダの役割: カナダ...合州国

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(EIによるイラスト)

Hicham Safieddine The Electronic Intifada - 2008-11-05

中東の人たちを含めて、世界中の人びとは、10月14日のカナダ議会選挙になどほとんど注目しているまい。カナダ人自身が国境の南、ホワイト・ハウス大統領選の動向に、むしろ興味があるように見える以上、別に驚くべきことでもない。しかも、カナダの選挙では、議会の構成にはほとんど変化が起きなかったのだ。保守党は、優勢を維持し、少数派による政府を構築したが、自由党は多くの議席を失った。

とはいえ、現状維持となり、投票に至るまでの国民的論議の話題として、海外政策が事実上欠如していたということが、中東におけるカナダの地政学的役割の変容を強化している。そしてこれは今日、大いに懸念すべきことなのだ。アフガニスタンとイラク侵略の後、世界の覇権国という地位を、人の手を借りずに維持するという、アメリカ合州国の能力が部分的に弱体化していることを考えると、カナダが、これから益々積極的な役割を担う可能性があるからだ。バラク・オバマが大統領になる以上、これは一層あてはまる。カナダは、アフガニスタンに大規模な軍事駐留をしている諸国の一つだ。ジョージ・W・ブッシュの子分スティーヴン・ハーパーが率いる保守党は、反戦運動が落ち目になっている時は常に、より積極的なカナダの役割を得ようと努めてきた。ハーパーの政策は、ブッシュのような悪評がまだなく、戦争活動をイラクから、パキスタンとアフガニスタンに移行したい意志を表明している、オバマのようなアメリカ大統領の"穏健な"ビジョンと組にして売りだせば、大衆に一層受けるだろう。

事実は、中東でアメリカの拡張主義を支援する上で、カナダの現在の役割は、一部の人びとが考えているよりも、ずっと大規模で、複雑なのだ。カナダが率いる国際占領軍が、アフガニスタンのカンダハル州に配備されて、この役割は一層あからさまになった。これは平和維持行為や外交に力を注ぐという(少なくとも公式な)政策に反する、海外政策の軍事化への緩やかな移行と軌を一にしている。そして、この移行を自由党も保守党も一様に採用した。2005年、自由党は、軍事予算を、五年間で130億ドル(全てカナダの数値)増加すると約束した。2006年に、保守党が政権を獲得した。彼等は、新たな機器や兵器の購入を目指した150億ドルに加え、20年間にわたって、軍事支出を年間2パーセント増加すると発表した。180億ドルもの軍事予算によって、カナダは、NATO同盟諸国では軍事支出の上で六位となり、軍事輸出の上では、世界第六位に地位に躍り出た。

ところが、アメリカの計画を支援する上でのカナダ役割は、アフガニスタンに限られないのだ。アメリカのイラク侵略には参加しないという2003年の公式決定にもかかわらず、カナダ軍は、作戦中と、作戦終了後に、いくつか重要な役割を担っている。これには、兵站業務(糧食、重機の輸送、補給線の確保)、ヨルダンでのカナダの連邦警察によるイラク警察の訓練などが含まれ、更には軍隊で指導的な立場すらとるにいたっている(ピーター・デヴリンなどのカナダ人司令官は、トップの地位についていた)。元駐カナダ・アメリカ大使ポール・セルッチは、 侵略作戦中の2003年3月、「皮肉なことに、カナダの海軍、飛行機および兵員は ...このイラクにおける戦争で、イラクにおけるアメリカの行動を全面的に支持している46のほとんどの国より、ずっと大きな間接的支援だ ...」と指摘し、カナダによる共謀の範囲を請け合っている。

カナダ海外政策の軍事化は、軍の元大統領首席補佐官リック・ヒリエルを生み出すという、軍隊イデオロギーの衣替え現象を伴った。ヒリエルは、マスコミお馴染みの人物となり、政治的野望で汚されることのない、信頼できる権威筋として、アメリカ人司令官のデヴィッド・ペトレイアスやトミー・フランクスなどと同様な役割を担ったのだ。

アラブ・イスラエル紛争に関するカナダの立場は、決して極端ではないとは言えないものだ。カナダのイスラエルに対する支援は増大しつつある。カナダ政府は、ハマースが選ばれた後で、パレスチナ政府に対する援助を停止した最初の西側大国の一つだ。息の詰まるようなガザ封鎖が、パレスチナ国民を傷つける可能性があるにもかかわらず、自由党の有力選挙候補者の一人、ケン・ドライデンは、「 ガザに流れ込むあらゆる援助を止めよ」と呼びかけることをためらわなかった 。

レバノンに関しては、ハーパー首相は、2006年のイスラエルによるレバノン侵略を、"予定の反撃"だと呼ぶ一方で、ヒズボラの軍事・政治部門は、数年前にテロリスト・リストに加えられた組織に、参加しているとしている。

国内的に、歴代政府は、いわゆる"対テロ戦争"という点で、イスラム教系のカナダ国民に対する最小限の義務に答え損ねてきた。最近作られた法律が、ビザ申請に関する決定的な立場の上で、移民省により強い発言権を与えたが、この動きを、移民の活動家たちは、透明性を損ない、応募者に対する、民族的、人種的プロファイリングへの道を開くものだと解釈している。しかも、カナダは、アメリカと同盟している西欧諸国中で、自国民をグアンタナモから本国送還をさせそこねている、唯一の国なのだ。今年公開されたビデオは、カナダ人抑留者オマール・カドルの拷問に、カナダ外交官が連座している度合いのひどさを明らかにした。ビデオが公開されても、カドルの弁護士が期待していたほどには、大衆が騒ぐ事態にいたらなかった。この最近の事態は、カナダ政策の変化の重大さと、そのような変化に対する国民の認識と承認との間にある溝を明らかにしている。大衆の想像上では、国際的平和維持軍というカナダのイメージが、依然として支配的だ。カナダは、歴史上、ずっとそうした平和維持の役割を維持してきたというわけではない。実際、カナダは、アメリカの多くの帝国主義者的な試みにおいて、アメリカを支持してきた。1950年代の朝鮮戦争から、ハイチにおける体制転覆、そして最近ではアフガニスタンに至るまで。しかし、概してカナダのやり方は、決してアメリカほどには侵略的ではなく、カナダは国際法や多国間外交に多少の配慮を示してきた。それが今や蝕まれつつあるのだ。

こうしたこと全てから見て、カナダを穏健派勢力として扱うのは、見当違いであることがあきらかだ。カナダは、今日、きっぱり、ネオコン・アメリカ陣営に属している。だから、これこそが、中東におけるアメリカの海外政策に反対している政治家、外交官、そして活動家たちが、この流れを逆転させるための活動の上で、カナダのそうした立場の人たちに伝えるべきメッセージなのだ。そういう行動をしないようでは、非難に、いや、恐らくは、告発に値しよう。

Hicham Safieddineは、レバノン系カナダ人ジャーナリスト。本記事はレバノンのアル-アクバル紙に2008年10月23日木曜日に掲載された記事を編集翻訳したものである。

記事原文のurl:electronicintifada.net/v2/article9932.shtml

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前空幕長の断片的なニュースが商業マスコミでたれながされている。

1. 日本は侵略国家ではない。

2. 真珠湾は、アメリカの罠にはめられたのだ。

(3. だから、今やアメリカの傭兵となって、イラクやアフガニスタン侵略に加担すべきだ。)

商業マスコミは、1にのみ焦点をあてている。これまで、決して、3に触れようとしてこなかった。今後も、決して触れることはないだろう。おそらく、この三点セット、傀儡支配層の合意だろう。

日本にとって、世界にとって、重要なのは、なんとも不思議、理解の困難な、2項から3項への飛躍だ。

3' だから、安保条約を廃棄して、独立する。そして、憲法を変え、自衛隊を日本軍にする。

というのなら、是非はともあれ、論理的整合性がありそうに思えるのだが。

彼の論理の通りにするのであれば、冒頭のカナダ国旗同様?、日の丸には星が51並ぶべきだろう。

国歌なるものも、アメリカ国歌のメロディーで歌うか、アメリカ国歌の歌詞を君が代で歌うか、すべきだろう。

ついでに、国語として、日本語を廃止し、英語にすべきだろう。

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