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2008年11月19日 (水)

アメリカのまぬけなイラク政策

Paul Craig Roberts

2008年11月18日、 "Information Clearinghouse"

あらゆる点から見て、アメリカは、大恐慌以来最悪の経済危機に直面しており、救済措置と景気刺激のため、2兆ドルを当面資金調達する必要性が生じている。これはどんな国にとっても膨大な金額だ。とりわけこれほどひどい債務があって、破産寸前である国にとっては。もしも、海外から金が借りられなければ、印刷するしかない。これはハイパー-インフレーションをひき起こす可能性をもった政策だ。

普通の生活では、債権者たちに援助を訴えなければならない借り手は、自分の財務の安定を取り戻すべく、ありとあらゆる努力をするものだ。だがブッシュ政権は違う。

ブッシュのイラク戦争の現金支払い経費は、現在でおよそ6000億ドルだが、この数値は毎時、何百万ドルも増加している。

更に、負傷し、身体障害者となったアメリカ兵の長期的医療や、消耗した機器の代替費用、戦債の利子支払い、戦争で浪費された資源とマンパワーという無駄な消費といった、既に発生している、ずっと大きな未来経費がある。専門家は、ブッシュのイラク戦争で、既に発生した現金支払い経費と、将来経費は3兆ドルで、増加しつつあると見積もっている。

もしも、2008年11月のミドル・アメリカン・ニューズのリチャード・ラマウンテン記事が正確であれば、こうした経費さえ小さく見える。ラマウンテンによると、アメリカの侵略と占領によって祖国を追われたイラク人のためのアメリカ亡命プログラムは、多数の増加し続けるイスラム系アメリカ人を生み出しかねない。こうした人びとは、アメリカのイラク侵略によって、生活に不利な影響を受けた人びとだ。

もしもアメリカが、アラブ人やイスラム教徒全般に対し、親イスラエル路線を継続するならば、イスラム系人口の増加と、「対テロ戦争」に取りつかれている政府とによってひき起こされるであろう結果は、アメリカの市民的自由にとって、恐るべきものとなる。そうした移民によって持ち込まれる潜在的テロを封じ込めるため、ワシントンは完全な警察国家を押しつけるだろう。アメリカが自前のサダム・フセインを持つことになるのだ。

アメリカの市民的自由にとって問題となりかねない移民を避けるため、戦争は終わらせなければならない。破産したワシントンが、アメリカ経済を救済する目的で、必要な外国の金を借りられるようにするためにも、戦争は終わらせなければならない。

戦争の為の年間現金支払い経費の予算は、外債でまかなわねばならない財政赤字に加え、毎年1500億ドル増えつつある。正気な人間ならば、自国経済を救うために外債が必要な、アメリカのような政府なら、アメリカ軍など求められていないイラクから、アメリカ軍を撤退させるという変化にとびつくはずだと考えるだろう。

そうはせず、ブッシュ政権は、イラクにアメリカ軍を貼り付け、アメリカ政府が何千億ドルも失い続ける条約を実現すべく、イラク政府と一年間にわたって奮闘してきた。

朝鮮戦争は55年前に終わり、それでもアメリカは依然、韓国に軍隊を置いている。

ドイツは1945年に打ち破られ、それでもアメリカは依然、ドイツに軍隊を置いている。

帽子を手に恭しく債権者のもとに行かねばならない国は、まず第一に、どこで経費を削減できるか検討しなければならない。年間7000億ドルの軍事費というのは、手始めとして相応しかろう。

しかしアメリカ政府には、知性より、ごう慢さのほうがたっぷりあって、借金を支払うために、ドルを印刷しなければならない破たん国家へと向かいつつある。

アメリカが、自らを、そしてドル本位制を救うのに、まだ遅すぎるわけではないが、それには、ごう慢さから謙虚さへの迅速な移行が必要だろう。アメリカ以外の各国は、アメリカに金を貸すのを止めることで、アメリカを破滅させることができる。その場合、貿易も財政赤字も、資金手当てはされなくなる。

世界は、アメリカをそういう形で破滅させたいと思っているわけではない。アメリカの債権者たちは、自分たちの何兆ものアメリカ・ドル資産の価値をできるだけ保ちたいはずだ。もしもドルが準備通貨であり続けられれば、これはより容易に実現可能だ。従って、アメリカ政府には、計画を持って債権者を訪問する機会があるわけだ。

あるべき計画とは以下のようなものだ。世界に対するアメリカの覇権を実現するというネオコンの狙いを否認するという宣言。アフガニスタンとイラクの戦争を終わらせ、海外軍事基地を閉鎖し、軍事費を削減することにより、アメリカの年間借り入れの必要性を数千億ドルほど減じる予算。アメリカ国内における付加価値に応じて、アメリカ企業の世界的規模の利益に課税することで、アメリカ国内に職場、製造能力や、輸出の潜在能力を取り戻す新たな企業課税制度。

そのような計画が、ロシア大統領が「共同の家」と呼んだものへの一居住者として、アメリカは、他国の主権と大志を尊重しており、他国と平和的に協力する用意があることを、立証するだろう。そのような計画が、アメリカ政府が借金能力や、返済できる借金には限界があることを自覚するに至り、重要なことから先にやる用意があることを実証するだろう。そのような計画が、アメリカは、関税の壁を設けることなく、維持が不可能な輸入への依存を抑えることができることを示すだろう。

もしもアメリカに、そのような計画を持って、債権者たちに申し入れるような、リーダーシップが有れば、世界中は安心のため息をもらすだろう。今アメリカが直面している多くの経済的困難を避けることもできようし、ハイパー-インフレーション恐慌の可能性も弱まろう。

そのような好ましい結果を得るには、アメリカ人は徳を独占していて、世界に対する覇権を主張する資格がある「なくてはならない国民」なのだという妄想を、ワシントン政府は放棄せねばならない。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article21254.htm

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「日本」という文脈では、少なくとも、下記の文章は補足したほうが良さそう。

日本のまぬけなアメリカ政策

日本は1945年に打ち破られ、それでもアメリカは依然、日本に軍隊を置いている。

それは、日本を守るためではなく、対テロ戦争の世界基地としてだ。

しかも、膨大な基地経費の大半を、なんと自分で負担してくれる。

その上、おどせばいくらでも金が引きだせる暗証番号無用のATMだ。

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