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2008年11月 5日 (水)

NATOの軍艦、ソマリアに向かう

wsws.org

バリー・スミス

2008年11月4日

NATO諸国や他国からの軍艦が、表向き、海賊に対処し、湾中で船舶を護衛するということで、アデン湾、ソマリア海岸沖に合流しつつある。

商船ファイナ号が、9月末北部ソマリアから展開している海賊にハイジャックされて、このラッシュに火がついた。商船ファイナ号は、ベリーズに船籍登録してあるが、ウクライナの企業トマックス・チーム社が運用しており、33輌の旧ソ連T-72戦車と、装甲軍人運搬車、弾薬と保守部品を含む重火器を輸送していた。

武器は、最終的な目的地を南スーダン政府として、あきらかにケニヤで荷降しされるはずだった。同国の大使が、事態を明らかにすべく最近ハルツームに召還されたものの、ケニヤはこれを否定している。

アメリカ合州国政府の主要な心配事は、武器が、アメリカが支援するソマリアの傀儡政権、暫定連邦政府(TFG)に対して戦っている、イスラム教武装反抗勢力の手に渡らないようにということだ。アメリカは海賊には武器の荷下ろしをさせないと断言している。

船は、ダロッド族の一部族マジェルティーンと、ハウィエ族の一部族ハブレ・ゲディールという二つの異なる氏族からなる約50人によって、依然として捕らわれている。ハウィエとダロッド族は、ソマリアにおいて、長らく反目している。海賊は、当初3500万ドルの身の代金を要求していたが、2000万ドルに値下げした。連中は現在500万ドルを要求している模様だ。

現場に現れた最初の軍艦は、「対テロ」作戦の連合機動部隊150からのもので、その主力は、イギリス、フランス、ドイツとアメリカだ。ジブチに基地を置き、部隊は14ないし15隻で、アデン湾、オマーン湾、アラビア海、紅海およびインド洋をパトロールしている。

アメリカ、イタリア、ドイツ、ギリシャ、トルコおよびイギリスからの7隻の軍艦からなるNATOの小艦隊は、アライド・プロバイダー作戦という名で、称するところによれば、国連世界食糧計画(WFP)による食糧輸送を護送支援する目的で、当地に到着したのだとされている。年末に向け、ベルギー、キプロス、フランス、ドイツ、リトアニア、オランダ、スペイン、スエーデンとイギリスの艦船によって、EUがこれを引き継ぐことになったいる。インドも、自国の積み荷を守るために軍艦を派遣すると言っており、韓国も派遣を検討中だという。

穀物の90パーセントが海運で運ばれ、240万人のソマリア人が、毎月30,000-35,000トンの救援物資の輸入に頼っているので、WFPは護衛は不可欠なものと見なしている。しかしながら、元イギリス国防大臣大臣デズモンド・ブラウンはより大規模な懸案を指摘し、EUの安全保障と、生き方の防衛は、世界の貿易経路が確保できることに依存していると語った。「単にEU内部だけの問題でなく、あるいはEUの国境だけでもなく、ソマリアとケニヤ沿岸、より広くはこの世界を石油が安全に移動するのを保障することです」と彼は言う。

フランスの外交官も、国際海事警察を立ち上げようと、国連総会でロビー活動しており、フランス大統領ニコラ・サルコジは、そのような機関が、海賊に対し、「予防的」および「懲罰的」という両方の行動をするよう要求している。

ソマリア外務省は、事前に、外国部隊が、ソマリア当局と協調することを条件に、もし必要であれば、海賊に対して、武力を行使する許可を出している。NATOは、その交戦規則に基づき、国際法に則って「武力を行使する可能性がある」ことを確認している。

ロシアも乗り出した

ロシアも、ロシア人乗組員が二人いる商船ファイナ号がハイジャックされる直前から、地域にフリゲート艦を派遣していた。セルゲイ・ラヴロフ外務大臣は、この地域に海軍艦船を所有する諸国は、海賊に対して協力して対処すべきであり、ロシアは「アメリカやEU同様に」海賊に対する国際行動を要求する国連決議を元に行動すると語った。

「既に配備されている海軍と協調するのは効果的だろう」とラヴロフは語っている。「万事、その方向に動いているようだ。」

ソマリア大統領アブドゥラヒ・ユスフは、沿岸と、ソマリア国内の両方で、ロシア軍が海賊と戦う許可に合意し、ソマリア国内に、ロシア軍基地設置の可能性を開いたが、ロシア軍がTFGにてこいれする可能性もある。

ソマリア国内の敵対勢力間における最近の和平合意のもと、エチオピア はソマリアから、今後数カ月の間に兵員を撤退させる可能性がある。戦車を含む、エチオピアの兵器の積み荷は、撤退の一環として、モガディシュ港を先月出航した。ピーク時の15,000-18,000人に対し、現在ソマリア国内には、わずか2,500人のエチオピア人兵士しか残留していない。

ソマリアの在モスクワ大使モハメッド・マフムード・ハンジュルは、「ロシアには、わが国との軍事的、技術的協力を出来るだけ早急に開始して欲しいと願っている。現在、両国の外務省間で、ソマリアの国境警備隊、戦闘部隊と治安部隊の訓練における、ロシアの援助についての、前向きな交渉が進行中である。」と発表した。

ソマリアは、旧ソ連の共和国、南オセチアと アブハジアの独立を承認する意向も発表した。今のところ、ニカラグアのみが、グルジアの立場に反対するロシアの立場を支持している。

ロシアのこの地域への戦略的回帰は本格的だ。ソマリアはずっとアメリカの「対テロ戦争」の最前線だった。しかし、1991年の独裁者マハメッド・シアド・バーレの追放と、ソ連邦の崩壊まで、ソマリアは冷戦中はソ連と同盟していた。ロシアはまた、最近、歴史的にアメリカによって支配されてきたもう一つの戦略的に重要な地域、ベネズエラとの紐帯を作り上げた。

海賊

イギリス外務省のシンク・タンクの一つチャタム・ハウスは、最近ソマリアにおける海賊についての報告書を作成した。報告書は、この地域における、国際的海軍力の駐留を強化することを呼びかけ、海賊と戦うために、ヨーロッパ側の構成部分を強化し、ソマリアに代わり、アフリカ連合または国連が、沿岸警備隊を運用することを提案している。

報告書は、ソマリの海域において、少なくとも10年間、海賊が問題となっており、海賊未遂と実行例の数は、過去三年にわたり増加していると書いている。2008年の海賊件数は2007年の倍以上に増え、60以上のハイジャック未遂と実行となっている。

国際海事局の局長、ポテンガル・ムクンダンは、12隻の船舶と259人の乗組員が、現在、身の代金のかたに、とりこになっていると語っている。国際海事局は、年間16,000隻の船が、アラビア沿岸をアフリカの角を隔てる、長さ920、幅300マイルの湾、アデン湾経由で航海し、そこは世界の石油の10パーセントを輸送するのに使われていると推計している。

スエズ運河への北上途上、紅海に入るため、ソマリア北部海岸で、船舶が速度を落とすので、ソマリアは特に海賊に狙われやすい場所なのだ。海岸線は3,000キロもあり、アフリカでも最長の一つで、小型船には理想的な人けのない海岸が多数ある。

海賊は、作戦の基盤として漁船を使用し、活躍の範囲を拡大し、今やイエメン沿岸迄も到達可能だ。連中はカラシニコフ急襲用ライフルや、ロケット推進の擲弾発射筒等を含む重火器を入手しており、全地球測位システムのついた強力な高速艇を使っている。

東アフリカ船員援助プログラムは、ソマリアにおける海賊の数は、五年前の約100から、1,000以上に増えたと推測している。武装集団は、元々貧しい漁民であることが多いが、わずか数カ月で何千ドルも稼ぐことができる。

海賊は、ソマリア国内における力の真空状態の一症状にすぎない。海賊が事実上消滅していた唯一の期間は、イスラム法廷会議による2006年の下半期、六カ月間の支配の時だけだ。2007年1月に、アメリカが支援するエチオピア軍によって、イスラム法廷会議が追い出された後、海賊は急速に復活し、この期間に、身の代金の平均金額は三倍になった。

チャタム・ハウスは、身の代金は、イスラム教徒のアル・シャバブ民兵への資金を含め、ソマリアでの戦費の足しになっていると考えている。アル・シャバブの広報担当シェイク・ムフタル・ロボウは、これを否定しているが、一方で「商船を乗っ取ることは犯罪だ。」が「アラーの敵のために武器を運搬する船舶をハイジャックするのは、別の話だ。」と語っている。

海賊たちは、いかなる集団とも距離をおいている。「我々は武装反抗勢力や、テロリスト組織とは無関係だ。金が欲しいだけなのだ」と海賊のスポークスマン、スグレ・アリは語っている。「自分たちは海賊だとは思っていない。我々の領海で、違法に魚を獲ったり、ゴミを廃棄したり、武器を携行したりしている連中こそ海賊だ。我々は自分たちの領海をパトロールしているにすぎない。我々を沿岸警備隊のようなものと考えて欲しい。」

海賊の攻撃によって、保険加入者の中には、船舶が自前で警備を雇って、40パーセントも保険料を値引きするものもあるが、アデン湾を使う船舶の保険料は十倍も上がってしまった。これは警備会社の、この地域への殺到を招いており、イラクでの事業を縮小しつつあるブラックウォーター・ワールドワイドのような警備会社にとって、潜在的に儲かる可能性が高い新規市場となっている。

国際海事局は、武装警備員を乗船させれば、海賊の武器使用を促進したり、軍備競争を誘発したりしかねないと警告している。ブラックウォーターは、2007年9月に、17人のイラク民間人を射殺した件での役割に関し、現在調査されている。

「警備会社はイラクでは、常にお手柔らかだったわけではないが、ソマリアは、かなり微妙な状況にあると思います」チャタム・ハウスのロジャー・ミドルトンは語っている。

しかしながら、最近、ある有力なイギリス海軍司令官は、基本的に、海賊と戦うというのは、法的には非常にややこしいことだという前提の上で、この地域を航海する商船は、自費で民間警備会社を雇って、脅威に対処するよう、強くうながした。

「それが大きな流れです」とアメリカ第五艦隊のスポークスマン、ネイト・クリステンセン大尉は同意している。「船会社には、自らの安全を確保すべく、事前防止対策をとることを奨励したい。」

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2008/nov2008/soma-n04.shtml

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海賊対策に自衛隊をソマリア沖に派遣してはという提案、民主党の長島昭久氏が2008年10月17日、テロ特別措置法委での質問時におこなったものだった。

自民党の発案ではない。asahi.com新聞では、攻守所を変えたようなニュアンス。

海賊対策に自衛隊 首相、ソマリア沖派遣に新法検討

ともあれ上記記事、両党(正しくは傀儡政党の二大派閥)への情報源、圧力源に近そう、に思えてしまう。宗主国のキャッチ・フレーズ「チェンジ」の実態は、与党政党の名前や、大統領らの名前がすっかり変わったことだった。確かに「チェンジ」とはいえる。ただし、戦争拡大政策はもちろん継続される。

同じように、属国でも、政権が「チェンジ」すれば、与党の名前や、首相の名前がすっり変わり、属国政策は、無事、継続されるのは明らかだ。そのために、目くらましのためにこそ、「チェンジ」するのだろう。

森田実の時代を斬る 08/12/30(その1)で、派兵反対に奮闘されている記事がよめる。

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