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2008年10月16日 (木)

アメリカ諜報機関と軍、アフガニスタン戦争の暗い先行きを予想

World Socialist Web Site

Bill Van Auken

2008年10月11日

ブッシュ政権がアフガニスタンへの容赦ない爆撃で「不朽の自由作戦」を開始して以来七年後、アメリカの諜報機関は、荒廃したこの国の状況は「大幅下落」状態にあり、アメリカが支援する政府を安定化させ、増大する武力抵抗軍事的に打ち破る見込みは芳しくないと結論づけた。

水曜日ニューヨーク・タイムズが引用したアメリカ当局筋によると、これらは、作成最終段階にある、機密扱いの国家情報評価(NIE)草稿に書かれた結論だ。

タイムズの記事によると、16の個別アメリカ諜報機関の合意であるこの報告書は、「アフガニスタン中央権力の崩壊は、ハミド・カルザイ大統領の政府内部での汚職の横行や、パキスタン国内の隠れ家から、益々高度な攻撃をしかけている過激派の武力行為の増大によって、拍車がかかっている。」と結論している。

本質的に、ワシントンがアフガニスタン戦争に敗北する危機にあることを警告するものであるこの報告書は、アメリカにおける11月の選挙が終えるまで、最終的な形では、発表されないことになっている。

アメリカとそのNATO同盟諸国が、占領軍を兵士20,000人ほどで増強した中、過去18カ月、強化されたアメリカの空爆や戸別急襲で殺害された親戚の仇をうとうとしている民間人で兵卒数が膨れ上がっているアフガニスタン人レジスタンス戦士が遂行する武装攻撃回数は50パーセント増加した。

火曜日、南部のヘルマンド州の村人たちが、アメリカの空爆で40人の民間人が亡くなったと報告した。一軒の全壊した家では、夫婦と夫婦の子供8人が亡くなった。村人は、爆撃の時点ではこの地域にはタリバン戦士などいなかったと報告している。

「民間人死傷者を確認した報告はある。ただし現時点では何人かは不明だ」アメリカが率いる占領軍の簡潔な声明にはそう書いてある。

ペンタゴン自身が、水曜日、アフガニスタン西部のヘラト州、アジザバード村に対する。アメリカ軍8月22日の空爆で、当初、民間人は一人も亡くなっていないと否定していたアメリカ軍が、実際に何十人もの民間人、その大半は子供たちを虐殺した事実の承認を強いられた。22人の「反同盟軍戦士」と共に33人の非武装の男性、女性と子供を殺害したことを今や認めている。アフガニスタン当局は、90人の民間人、そのうち大半が女性と子供、が攻撃で亡くなったと主張し続けている。

カルザイをトップに奉じるアメリカの傀儡政権に対する敵意は、同国の経済が悪化し続ける中、増大している。最も新しい数値では、全国的な失業率は40パーセントで、国民のほぼ半数が、最小栄養必要量に会った十分な食糧をとれずにいると推計している。

アメリカの推計によると、政府軍は国の三分の一以下しか支配しておらず、多くの人々がこの数値すら過大評価だと考えている。一方、アメリカが率いる占領に反対する、タリバンや他の勢力が、益々広い地域の支配を確立し、自派の知事、裁判所や警察部隊をしつらえている。

同時に、官僚の汚職が横行している。NIEは、麻薬取引が、同国の国民総生産の、ゆうに半分にものぼっていることを確認している。

NATO当局は、今週、ペンタゴンの推計によれば、タリバンが6000万ドルも稼ぎだしている麻薬取引を抑制するために、外国占領軍を使用することで、アフガニスタン政府と合意に達したと発表した。ドイツ、スペインと他のNATO同盟国は、それは占領に対する国民の反対を燃え上がらせるだけだと考えており、そのような動きに反対している。

問題は、政府高官たちが、恐らく更に相当な金額を麻薬取引から得ている事実によって、一層複雑になる。先週ニューヨーク・タイムズはアフガニスタン大統領の弟アフメド・ワリ・カルザイが麻薬取引に関係しているとする複数当局者を引用する記事を載せた。

同紙は「DEA [アメリカ麻薬取締局] 幹部と、国家情報局が、ホワイト・ハウスがアフメド・ワリ・カルザイに対し、政治的に微妙な問題であるため、傍観主義的な態度を好んでいる。」と自分たちに、こぼしたと話したアメリカの麻薬捜査官の発言を引用している。

アメリカ諜報機関が草稿を書いた陰鬱な評価は、今週、軍上級司令官によって確認された。

統合参謀本部議長のマイケル・マレン海軍大将が、ペンタゴンの記者たちに 木曜日 アフガニスタンの状況は、過去二年間「誤った方向」に向かってきたと語った。

「全体的に、傾向は良い方向に向かってはいない」マレンは述べている。「これら全ての課題に対処できなければ、来年は一層大変になるだろう。」

また木曜日には、駐アフガニスタン・アメリカ軍の最高司令官デービッド・マキャナンが、フランスの通信社AFPに「究極的には、この国における解決策は、軍事的なものではなく、政治的なものだろう」と語った。

ワシントンの諜報情報による推測とアメリカの司令官たちの発言は、駐アフガニスタン・イギリス軍司令官とイギリス大使が行った最近の評価を反映している。

退任するアフガニスタン駐留イギリス軍司令官マーク・カールトン-スミス准将は、先週末、報道陣に「この戦争には勝てそうもなく」望みうる最善のことは、「反乱を、戦略的な脅威にならない程度の、御しやすいレベルに下げることだ」と語った。

一方、フランスの雑誌ル・カナール・アンシェネは、先月の駐アフガニスタン・イギリス大使シェラード・カウパー・コールズと、フランス当局者との会談を記録したメモで、カウパー・コールズが、アメリカ-NATOの同国への軍事駐在は、「解決ではなく、問題の一部そのもの」だと主張したものを引用した。

その文書によれば、イギリス大使は、腐敗して破綻したアフガニスタン政権は、ひたすら外国占領軍のおかげで存続していると語っている。この危機から脱出する唯一の方法は、カルザイ政権を「無難な独裁者」で置き換えることだと断言した。

イギリス当局は、明らかに、アメリカが始めたアフガニスタン戦争は、勝利できないと結論しており、アメリカ軍司令官達や、イラク占領への152,000人の兵士、および、アフガニスタン内の33,000人という展開によって、限界点までぎりぎりに広がっているアメリカ軍は、概して、同意しているようだ。

しかしながら、ワシントンがこの七年に及ぶ戦争の敗北を認めようとしている徴候はない。2001年9月11日のテロ攻撃に対する報復として正当化されている戦争は、ソ連崩壊後、開放された、中央アジアの石油の豊富な地域に、アメリカの覇権を確立しようという願望の一環だ。これはアメリカ支配層エリートにとり主要な戦略的目標であり続けている。

ワシントン・ポストの報道によると 木曜日、ブッシュ政権は、NIEに答えて、アフガニスタンにおけるアメリカの戦略と戦術の大規模な再評価を命じたが、これは当地におけるアメリカ介入の大幅なエスカレーションを招きかねない動きだ。

ポスト紙によると、近づきつつある選挙と、その後の政権の変化を念頭に「アフガニスタンとパキスタンにおける状況は、きわめて微妙であり、アメリカの新政策立案者たちが落ち着くまでの間に、崩壊しかねないと、幹部たちが懸念を表明している。」

現在検討されているのは、兵士数の大規模な増大と、既にポスト紙が指摘している通り、「軍特殊作戦部隊と工作員が、現在、通常の秘密侵略を遂行している」西部パキスタンへの介入強化だ。

ポスト紙は、アフガニスタンにおいてアメリカ軍が遂行している汚らしい植民地戦争のエスカレーションは、超党派の支持を享受していると書いている。

「大統領候補のバラク・オバマもジョン・ マケインも、アメリカの新たな大規模作戦に疑念を呈することはなさそうだ。二人ともアメリカ兵の増員を要求している」とポストは書いている。「しかも、議員たちが資金拠出と兵員数を巡って何年も議論を続けてきたイラクとは違い、アフガニスタンの場合には、より多く、より早く、ことを進めることへの超党派的な支援がある。」

要するに、11月の選挙は、アメリカ人にとって、アフガニスタンとイラクで続けられている戦争に対する圧倒的な反対を表現する機会には決してならない。そうではなく、投票の直前にブッシュ政権によって準備されたエスカレーションは、オバマ、マケインのどちらが投票で勝利しようと、次期政権によっても継続される可能性が益々高くなりつつあるように見える。

下記も参照のこと(英文):

Continuing US air strikes in Pakistan's tribal agencies

[2008年10月9日]

British diplomat paints bleak view of Afghan war

[2008年10月6日]

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2008/oct2008/afgh-o11.shtml

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