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2008年10月

2008年10月30日 (木)

プーチン首相、ロシアと中国、貿易でのドル使用停止を提案

RIAノーボスチ

モスクワ、2008年10月28日

ロシア首相ウラジーミル・プーチンは、火曜日に、ロシアと中国は、二国間貿易を徐々に自国通貨支払いに切り換えることを提案したが、2008年に、総計500億ドルに達すると見られる。

「次第に、自国通貨をより本格的に採用することを含め、二国間貿易用の支払い方式の改善を検討すべきだ」プーチンは二国間経済フォーラムで語った。

課題は困難であることは認めたが、ドルを基本とする世界経済にまつわる現在の問題の渦中にあっては、必要なことだと語った。

温家宝中国首相は、二国間関係の強化は「戦略的」なものだと語った。

「ロシアと中国による相互投資は、既に20億ドルを越えており、これは非常に良い指標だ," 温首相は語った。

彼は、中国の田湾原子力発電所の増設や、モスクワの共同製薬センター開設を含む多数のプロジェクトの成功を讃えた。

国営の石油会社ロスネフチやアルミニウムのチャンピォン、ルスアルを含む多数のロシア大企業は、中国における投資プロジェクト開発の機会を求めていると温首相は語った。

中国首相は、ヘリコプター産業、機械工業、エネルギー部門、木材生産での二国間協力について語り、技術革新部門も、進展の兆しを示していると述べた。

「中国はロシアのWTO加盟に対する揺るぎない支持者だが、この件を政治問題化することにはきっぱり反対する」と温首相は語った。

ロシア首相は中国投資家にロシアの木材プロジェクトに参加するよう呼びかけた。

「ロシアの木材部門への国内および海外投資を歓迎する」とプーチンは語った。「わが国製品の最大の消費者の一つとして、中国は、そうした投資の源になり得る」

彼は、北京に対し、ロシアによる、ワイドボディーのIl-96旅客機における経験に基づく大型旅客機開発支援も申し出た。

記事原文のurl:en.rian.ru/russia/20081028/117991229.html

2008年10月26日 (日)

バイデン、オバマ大統領就任後六カ月以内の"国際的危機"を予言

Kurt Nimmo

Infowars

2008年10月20日

大統領候補オバマは「権力の座に着いて最初の六カ月間のうちに国際的危機に直面し、恐らくは不人気な苦渋の決断ををする際に、彼には支持者が必要だ」と、驚くほど率直な一瞬、ジョー・バイデンが語ったと、ABCニューズのポリティカル・レーダー・ブログで、マシュー・ジャッフェが報じている。シアトルの募金キャンペーンで演説した際、バイデンは、この「実験」は中東かロシアでおきる可能性が高いと言った。経済とも関連しているだろう。

「しっかり身構えてください」バイデンは聴衆に向かって言った。「皆さんのおかげで我々は勝利します、神がお許しになるなら、我々は勝利しますが、これは楽な仕事にはなりません。この大統領、次期大統領は、最も大変な課題を負わされているのです。アウゲイアースの家畜小屋を清掃するようなものです。これは単なる、単に、考えてください、文字通り、これは単なる重大な危機、単なる市場の問題ではないのです。このアメリカ経済は、もう組織的問題なのですから。」

バイデンがこの主張をするにあたって、ギリシャ神話に触れたのは興味深い。黄金の羊の毛皮を求める冒険に出た船、アルゴ号乗組員の一人、アウゲイアースは、彼の家畜小屋の話で良く知られている。彼の家畜小屋は、ギリシャでも最大頭数の家畜を収容していたが、偉大な英雄ヘラクレスがやって来るまで一度も清掃したことがなかったのだ。明らかに、バイデンは、オバマが、並外れた力、勇気、創意、そして男性、女性の両方に対する精力で有名なヘラクレス、ゼウスの息子だと信じさせたがっているのだろう。バイデンはまたイリノイ出身の上院議員を、ジョン・F・ケネディの仲間であるような扱いをした。

バイデンは言った。オバマが、もし選出されれば、来年中に、何か極端に不人気なことをやり、世論の支持は下降線を辿るだろう。「皆さんにお約束します、ここに座っておられる皆さん全員が、一年もすると、'うわー、どうして世論調査でこんな評価になるんだろう? なぜ世論の支持がこんなに低くなるんだろう? なぜ世の中こんなに厳しいのだろう?' 最初の二年間のあいだに、我々は信じられないほど厳しい苦渋の決断をすることになります。ですから、私は今皆さんにお願いをしておきます、今お願いしておきます、私たちから離れずにいるよう覚悟してください。皆さんが、今この時点でお持ちの信頼を覚えておいてください。我々は皆さんに強く支持していただくことになるのですから。」とバイデンは言った。

一体何がふりかかろうとしているのか想像するのに天才など不要だ。既に今明らかなように、グローバル・エリートは、連中の支配力と富を強固にしようとする取り組みの中で、世界中の経済を意図的にだめにしている。そしてこれは、世界的規模で、想像を絶する困難を招来するだろう。プリズン・プラネットとインフォワーズが、首尾一貫して報道しているように、連中は、一つの世界通貨と一つの世界政府を導入する、最終的な企みを始めたのだ。オバマの選挙キャンペーンが、二酸化炭素排出に制限を課すると約束していることを想起されたい。これは世界税の簡潔な表現だ。

しかも連中は、まだ中東でのプロジェクトを終えてはいない。未完の事業の中で、イラン倒壊という企みは目玉だ。更に、そして最も不気味なことに、グローバル・エリートは、ロシアと対決したがっており、とりわけ悪名高いロシア嫌いのズビグニュー・ブレジンスキーがオバマの海外政策を支配していることから、これはオバマの政治目標の中でも特に卓越しているのだ。

こうしたこと全てが、アメリカ人の単なる服従だけではなく、熱狂的な支持や、恐らくはまだ勃発していない戦争の火のような奈落の中に、我々の子供たちを喜んで送り出すことすら要求するだろう。"完全なマスター"としてのオバマが、雄弁や美辞麗句以上の何らかの能力を、まだ実証していないことなどどうでも良い。彼は、我々の支配者により、主として、その人種ゆえに選ばれたのであり、この事実が、彼の政策に対し、効果的な反対を展開することを困難にするだろう。商業マスコミや民主党は、オバマに対するあらゆる批判を人種差別主義者と見なそうとするだろう。三十年以上にわたる差別語禁止が独裁政権用の舞台を用意したのだ。

最後に、今年早々のミッシェル・オバマの警告を想起しよう。アメリカ人は犠牲を余儀なくされる。今や、企業と、グローバリストのインサイダーであるジョー・バイデンが我々に語っているのです。オバマを不人気にするような状況になる、恐らくはジョージ・W・ブッシュよりももっと不人気になると。巧妙に破壊された経済と、果てし無く続くように思われる、継続中の民営化された戦争と侵略さえ、見れば分かる。一党制のどの派の政治屋が大統領になろうと、これから一体何が起きようとしているのか分かる。

記事原文のurl:www.truthnews.us/?p=2420

2008年10月25日 (土)

9/11 サルバドール・アジェンデの遺言 (1973)

1973年9月11日

間違いなく、私にとってこれが皆様にご挨拶する最後の機会になるでしょう。空軍がラジオ・ポルタレスとラジオ・コルポラシオンのタワーを爆撃しました。私は恨みの言葉は申しませんが、失望はしています。私の言葉が、誓約を裏切った人々に対する、道徳的懲罰となりますように。チリの兵士たち、名ばかりの最高司令官、自らを海軍司令官に任命したメリノ提督、そして昨日政府への忠誠を誓ったばかりの卑劣な将軍、自らをカラビネロス[国家警察軍]長官に任命したメンドーサ。こうした事実を前に、私がなすべきことは、労働者の方々にこう申しあげることです。私は辞任しない!

歴史的変遷の場に置かれた私は、国民への忠誠として、自らの命で償います。そして、何千人ものチリ人の素晴らしい良心に、私たちが植えた種子は、永遠にしぼんだままではいないと確信していることを国民に申しあげます。彼らには武力があり、私たちを支配することができるでしょうが、社会的な過程というものは、犯罪や武力によって押しとどめることはできません。歴史は我々のものであり、人々が歴史を作るのです。

わが国の労働者の皆さん。公正さに対する偉大な熱望を単に翻訳するだけの人間、憲法と法律を遵守するとお約束し、その通りにしただけの人間を、常に確信してくださった、皆さんの誠実さにお礼申しあげたく思います。この決定的な瞬間に、私が皆さんにご挨拶できる最後の瞬間に、皆様には教訓を生かして頂きたいと思います。外国資本と帝国主義者が、反動主義の連合をくみ、シュナイダー将軍が教え、アラヤ将軍が守った軍隊の伝統を、破らせる状況を作りだしました。二人の将軍は、この同じ社会階層による犠牲者となりました。この階層は、今日、外国の支援を得て、自分たちの利益と特権を守る権力を奪い返そうと望んで、家にこもっています。

誰よりも、わが国の慎ましい女性たち、我々を信じてくれた農婦、我々が子供たちを気づかっていることを知っていた母親たちに呼びかけます。資本主義社会の優位性を擁護する専門職の協会、階級差別的な協会が支援する暴動教唆に反対し続けている、チリの専門職の人々、愛国的な専門職の人々に呼びかけます。

歌を歌って、喜びと闘争の精神を与えてくれた若者たちに呼びかけます。チリの男性たち、労働者、農民、知識人、これから迫害されるであろう人々に呼びかけます。なぜならわが国には、既にファシズムが何時間も続いているからです。行動すべき義務を持つ人々の沈黙を前にしての、テロ攻撃、橋の爆破、鉄道線路の切断、石油とガス・パイプラインの破壊です。

犯罪が犯されたのです。歴史が彼らを裁きます。

確かに、ラジオ・マガジャネスは沈黙させられ、私の確信ある冷静な声は、もはや皆さんには届かないかもしれません。かまうことはありません。皆さんは私の声を聞き続けるでしょう。私は常に皆さんとともにいます。少なくとも私は、祖国に忠実であった品格ある人間として記憶されるでしょう。

国民は自らを守らねばなりませんが、自らを犠牲にしてはなりません。国民は銃弾によって、殺されたり、蜂の巣にされたりしてはなりませんが、屈辱を受けさせられてもいけません。

わが国の労働者の皆さん、私はチリとその運命を信じています。裏切りが優勢になろうとしているこの暗くつらい時期を、チリの他の人々が乗り越えてくれるでしょう。より良い社会を建設するため、自由な人々がそこを通るように、立派な大通りが、意外に早く、再び開かれるだろうことを忘れないでください。

チリ万歳!  国民万歳!  労働者万歳!

これが私の最期のご挨拶ですが、私の犠牲は無駄にはならないと確信しています。少なくとも、重大な罪や臆病や裏切りを懲罰する、道徳的教訓になると確信しています。

サンティアゴ・デ・チレ

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35年前の1973年9月11日、アメリカの後押しで、軍隊によるクーデターで、アジェンデ大統領は殺された。上記は、その時官邸から放送された彼の言葉、アジェンデ最後の演説。市場至上主義者?ミルトン・フリードマンの流れをくむシカゴ・ボーイズたちが、ピノチェトの元で経済を司ったことになっている。中南米では、911とは、あのクーデターを言うそうだ。

七年前の2001年9月11日のいわゆる「テロ事件」以来、「冷戦」の代わりに、果てしない「対テロ戦争」が続き、日本は無法なイラク、アフガニスタン侵略の、片棒を担がされている。日本そのものが暗証番号のいらないATM。宗主国にまるごと、ふりこめ詐欺をされている。銀行のATMの前で、警察官が誰何しても、国家詐欺はふせげない。

三年前の2005年9月11日 アメリカの後押しで、日本最後の虎の子を朝貢すべく、小泉郵政解散クーデターを受け第44回衆議院選挙が行われた。

そして2008年の今、サブプライム・ローンなる国家規模の金融詐欺の結果、計画的な現代版世界恐慌。

世界的な戦争と大恐慌をおこした宗主国は、最も忠実な属国に、臆面もなく「2008年版年次改革命令書」、(英語版pdfへのリンク )をだした。しつこく、郵政破壊推進をいいたてている。「傀儡政権を使って日本破壊をするのではなく、外国を武力侵略するのではなく、まず自分の経済を建て直せ」というあたりまえのことを、属国傀儡政権は言えない。言わない。大本営発表機関であるマスコミも、もちろん年次改革命令書の内容を説明しない。

年次改革命令書を、だまって実行するだけの日本政府、二大政党のどちらがやっても、変わるはずがないだろう。民主党、本当に野党であれば、年次改革命令書を問題にしているはずだ。

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基本的に下記にあげた英語文書を参考にしたが、スペイン語音声ファイルを聞いてみると、冒頭の放送局の名前からして違う。そこで、スペイン語の文章や、他の言語のwebを参考にさせて頂いた。もちろん、日本語のwebも。(ただしスペイン語も、フランス語も、ドイツ語も、昔ラジオ講座を一年ほど聴講しただけで、こころもとない。英語とて専攻でもないが。)

スペイン語文章

DOCUMENTOS RADIOFÓNICOS EN TEXTO

スペイン語文章 

スペイン語音声ファイル

Salvador Allende 11 sept 1973

英語翻訳文章

Salvador Allende, "Last Words"

日本語翻訳

inti solのブログ 35年目の911

日本語翻訳

アジエンデ最後の演説 1973年9月11日 Web「ヴィクトル・ハラ  Victor Jara 未完の歌

フランス語翻訳

Le fil d'Ariane
Cet autre 11 septembre d'il y a 35 ans: "L'Histoire est à nous, c'est le peuple qui la construit" ou le dernier discours de Salvador Allende. 

ドイツ語翻訳

11. September 1973:Der faschistische Putsch gegen Allende in Chile 

2008年10月23日 (木)

決闘するパートナー:パキスタンとアメリカ

counterpuch

2008年10月3 - 5日、週末版

タリク・アリのインタビュー

ワジャハト・アリ

かつてはインドの単なる「取るにたらない」隣国として、冷淡に見くびられていた国が、今や果てしなく続く「対テロ戦争」の鍵を握る次期戦場として、世界的な注目と精査の的になっている。マケイン上院議員もオバマ上院議員も、先週の大統領選候補者ディベートで、タリバンの本拠地である地域を平定する自分の政策案詳細を語りながら、パキスタンについて触れた。新たに選出されたパキスタン大統領アシフ・アリ・ザルダリとの忘れがたく友好的会談のために、サラ・ペイリンでさえもが、米パキスタン関係についての超現実的特訓コースを受けた。とはいえ、人望の厚い、多作な解説者、著者、評論家であるタリク・アリは、新刊“The Duel: Pakistan on the Flight Path of American Power”で、利己的で、不公平な両国間関係には、現代中央アジアの微妙な地政学的安定性に直接影響する、広範囲な歴史的な根源があることに注目している。本独占インタビューでは、ベテランのジャーナリストで、パキスタン人インサンダーでもあるタリク・アリが、パキスタンの現在の不安定さの、主な原因として、ブッシュ政権、ブット、ムシャラフ、パキスタン軍、そして利己的で圧政的なエリート、を含む全ての顔ぶれに焦点をあてている。

ワ・アリ: PPP [パキスタン人民党]広報担当者、ファラフナス・イスパハニが、最近ウォール・ストリート・ジャーナルに書いた記事の引用から始めましょう。

「ザルダリはパキスタンにとって、一番の期待だ。ザルダリ氏は有罪判決もなしに、政治的な動機による告訴で、11年間もの牢獄生活を味わった。民主的選挙で、彼の党を勝利へと導き、更に存続可能な民主的連立を作り出すのを巧みに助けた。彼は大統領として、安定したデモクラシーの過渡期へと、断固としてわが国を前進させるだろう。」

この引用文にたいする御意見はいかがでしょう?

タリク・アリ: その引用文についての私の答えは、そんなものは政治の白昼夢だということです。ザルダリが今の位置にいられる唯一の理由は彼が[ベナジール・ブットの]結婚相手だったからです。人民党内部においてすら- ベナジール・ブットが生きていれば、政府内に彼の居場所など全くないことは良く知られています。スイスの裁判所が、マネー・ロンダリングと買収で手配中の人物なのです。彼は長年にわたって、妻が二度首相になったのを利用して、パキスタンで一番裕福な人々の一人になった人物です。彼をパキスタンにとって、一番の期待だなどと描くのは、パキスタンの状況の信じられないほど悲しい反映です。

ワ・アリ: 同時に、マケインとオバマ、両者ともアメリカはザルダリと協力するといっていますね。基本的に、二人は彼を国際社会に歓迎しました。なぜアメリカはこれほどうさんくさい過去を持った人物に好意的なのでしょう?

タリク・アリ: ええ、連中が彼を権力の座につかせたのですから。連中は彼の妻と取引をしたのです。連中は、その取引の中身を彼に実行させたがっているのです。パキスタンが、いわゆる「対テロ戦争」で決定的に重要な同盟国と見なされていることを考えれば、彼等がザルダリと協力しようとしなければ、びっくりさせられるでしょう。この二人には - オバマとマケインには - ザルダリの波瀾万丈の経歴と、パキスタンでは彼が人気があるわけではないという事実に気づいてもらいたいと思います。

彼は、間接的に上院と下院によって選出されたことに留意すべきです。パキスタンに、大統領を選ぶ直接選挙があったなら、そしてそれが自由な選挙であったなら、ザルダリが勝っていた可能性はありません。二つ目の点は、基本的に、アメリカに関する限り、パキスタンには、本格的な組織はたった一つしか存在せず、それはパキスタン軍なのです。アメリカは、この組織と長期にわたって、仕事をしてきており、ペンタゴンは、軍こそが自分たちがこの国の中で、必要とし、また信頼しなければならない唯一の機関であることを十分に理解しています。ですから、公式的には、ザルダリが正式な大統領ということになりますが、この国で本当に権力を握っているのは軍なのです。

ワ・アリ: 私たちは、ある種の緊張を目にしているのではありませんか? 最近20人を殺害し、プレデーター無人飛行機が更に4回のミサイル攻撃をした、ワジリスタンでのアメリカの攻撃に対して、ザルダリはほとんど沈黙を保ったままです。パキスタンは、アメリカは承認を得ていなかったと言っています。キヤニ将軍は、アメリカに対して厳しい言葉を発言し、アメリカは、過激派と戦うために必要なことはすると言っています。パキスタン軍、アメリカ合州国とザルダリの間の、この緊張はどういうことになるのでしょう?

タリク・アリ: ええ、アメリカ軍とパキスタン軍との間の緊張だと思います。ザルダリは、おそらく悪役にされるカモなのです。つまり、もしも緊張が高まって、アメリカ兵士がパキスタンに入るような、何か馬鹿げた、分別のないことがおきれば、軍は抵抗せざるを得なくなります。ですから、その時点では軍が仕切るわけですから、ザルダリが何を望んでいるか、いないのか、あるいはどのような取引をしたのかというのは、全く無関係になります。

イスラマバード最大の5つ星ホテル、マリオットが、空高く吹き飛ばされニュースをお聞きおよびと思います。あれは信じられないほど見事に仕組まれています。私はあのホテルに泊まったことがあります。あそこの治安の厳しさは信じられないほどです。ですから一体どうやって事件が起きたのかは、今後様子をみなければなりません。けれども、確かに、これはパキスタンが御しがたい状況になりつつあるという印象を作り出しました。

ワ・アリ: NSCのトップ、スティーヴン・ハドリーが興味深い発言をしています。「パキスタンは、過激派の脅威と戦う用意がない。」彼はこれを公式に発言しています。この反響はどのようなものでしょう? そもそも、これを信用されますか、そしてパキスタンは外部からの助力を必要としているのでしょうか?

タリク・アリ: いいえ、もしもパキスタン軍が、そうしたければ、彼等は確実に、組織を粉砕できるはずだと思います。しかし、ここでまたもや、これは軍内部で物議を醸すものとなるのです。A) そうした連中もパキスタン国民です。B) 軍が、連中に対して行動を起こした時には、いつも大勢の無辜の人々が亡くなっています。C) 軍がこれをやろうとする時には、必ず軍内部、特に自国民を殺害したくはないと言う一般兵卒と下士官の間で緊張を生み出します。

そこで、パキスタン軍がこれをやるには問題があるのです。けれども、アメリカがやってきて、これをやろうとしても、彼等も同じ目にあいます。彼等は無辜の人々を殺害しました。女性たち、子供たちが亡くなっています。過激派とは全く無関係な人々が亡くなりました。たぶん、私たちは、何人かの聖戦戦士たちも死んだという本当の情報を持っていないのだろうと思います。しかし、パキスタン北西辺境地域を大規模な戦場に転換しても、誰の役にもたちません。本質的に、私たちが目にしているのは、非常におかしなことになってしまっている戦争、アフガニスタン戦争からの、ふきこぼれなのです。アメリカの民主党と共和党という、お互い共感して動く政治家達によって支持されている戦争です。権力を巡って争っている政治家たちが、真面目に注目していない戦争です。

ワ・アリ: イラクではなくて、中央アジアが、現在最も封じ込める必要がある主要なホット・ゾーンだという人々がいます。アフガニスタンと、今やパキスタンの両国で復活したタリバンを不安定化させるには、何をすれば良いのでしょうか? 両国での、何らかの形の攻勢が、武力抗争という形でのかなりの反応をひき起こすでしょうか?

タリク・アリ: しかし、イラクが穏やかだという説は私は受け入れません。先週アメリカの襲撃があったばかりで、それでイラクで無辜の人々が殺されました。ペトレイアスさえも、これからずっと増派が成功しつづけるとは言っておらず、今後もかなりの動乱があると考えています。大多数のイラク人は外国軍隊の基地を全く望んではいません。イラクが成功裏に制圧されているというわけではないのです。そう考えるのは幻想でしょう。

ただし、大統領候補者たちが、アフガニスタンのことに集中しているのは事実です。けれども、これは典型的な状況で、NATOとアメリカが率いる軍事占領は、爆撃攻撃で余りに多くの民間人を殺害しています。[アフガニスタン大統領]カルザイですら、余りに多くの民間人が殺害されていると言っています。二つ目は、ハミド・カルザイと、彼の取り巻き連中が、アフガニスタンを支配していることです。カルザイの弟がアフガニスタン最大の麻薬密輸業者だと噂される状況です。カルザイ周辺の人々が、国を食い物にし、入ってくる資金を食い物にし、外国の機関を食い物にし、大半の国民を犠牲にして豊かになるという状況は、そうした全ての理由から、占領を非常に不人気なものにしています。

この結果が、パシュトゥーン民族主義の大きな高まりです。そしてこのパシュトゥーン民族主義の高まりが、現時点では、古いタリバンの員数が膨れ上がるという形になっており、それがネオタリバンと呼ばれている理由なのですが、実に多くのイギリス人現地オブザーバーがこれを目にしています。この組織の構成と性格が、NATO占領の結果、変化しているのを彼らは目撃しています。それが今起きていることであり、ネオタリバンへの支持が日々増大しつつあるのです。これに対決するために、アメリカと西側が、それはパキスタンが悪いのだといっても、意味はありません。

パキスタンという国が、あらゆる非難から免れられると申し上げているわけではありません。おそらくそうではないでしょう。けれども、中心的課題は、アフガニスタン国内における戦争が非常にまずい状態になっていることであり、この戦争をパキスタンにまで広げても事態が良くなるわけではありません。一層悪化するでしょう。パキスタンはアフガニスタンよりもはるかに大きな国で、総勢2億人の人口で、核兵器を持っていますから、この国を不安定化させようとするのは愚劣なことです。

ワ・アリ: 多くの人なら尋ねようとしないような質問が一つあります。中国とロシアの将来的な対応についてお話ください。両国は国境を接する隣国で、既得権益を持っています。戦略的に、この地域における次の動きとして、何がおきるのでしょう?

タリク・アリ: NATO事務局長を含め、NATO幹部は、極めてオープンに発言します。戦略的理由と、軍事的理由で、アフガニスタンにいるのだと言っています。この国は戦略的に開かれた国で、中国と中央アジア、つまりロシアとイランと接しています。アメリカにとって、様々な理由から重要な三カ国なので、それで決してこの国から撤退しないわけです。ちなみに、公的に言われ書かれている占領の狙いだという、良い統治やら、アルカイダを壊滅したり、アルカイダを一掃したりなどというのは事実ではありません。

事実、西側諸国や西側の工作員達が、パキスタンやアフガニスタンのタリバンに、定期的に話をもちかけ、うまく協定がまとまらないものか、様子をみているのは皆が知っています。タリバンは、外国軍隊が撤退するまで、協力を拒否しています。こうしたこと全ての背後にあるのは、アフガニスタン国内に、永久に外国軍事基地を受け入れるような政府を作り出そうという目的です - そんなことは、誰も望んでなどいないのですが。つまり、カルザイは、これに合意しているでしょうが、彼はアフガニンタンで最も人気がある人物というわけではなく、西側の軍隊がアフガニスタンにいなくなれば、あっと言う間に倒れますが、それが問題なのです。そして、アフガニスタンが、永久的に、あるいは半永久的に占領されるということについて、ロシアと中国は非常に怒っており、イランもそうなのです。彼等はお互いの間で、これについて話し合ってきており、中国はこのことを、はっきりパキスタン軍にも言っています。

ワ・アリ: ご本の中で、パキスタンという国民国家が始まって以来、ムハンマド・アリー・ジンナーと顧問たちは、アメリカが命じる政策に従いつづけるように見えると言っておられるようです。両国関係の上で、アメリカは命令を下す側であり、パキスタンは、それに従う側という形です。これは始めからそういうことなのでしょうか、そして、これがわが国の現状につながっているのでしょうか? このような形の精神構造に?

タリク・アリ: 本の中で私が主張したのは、最初の二、三年、パキスタン人エリートたちは、アメリカ合州国を追いかけ回していたことです。なぜなら、最初の10年間、パキスタンを運営した人々の大半は、政治的にも、軍事的にも、イギリスと協力した人々でした。イギリスがパキスタンから退去して以来、彼等は穴埋めをしてくれる誰かを切望していたのです。47年、48年、49年に、アメリカ合州国に対してされながら、インドの方がより重要な大国だと考えていたアメリカによって拒絶された嘆願の数々を、私は詳細に引用しています。

やがて、冷戦の高まりとともに、そしてインドが非同盟運動の中で中心的な国となると、パキスタンは、ワシントンにほぼ乗っ取られ、イランやトルコと一緒に、あらゆる安全保障の場に組み込まれたのです。

その時以来、パキスタン軍は、パキスタンの政治上、非常に重要なメンバーとなりました。また著書の中で、50年代以後、パキスタンがアメリカ権力の飛行航路上にあるという事実が、パキスタンにおける政治の自発的発展をむしばみ、次々と危機がおきるのだというようなことを私は主張しています。

そして、冷戦終結後、アメリカはアフガニスタンとパキスタンを放棄し、彼らのするがままにまかせました。この時期、ベナジール・ブットは、タリバンのカーブル支配を押し進め、パキスタン軍は、彼らが「戦略的深度」と呼ぶものを手にいれました。後方支援無しに、タリバンのような寄せ集めの軍隊がカーブルを制圧できたはずがありません。多くのパキスタン人幹部将校や兵卒が加わった良く訓練された軍隊なのです。

9/11以後、今やアメリカが再びこの地域にもどると、ある程度自分自身の判断をすることに慣れていたパキスタン軍も、彼等には卑屈に振る舞う必要があるのです。そして、これが、パキスタン国内で緊張を生み出しているものです。パキスタンが、ロシアに対する戦争において、強力で頼りになる同盟者だった時期は、良く知られているように、これら全ての聖戦集団が、国家によって生み出され、アフガニスタンで戦うよう送り込まれた時代です。

ワ・アリ: 誰であれ国を運営している人物について語る際には、「少なくとも、彼はほかの連中よりは、まだましな悪漢[悪党/ギャング]だ。」というパキスタン的精神構造を、あなたも私も知っています。それが人々の理解であるように思えます。パキスタン人は、どうすれば立ち上がって、機能するデモクラシーの外観を取り戻せるのか、ご説明ください。それともそれは不可能なのでしょうか? これは近未来に期待すべきことではないのでしょうか?

タリク・アリ: 私はそう思いません。ご指摘になっている、パキスタンについて、様々な理由から西側マスコミでほとんど報道されないことの一つに、アメリカ憲法でそうなっているように、裁判官を政府から切り離そうという要求の、弁護士達が率いた大規模な憲法運動があったと思います。この動きは実に大いに高まりました。そして最高裁判所の最高裁長官に対するムシャラフの二度の別個の解任が、運動に油を注ぎました。

こうした運動は今や鎮圧され、軍ではなく、ザルダリが、最高裁判所を分裂させ、最高裁長官が戻るのを拒否し、最高裁判所に他の最高裁判所長官を選び、彼もまた、首にされ、同僚に反対し、復帰しました。そこでこの運動は非常に強烈な打撃を受けました。

しかしこれで明らかになったのは、国民側からの違う秩序に対する要求です。それがパキスタンの国民が望んでいるものだということは疑う余地がないと私は思っています。ただ不幸なことに、国民を代表する政党は芯まで腐敗しています。彼らの大半は- 主要政党は全て - 腐敗しています。

今の状況はこうです。またもや西側のマスコミでは報道されるのを見たことがないのですが、ブット家の政党が、公式な名称はPPPですが、こうしたムシャラフ政権のかなめであったグジャラート出身の政治家たちと背後で交渉をして、パンジャブにあるシャリフ兄弟政府のムスリム同盟を一掃することができるよう、連立して欲しい、と彼らに懇願しているのです。それで、またこの国の常として、商売の話になるわけですが、当面、国家が危機的な状況にある今、これは極めて気が滅入ることです。

ワ・アリ: パキスタンには同じ顔ぶれしかいなというのは残念なことです。彼の経歴はそれを反映したものとは言えないにせよ、デモクラシーの先鋒にたっているかに見える、パンジャブのナワズ・シャリフに触れておられます。そして、ザルダリとPPPが、もう一つの封建的な一家があるわけです。そしてパキスタン軍です。この三者が、アメリカが今相手にすべき顔ぶれなのでしょうか?

タリク・アリ: 彼らが主要な三者です。パキスタンには、このレベルでは他に誰もいません。ついでながら、ナワズ・シャリフは、全く封建主義的な人物ではありません。彼らは都市の企業利益の代表です。常にそうだったのです。彼らは土地所有の家族ではありません。PPPの中には、依然として非常に多数の地主がいます。特にシンドーでは。しかし、全部がそうだというわけではありません。そして軍 - この三者がパキスタンにおける主役です。願っても無駄だとはわかっていますが… もちろん、他にも顔ぶれがいたらと思います。今のところ、彼らが主な顔ぶれなので、誰であれパキスタンと話そうという連中は、彼らと話すしかないのです。これを避けることはできません。

ワ・アリ: 西欧の多くの人々や、また多くの国外居住パキスタン人がおこなう発言に、「ほら、ムシャラフにやらせておけばよかったのだ。ムシャラフがいればこういうことは起きなかったろう。彼が最善だったとは言えないにせよ、少なくとも彼は過激派と戦った。」この発言は真実でしょうか? あなたのお考えではムシャラフの遺産とは何でしょう?

タリク・アリ: ええ、ムシャラフの遺産というのは非常に複雑なものだと思います。彼が過激派に対処できるなどというのは本当ではありません。本質的に、彼は連中と合意したのです。「我々を攻撃しなければ、我々もそちらを攻撃しない。」ムシャラフを暗殺しようとする企みが三度ありました。過激派連中が招かれ、言われたのです。「我々に近づくな、そうすれば我々もお前たちには近づかないし、我々が何かをするためにお前たちを必要とする時が来るかも知れない。」ですから、ムシャラフがこの件については非常に強力だという考えは、もちろん全く嘘です。第二に、ムシャラフが、最高裁判所から裁判官を排除するためだけの目的で、国の非常事態を宣言した時に、彼の足場は完全にくずれました。彼に留任して欲しいと願っている人は誰もいませんでした。軍における彼自身の権力基盤がもはや存在しないのです。軍を離れ、軍服を脱ぐよう強いられたのですから。それで彼は立ち往生させられたのです。彼を権力の座に留めようとしていたのはアメリカ合州国だけです。ジョン・ネグロポンテは、ブッシュがホワイト・ハウスにいる間は、ムシャラフも権力の座にあって欲しいと言っています。

けれども、当時舞台裏では、アメリカ支配層の中で、チェイニーのオフィスと(ザルメイ)ハリルザドの間で、派閥間の激烈な戦いが起きていたのです。ハリルザドは、ムシャラフを脇に追いやって、直接ザルダリと交渉しており、国務省には知らせずにムシャラフを排除するキャンペーンを組織するのを手助けして、本当の怒りをひき起こしました。リチャード・バウチャーのハリルザドについての電子メールを読めば、実行されたことに対して、彼が激怒していたことが非常にはっきりしています。

ハリルザドが、ムシャラフを追い出した理由は、ムシャラフと、ハリルザドのカーブルにいる子分ハミド・カルザイとが、お互い嫌いあっているからだと思います。ムシャラフは、そのことを全く隠そうとしていません。それにハリルザドは、おそらくザルダリを見て、もう一人のカルザイ的人物として使えそうだと思ったのでしょう。いくつもの海外の裁判所でのザルダリに対する告訴や、彼の海外財産を考えれば、彼を支配することが可能なのですから、アメリカ合州国にとって、彼は願ってもない人物なわけです。

ワ・アリ: ご本の中に興味深い文章があります。それは「パキスタンは、インドに対して、永久的な危険だというコンプレックスを抱いている。」というものです。これを説明いただけますか?また、今にも爆発しそうな、現状に対して、それはどのような影響をもつのでしょうか?

タリク・アリ: 事実、パキスタン人エリートは、確かに[劣等感]を持っているということです。とても面白いことですが、ニュー・アメリカン・ファウンデーションによって行われたパキスタンでの最近の大規模世論調査では、大多数の国民はアメリカ合州国を世界平和にとって最大の脅威と見なしており、国民のわずか11パーセントしかインドを敵と見なしていないことがわかりました。これはつまり、インドに関する限り、大きな変化で、大変に前向きなものだと思います。私の主張は、パキスタンはワシントン時間から、南アジア時間に移行すべきだということです。亜大陸の将来として、政権を作り、問題のいくつかの解決を進めるには、全ての南アジアの国家間でのある程度の共通性と協力とが必要です。それこそが、なされるべきことです。

しかし、インドに対するこの永久的な憎しみは危険です。核保有国であるインドやパキスタンにとって危険なことです。二国間の戦争は、容易に何百万人もの死を招く核戦争を生み出しかねません。これを今、両者が認識したのだと思います。

ワ・アリ: 最後の質問です。パキスタンにおける「原理主義」の高まりについてお話したいとおもいます。パキスタンは信仰深い国です。人々は宗教や精神的な信仰を信奉しています。パキスタンにおける宗教の役割についてはどうお考えで、どうあるべきだとお思いでしょう?

タリク・アリ: パキスタンがイスラム教国家だということについては、議論の余地はないと思います。国民の大半はイスラム教徒です。けれども事実は、西側におけるパキスタンの一般的なイメージ、聖戦テロリストが核施設を乗っ取るおそれがあるというのは、全くの誤りです。パキスタン人の大半は、聖戦テロを支持していないのです。選挙のたびごとに、それは明らかにされています。

プンジャブの田舎、シンドーに暮らす人々の宗教は、依然として、本質的にかなりの程度、スーフィ過激主義の反映で、それぞれ個人的に創造主を見いだし、既成宗教に敵意を抱いているというのが、地方では依然として強力です。インドや、言うまでもなく、アメリカ合州国の、極めて信仰深くなって、信心深さに惹かれて、タブリーギ・ ジャマートの組織に加わる人々と同様、パキスタンの中流と中流の上の階級です。

しかしながら、普通の人々は、全く、そのような兆しは表していません。ごく少数の人々だけが聖戦テロに惹かれているわけですが、国の大きさを考えれば、これはもう極微小です。ですからパキスタンが直面している本当の問題は、宗教の大幅な伸長ではなく、国民に対して何もしようとしない、腐敗して酷薄なパキスタン人エリートの大失敗、完敗なのです。

教育制度は惨めな状態です。健康保険制度はほとんど機能していません。保護シェルターの問題があります。今や著しく高い小麦価格の状態で、国民を食べさせるという大問題があります。パキスタンでは、赤ん坊の60%が栄養失調で生まれるひどい栄養状態だという国連統計があります。これこそこの国が直面している本当の問題です。

これに対処できる政府が実現しない限り、パキスタンの危機的状態は続きます。今、持てるものと持たざるものとの間の、金持ちと貧乏人の間の大きな溝に対する本当の怒りが存在しています。それはごく些細な口実で、暴力沙汰へどっと流れだしかねません。国民は、これにたいして今本当に怒っています。

ワジャハト・アリは、パキスタン系のイスラム教アメリカ人。彼は脚本家、エッセイスト、ユーモア作家で、and Attorney at Law, 彼の作品 “The Domestic Crusaders” は、9-11以後のアメリカに暮らす、イスラム教アメリカ人についての、始めての演劇。彼のブログは http://goatmilk.wordpress.com/. 彼の連絡先は wajahatmali@gmail.com

記事原文のurl:www.counterpunch.org/waj10032008.html

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インタビューのもとになっている書籍、パキスタンでは禁書のようだ。

「対テロ戦争」というテロ行為の火種の仕込みを担当しているのがパキスタン。戦費をまきあげられているのが日本。両国は、アメリカのテロ行為の両輪だ。パキスタンの話、とうてい人ごとと思われない。民主党の協力を得て、やがて軍もアフガニスタンで血を流す。戦争資金をむしられた上に、違法な侵略への傭兵計画を押し進める二大政党や宗教政党、国民には空虚な「愛国心」を強いながら、「売国政治」に邁進している。計画倒産ともいえるアメリカ・バブル崩壊でも、日本はまたもや、資金を搾り取られる。

インタビューの言葉、国名を入れ換えれば「そのまんま日本」。

50年代以後、日本がアメリカ権力の飛行航路上にあるという事実が、日本における政治の自発的発展をむしばみ、次々と危機がおきている。

ただ不幸なことに、国民を代表する政党は芯まで腐敗しています。彼らの大半は- 主要政党は全て - 腐敗しています。

「少なくとも、民主党は自民党よりは、まだましな悪党だ。」という日本的精神構造を、あなたも私も知っています。それが人々の理解であるように思え
ます。日本人は、どうすれば立ち上がって、機能するデモクラシーの外観を取り戻せるのか、ご説明ください。それともそれは不可能なのでしょうか?
これは近未来に期待すべきことではないのでしょうか?

これに対処できる政府が実現しない限り、日本の危機的状態は続きます。

しかし、末尾は大きく違う。

それでも、属国日本の国民は、これにたいして怒ることはありません。

(ガバン・マコーマック「属国」のご一読を、強くお勧めする。冷戦からガイドライン以降(92ページから)の実態。東アジアの英国になる日本(121ページから)の悲惨な未来、目に見えるようだ。これも、事実上、禁書状態?大手紙には一切書評が載らない。ただし中日新聞は、書評を掲載した。敬服する。作家目取間俊氏の「海鳴りの島から」にも秀逸な書評がある。)

ガバン・マコーマック「属国」、もちろん小泉・竹中らによる郵政破壊についても触れている(80ページ)。

森田実の時代を切る」に掲載されている10/22のエントリー「10.16森田塾東京教室における林良平氏(調布小島郵便局長)の講義録 郵政民営化の中の郵政事業――職場の現状と問題点」は、読んでいて胸がいたくなる。アフガニスタンや、イラクの問題以前に、国内の郵政破壊問題を解決するのが、「アメリカ支配層向け、属国政治ではなく、日本の庶民に向いた国政」だろう。

民主党、もしも庶民の方を向いているなら、ソマリア沖の海賊より、国内の離島を問題にしただろう。

マスコミがはやしたてる、二大政党政権交代からは、そうした国政、望むべくもない。

2008年10月21日 (火)

世界的金融危機が深化する中、パキスタン破産に直面

WSWS

Vilani Peiris

2008年10月20日

政治的不安定さに見舞われ、世界的経済危機による大きな打撃を受け、パキスタンは、デフォールトにひんしてゆらいでいる。パキスタンの外貨準備は、約六週間分の輸入に等しい45億ドル程度にまで減少し、海外投資家は大挙してパキスタンから逃げ去り、ルピーは急激に暴落した。国際格付け機関スタンダード・アンド・プアーズは、パキスタンを、既にデフォールトとなったセイシェルよりはましというだけの位置にまで引き下げた。

国家財政を建て直すために、最大100億ドルの注入を、政府は必死になって探し求めている。長年の盟友中国からの支援を期待してきたが、先週金曜日、アシフ・アリ・ザルダリ大統領は、何の現金支援の約束も得られずに北京から帰国した。もう一つの古くからの同盟国サウジアラビアはパキスタンへの石油輸出に対し、財政的特権の供与を拒否した。

最終的な選択肢として、パキスタンは、IMFに助けを求めざるをえなくなる可能性がある。 そのようなステップは、必ずや貧困層に打撃を与えるような不快な紐付きとなることは確実であり、更なる社会的騒乱をひき起こそう。首相の財政顧問シャウカット・タリンは、もしもパキスタンが他の機関や同盟諸国から資金が得られなければ、三から四週間以内に、IMFに書状を書くつもりだとBloomberg.comに語った。

パキスタンは、価格補助金の終了、より厳しい金融政策や、財政赤字削減計画を含む経済安定化計画を既にIMFに提出してあると、タリンは語っている。そのような緊縮政策は、更なる価格上昇や、パキスタンの限られた社会的支出の削減を招こう。パキスタン使節団がIMF幹部とドバイで今日と明日会談の予定だ。

いかなる財政崩壊の衝撃も、アフガニスタン国境沿いのイスラム教民兵に対する戦争を強化するようにという、パキスタン軍に対するアメリカの要求によって、既に激化させられているこの国の政治危機を、必ずや悪化させることになろう。いんちきな「対テロ戦争」へのパキスタンの支持は、財政支援の議論へと変貌した。あるパキスタン高官はニューヨーク・タイムズにこう語っている。「ずっと我々の売り物は、万一経済が本当に崩壊すれば、それは内戦とストライキがおきることを意味し、対テロ戦争が危機に瀕するということだった。」

アメリカの諜報機関によって草稿がかかれ、マスコミに漏洩された、最高機密の国家情報評価(NIE)は、パキスタンの状況を「資金なし、エネルギーなし、政府なし」と要約していた。マクラッチー紙によると、NIEは、パキスタン政府は、食糧とエネルギー不足、燃料価格の上昇、暴落する通貨と、反乱分子の増大によって促進されている外国資本の大量逃避を含む、加速的な経済危機に直面していると警告している。

わずか二年前には、経済評論家達は、パキスタンを、元の軍独裁者ペルベス・ムシャラフ大統領のもとでの成功談として描き出し、「次期のアジアの虎」だろうと予測していた。しかし、ムシャラフが選挙を強いられた後、状況は劇的に変化した。彼の党は二月に屈辱的大敗を味わい、8月彼は最終的に大統領の座をおりることを余儀なくされた。ザルダリ大統領のパキスタン人民党(PPP)が率いる連立与党は、国境地帯において継続している戦争や、悪化しつつある社会的混乱をめぐって、既に国民大衆の憤激に直面している。

政治危機は、外国資本の大量国外逃避を招き、パキスタンの経済問題を悪化させた。一カ月に12億ドルもの資金がパキスタンから逃げている。ルピーは、年初以来、アメリカ・ドルに対し、30パーセント以上も暴落し、株式価格は、四月に史上最高となって以来、40パーセントも下落した。

パキスタンの窮状は、先週月曜日の、カラチ証券取引所周囲の光景によって、如実に象徴されていた。取引高は史上最低で、怒った投資家達を近づけないよう、警官が建物を包囲したのだ。個人投資家協会の理事長カユサル・カイムハニは、マスコミにこう語った。「株式市場にはもはや個人投資家はいません。彼等は全員たたきのめされました。」7月16日、激怒した投資家達は反政府スローガンを唱えて、証券取引所に投石した。

株式市場は事実上機能不全になっている。8月27日、インデックスが更に286ポイント、あるいは3パーセント下がった際、証券当局は、9,144人の立会場に、それ以上の暴落を防ぐよう強いた。以来、高すぎると見なされていた株からの逃避によって、取引高は史上最低に減少した。立会場は10月27日に廃止される予定であり、海外投資家が20パーセントと見られる彼等の株を投げ売りするので、アナリストは大幅な下落を予想している。株への海外投資は、年初以来、既に48億ドルから20億ドルに減少している。

デイリー・タイムズは10月14日に警告している。「パキスタン株式市場における最近の低落は、バブルがはじけたことを示唆しており、専門家は、これが、株式市場同様に「馬鹿げたほどの高値になっている」不動産市場にまで拡大しかねないことを懸念している。

世界的危機

マーケット・アナリストのムハンマド・シュハイルは、先週ロサンゼルス・タイムズにこう語っている。「世界的危機は本当に火に油を注いだ。今年早々、こうしたこと全てに対処すべき好機があったが、我々はその機会をとらえそこねた。」国際的なクレジットの枯渇は、金融制度が深刻な流動性問題に苦しんでいるパキスタンに、大きな打撃を与えた。中央銀行による、金融システムへの540億ルピーもの注入にもかかわらず、無担保コール翌日物金利は、32から40パーセントという範囲の高いレベルに上がった。

10月10日の「パキスタンは借金せずにいられるか」という題のニューズウイーク記事は、パキスタン内部の混沌とした状態を描いていた。「今回、パキスタン人を神経質にさせたのは、テロリストの恐怖ではなかった。預金者達が、過去数日間にわたって、現金や貴重品を引きだすため、銀行に群がった。悪化しつつある財政状態を救済すべく、政府は今にも、銀行の貸金庫や外貨口座を差し押さえようとしているといううわさが、携帯電話で飛び交った。」元銀行家のシャウカット・タリンを、新しい経済顧問に任命することで、パニックは一時的にはおさまった。

大衆の敵意が高まりつつある様を、ニューズウイークは、こう書いていた。「政治上のライバルや反乱分子の集団に包囲された、ザルダリが率いる連立政府は、経済にてこ入れするため、不人気な政策をとることを強いられている。税金を引き上げて、企業界を怒らせた。政府支出を削減して、官僚に不満を抱かせた。電力料金を上げて、停電にはすでにうんざりしていた消費者と企業を怒らせた。輸入される燃料への補助金を段階的に減らし、バス運賃から料理油にいたるあらゆる物価上昇をもたらし、小規模な、時折の抗議もひき起こしている。」

パキスタンは、 445億ドルもの莫大な対外債務の借金を負っている。パキスタン紙ドーンは、今月、同国の国内および対外借款は、昨年の同時期の10億ドルに比べ過去三カ月で100パーセント増え、22.1億ドルに達していると報じた。借款返済は、政府の大規模財政赤字を助長している。

経済成長は急激に減速している。先週発表されたIMFの世界経済見通し報告は、パキスタンのGDPは、2007-2008年の5.8パーセント、2008-2009年予測の5.4パーセントから、2009年7月から始まる次期会計年度では、3.5パーセントに低下すると予想している。「主な懸念は、世界的な金融制度におけるストレスの累積と、予想していたよりも急速な世界的景気減退である」と報告書は述べている。

一般の労働者は既に、平均で約25パーセントにものぼるインフレの影響を受けている。sensitive price index(SPI)によるインフレ数値は、10月9日で終わる週には、30パーセントに達した。小麦粉、砂糖や運賃といった必需品の急激な価格高騰が報じられている。一番打撃を受けているのは貧困層だ。SPIの数字によると、収入3,000ルピー以下の家庭にとって、インフレは33パーセントだ。

16,900万人の国民のうちおよそ25パーセントは、一日1ドルという貧困ライン以下で暮らしていると政府は推定しているが、他の情報源の数字ははるかに高い。今月発表されたOxfam報告は「パキスタンの貧困な人々の人数は、食料品価格のインフレのおかげで、6000から7700万人に増えた。」と推定している。最も貧しい20パーセントの層は、穀類の購入だけで、収入の50から58パーセントを消費している事実を発見している。

国民の怒りを静めようとして、政府は、ベナジール収入支援プログラムという名のうわべばかりの福祉プログラムを発表したが、それも既に計画を開始する前から、予算を500から340億ルピーに引き下げてしまった。政府が力をいれているのは、財政支援の確保、金融制度へのてこいれや、勤労者にしわ寄せをしながら、より大きな一時的免税を条件にした海外投資家への呼びかけだ。たとえパキスタンがデフォルトは避けられても、急速に悪化する経済・政治危機に直面することは避けられない。

下記も参照:

Continuing US air strikes in Pakistan's tribal agencies

[2008年10月9日]

US-Pakistani skirmish points to threat of wider war

[2008年9月30日]

Marriott Hotel Bombing: another sign of Pakistan's deepening crisis

[2008年9月22日]

US-Pakistani relations remain on the boil

[2008年9月20日]

記事原文url:www.wsws.org/articles/2008/oct2008/paki-o20.shtml

2008年10月19日 (日)

アメリカの覇権追求-「アルカイダの脅威」なるもの

ユスフ・ナザール

2008年10月13日、月曜

ザ・ニューズ(パキスタン)

アメリカ合州国で今受け入れられている認識は、パキスタン北西部の過激派が、パキスタン-アフガニスタン国境沿いに、アルカイダに対する安全な隠れ家を提供しており、アメリカの安全保障に対する最大の脅威は、この地域から来るというものだ。アメリカの高官も、ジャーナリストも、シンク・タンクの誰も、アラン・グリーンスパンが著書『波乱の時代』で書いている疑問を呈しておらず、答えてもいない。

「ワシントンにおいて、なぜ二度目の攻撃がないのだろう?という疑問ほど重要な疑問はありえない。もしもアルカイダの狙いが、ビン・ラディンが宣言したように、アメリカ経済を崩壊させることであれば、攻撃は続くはずだ。アメリカ社会はオープンで、国境は穴だらけで、武器や爆弾を探知する能力は脆弱だ。私はこの疑問を政府の最高レベルにいる多数の人々に尋ねたのだが、誰一人として説得力ある答えを持っていなかった。」

グリーンスパン氏は一般人ではない。彼は、単に連邦準備制度理事会の元理事長だっただけではない。彼は、ジョージ・ブッシュ、ディック・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルドや、他のトップ指導者と長年の知り合いであり、ワシントンの重要人物の誰とでも自由に話すことができたのだ。彼が説得力のある答えを得られなかった理由は、[アメリカ]政府最高レベルの連中が答えを持ち合わせていなかったからだ。なぜだろう?

2007年12月21日、アメリカ国防長官ロバート・M・ゲーツは、復活したアルカイダ・テロリスト・ネットワートは、攻撃の中心をパキスタンに移したと語った。「アルカイダは今やその顔をパキスタンに向け、パキスタ政府とパキスタン国民を攻撃しているようだ」ゲーツは報道記者たちに語った。

ワシントン・ポストは、ペンタゴンのトップは、パキスタンにおけるこの集団の作戦の特徴や場所には具体的に触れなかったと書き、国防長官による評価を切り捨てた、アフガニスタン-パキスタン国境における対テロリスト作戦のペンタゴン専門家の発言を引用している。「ゲーツは、この政権が過去六年間やってきたのと同じように、盲信しているのです」。この人物はあの地域の戦士たちはアルカイダと無関係だとも語っている。この人物、仕事を失いたくないため、匿名を条件に語っている。

アルカイダがパキスタンの他の地域でも、本当の脅威かどうかも明確ではないと、国務長官の元南アジア担当次官補代理テレシタ・C・シャファーは語っている。「明らかに、パキスタンという国家に対する大きな脅威として、過激派の暴力が浮上しています」彼女は語っている。「それがアルカイダかそうでないかは知りません。」

2008年1月2日、それぞれ9/11委員会の委員長と副委員長をつとめた、トーマス・H・キーンとリー・H・ハミルトンが、ニューヨーク・タイムズで社説の反対側に掲載される論説記事を書き、抑留者尋問のビデオテープがあることを政権の誰も委員会に話さなかった隠ぺい工作に関し、アメリカ政府を非難している。「法律問題として、こうしたテープの存在を明かさなかったCIAの過ちを調査するのは、我々の責任ではない。それは他の人々の仕事だ。我々が知っているのは、政府幹部が、この国が直面した最大の悲劇の一つを調査すべく、議会と大統領が作った合法的に制定された組織に、その情報を知らせないと決定したということだ。我々はこれを妨害と呼んでいる。」これが二人の結論だ。

委員会自身、事実の全貌追求には熱心ではなかった。報告書の172ページで、究極的に誰が攻撃に資金をだしたかという問題は「実際上ほとんど重要ではない」と述べ、「今日に至るまで、アメリカ政府は、9/11攻撃に使われた資金の出所を割り出せていない。」と書いている。その通り。9/11委員会は、その報告書で、究極的にこの犯罪に関与した連中につながる、金の流れを追うことは重要ではないと結論づけているのだ。

9/11の黒幕とされるハリド・シェイク・ムハンマドを、逮捕から五年以上過ぎても、通常の民事の連邦裁判所で裁判することをアメリカ政府が拒否していることは周知の事実だ。

なぜアメリカ政府は、9/11攻撃につながるアルカイダの資金の流れを追求しようとしないのだろう? グアンタナモ湾におけるアルカイダ抑留者の何百時間もの尋問を撮影したビデオ・テープを、CIAは一体なぜ破壊したのだろう? なぜアメリカ議会の議員たちによる独自の調査を妨害しようとしたのだすう? なぜペンタゴンとCIAは、ハリドや他のアルカイダ・メンバーを通常の裁判所で裁こうとしないのだろう?

これらは決定的かつ極めて重要な疑問だ。アメリカがこうした極めて重要な疑問に答えられない以上、彼等を批判する人々が、アルカイダがパキスタンに安全な隠れ場を持っているという彼等の理論に疑念を持つのは、当然であり、道理にかなったことだ。

過去において、アメリカ諜報機関はサダム・フセインが大量破壊兵器を持っていると結論づけた。この嘘には、しっかり証拠文書が揃っているので、これ以上のコメントはいるまい。本当の動機は、イラクを征服し、その油田を支配することだった。

2007年10月、ブッシュ大統領は、核武装したイランは「第三次世界大戦」をひき起こしかねないと示唆し、もしもテヘラン政府が核開発計画を廃棄しない場合に、「深刻な結果」をディック・チェイニー副大統領は約束した。だが、アメリカの支配層とその諜報機関は、焦点をイラン以外の場所に移すことに決定した。2007年12月、アメリカの16の諜報機関全てによる見解の合意である国家情報評価が、テヘランは、核爆弾開発に向けて執拗に活動しているという2005年の自らの判断に反して、イランは2003年に核兵器計画を中断し、計画は凍結されたままだと結論を出した。

アメリカが、これまでのところ、9/11攻撃の責任が誰にあるのかをはっきりさせそこねていること、9/11以来、アメリカ本土にアルカイダの攻撃が無いという事実、イラク戦争の背後にある本当の動機、そして、イランの核開発計画にかかわる組織的な偽情報キャンペーンを考えれば、パキスタンアにおけるメリカ政策の本当の動機に疑問を抱くのは、極めて論理にかなったことだ。

サラ・ペイリンとのディベート中に、民主党副大統領候補ジョー・バイデンが行った有害な発言によって、この問題は、より重大かつ緊急な重要性を帯びることになった。「パキスタンの(核)ミサイルは、既にイスラエルを攻撃している可能性があった」とバイデンは大声で言ったのだ。しかし彼は一体何の話をしていたのだろう? パキスタンにはイスラエルを攻撃する能力はない。パキスタンはこれまでにイスラエルを脅迫したことはない。ワシントン・ポストのジャクソン・ディールは(10月3日)こう書いた。「バイデンの発言のかなりの部分は、誇張か歪曲か、さもなければ単なる嘘だ- 特に彼の専門領域とされている海外政策において。」

ロバート・フィスクは、イギリスのインデペンデント紙(10月4日)記事で、7,000のイスラム教神学校が建設され... そして、そこにビン・ラディンが暮らしており、具体的な(原文のまま)諜報情報さえあれば我々は彼を追跡するという、バイデン発言をあざけった。フィスクはこうとがめた。「7,000校? 一体この数字はどこから出てきたのだろう? そう、パキスタンには何千もの神学校があるが、全てが国境沿いにあるわけではない」。フィスクはアメリカの本当の狙いを警告している。「『パキスタン国内の世界に対する邪悪』に対する次の戦いに備えなければならない。」

アルカイダの脅威とされるものに対する、アメリカ・マスコミやシンク・タンクによるあらゆるプロパガンダにもかかわらず、現実は別の話を物語っている。2008年8月5日、ニューズ・インターナショナルは報じた。「ムシャラフ大統領と、カヤニ将軍と、ナディーム・タジISI(パキスタン統合情報局)長官が、アメリカ統合参謀本部議長マイケル・マレン海軍大将とCIA副長官スティーブン・R・カッペスとの、7月12日ラワルピンジでの個別会談中に、パキスタン国内におけるテロをアメリカが黙認していることの強力な証拠と状況証拠の概略を示した、と非の打ちどころのない当局筋が語った。」アメリカ軍の最高司令官とCIA幹部は、2008年5月24日に、バイトゥッラー・メフスードの正確な居場所を知らされた際に、CIAが操縦するプレデター無人偵察機とアメリカ軍が、なぜ即座に行動しなかったのかということも質問された。

バイトゥッラー・メフスードのいとこで、いわゆるタリバン-エ-パキスタンの元指導者アブドゥラー・メフスードは、アフガニスタンで、2001年12月アメリカ軍によって逮捕され、2004年3月まで拘留され、グアンタナモ湾収容所から出所し、ワジリスタンへの帰国を許されたことは記録に残っている。二人の中国人技術者を誘拐した後、ムシャラフが中国から強い圧力を受けた際に、パキスタンの治安部隊によって、殺害されるまで「過激派」を組織する上で、アブドゥラー・メフスードは重要な役割を演じていた。

結局、こうしたこと全てが、パキスタンにとって何を意味するのだろう? こうしたことの全てが、一体何につながるのだろう? パキスタンにおけるアメリカ合州国の現在の戦略的目標は何だろう? オタワ大学の教授で、カナダのセンター・フォー・リサーチ・オン・グローバリゼーション所長のミッシェル・チョスドフスキー教授は、以下の身も凍るような説明をしている。

「政治的な手詰まりは意図的なものだ。それは今展開中の、パキスタンという国家構造の崩壊と混乱を望む、アメリカ海外政策目標の一部だ。パキスタン軍と諜報機関による間接支配が、パキスタン国内におけるアメリカ軍駐の留拡大を含む、アメリカの干渉という、より直接的な形で置き換えられようとしているのだ。この軍事駐留の拡大は、更に、中東-中央アジアの地政学的状況と、中東戦争をさらに広域に拡張しようという、ワシントンが継続している計画によっても、決定されている。」

著者は経済学者であり、“The Gathering Storm in Pakistan: Political Economy of a Security State”(Royal Book Co.、2008)の著者。Email: ynazar@cyber.net.pk

ynazar@cyber.net.pk

記事原文のurl:www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=140670

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オサマ・ビン・ラディンといい、アル・カイダといい、いつも、絶妙な時期に話題になるのが、何とも不思議。推理小説では、犯人を見つけ出す際に、「一体、それが誰の役にたつのか」を、まず考える。一般に、ある犯罪行為最も利益を受ける人物、集団が、犯人であることが多い。

オサマ・ビン・ラディンについては、デヴィッド・レイ・グリフィンの新著『お尋ね者オサマ・ビン・ラディン: 生死を問わず』に詳しく書かれている。下記はその書評の翻訳。

8年にもおよぶオサマ心理作戦

2008年10月18日 (土)

マケインの本当のペトレイアス原則

暗殺部隊の訓練法、革命の鎮圧方法、サンサルバドルからイラクに転用

Wikileaks、219ページにわたるアメリカ軍対ゲリラ作戦機密マニュアルを公開

準軍事組織を秘かに訓練し、報道機関を検閲し、労働組合を禁止し、テロリストを雇い、令状なしの捜索を行い、人身保護令状を停止し、ジュネーブ協定違反を隠し、国民にそれを支持させる方法

JULIAN ASSANGE (調査記事編集者)

2008年6月16日 改定10月8日

「CSDF概念の心理的有効性は、政府を抑制者とする反乱分子の戦略を反転することから始まる。反乱分子に、自分たちがまさに解放するはずである階層の人々を、攻撃し、殺害するという、極めて重要な限界を、越えるよう強いるのだ。」

    - Wikileaksが入手した、アメリカ特殊部隊原則

Wikileaksは、219ページの機密アメリカ軍対ゲリラ活動マニュアルを公開した。マニュアル「特殊部隊のための外国における国内防衛戦術の手法と手順」(1994、2004)は、批判的に表現すれば、「我々が学んだ、中南米における暗殺部隊運営と、腐敗した政府へのてこ入れの方法、それらを他の場所に適用する方法」だ。その内容は、中南米の歴史を明らかにするものであると同時に、イラクとアフガニスタンを含め、反抗勢力抑圧の上で、アメリカ特殊部隊が継続している役割を考えれば、現在歴史を作りつつあるものなのだ。

軍当局筋も本物であることを確認した漏洩したマニュアルは、外国における国内防衛(略語はFID)用の公式アメリカ特殊部隊の教義である。

FID作戦は、革命あるいはゲリラに直面している「友好的な」政府にてこ入れをするため計画される。支援対象の政府は、評判のわるいものでありがちなため、FID介入は、通常、秘密か準秘密行動である("顧問を使用する現実的な政策を立案するにあたり、司令官は、HN[ホスト・ネーション=受け入れ国]とアメリカ合州国の心理的な状況を慎重に判断すべきである。」)

マニュアルは、準軍事組織の訓練、広範囲の監視、検閲、報道管制や労働組合や政党に対する制限を、あからさまに唱道している。令状なしの捜索、告訴なしの拘留や(様々な条件のもとで)人身保護令状の停止をあからさまに唱道している。テロリストの雇用や、テロリストでない人々を、テロ行為を理由に告訴すること、なりすまし偽装作戦を遂行し、人権虐待をジャーナリストから隠すことを、あからさまに唱道している。そして、マニュアルは、こうしたものや、他の「国民および資源支配」手法を、一層好ましいものにすべく、口実や"心理作戦" (プロパガンダ)を活用することを繰り返し唱道している。

内容は、特に、長期にわたるアメリカ合州国のエルサルバドルへの関与にかかわる情報に基づいている。

2005年、多数の信頼できるマスコミ記事が、ペンタゴンがイラクのための、"サルバドール・オプション"について、熱心に議論していることを示唆していた。[1] ニューヨーク・タイムズによると以下の通りだ。

    今日のイラクのひな型は、比較されることが多いベトナムではなく、アメリカ合州国が支援する右翼政府が、1980年に始まる12年間の戦争で、左翼反抗分子と戦ったエルサルバドルだ。そのコストは、高いものだった。人口わずか600万人の国で、70,000人以上の人々、それも多くは民間人が殺害された。殺害と拷問の大半は、軍と、軍傘下の右翼暗殺部隊によって行われた。2001年のアムネスティー・インターナショナルの報告書によると、軍と、軍に関連する集団が行った違反行為には「裁判外の処刑、他の違法の殺人、失踪や拷問が含まれ. . . .村ごと軍隊の標的とされ、村の住民たちは虐殺された。」反共産主義者の軍隊を支援するというレーガン大統領政策の一部として、アメリカ合州国から何億ドルもの援助がサルバドール軍に注ぎ込まれ、数年間ジム・スティールが率いた、55人の特殊部隊顧問チームが、重大な人権虐待で非難されている前線の大隊を訓練した。

同じ記事は、ジェームズ・スティールや、他の多数の元中米特殊部隊"軍事顧問"が、今やイラクで高官に任命されていると書いている。

1993年、12年間の内戦中に起きた22,000件の残虐行為を検証した国連エルサルバドル事実究明委員会は、虐待の85パーセントは、アメリカが支援するエルサルバドル軍と、準軍事暗殺部隊によるものだとした。

駐エルサルバドル・アメリカ大使、ロバート・E・ホワイト(現在は国際政策センター理事長)情報公開法のもとで入手できた国務省文書の中で、1980年という早い時点に語っていることは、読む価値がある:

    この政府の存在に対する、主要かつ喫緊の脅威は、右翼の暴力である。サンサルバドル市内において、雇われた極右の殺し屋が、その中には、十分な訓練を受けたキューバ人やニカラグア人テロリストもいたのだが、穏健な左翼指導者たちを殺害し、政府の建物を爆破した。地方では、治安部隊の分子が、田舎の人々を拷問、殺害し、家々を銃撃し、収穫を焼却した。毎日少なくとも200人の避難民が地方から首都にやってくる。このテロ・キャンペーンが、まさにソモサの国家警備隊が、ニカラグアでしたように、農村部を過激化に追いやっている。不幸にして、軍と治安部隊の命令系統は、こうした活動を許容するか、奨励している。こうした軍高官は、ゲリラを殲滅しているのだと信じるか、信じているふりをしている。[2]

抜き出した一部を以下に示す。マニュアルは219ページにもわたるものであり、重要な内容に満ちていることに留意願いたい。引用は、あくまでも、典型的なものと見なすべきである。選択を容易にすべく、強調をつけた。マニュアル全文は、US Special Forces counterinsurgency Manual FM 31-20-3で、読むことができる。

記事原文のurl:wikileaks.org/wiki/How_to_crush_insurgencies_from_San_Salvador_to_Baghdad

原文には、刺激的な犠牲者写真が二枚あるので、ご注意を。

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以下、余談。

新刊The War Withinで、有名(提灯持ち)記者ボブ・ウッドワード、イラクでのゲリラ活動が大幅に減少したのは「増派」のおかげではないと、他要因を説明している。Why Did Violence Plummet? It Wasn't Just the Surge. 詳細には触れられないハイテク装置で、相手を探知し、追跡し、殲滅できるようになったことも大きいと。まさか。そんな魔法のような方法より、このサルバドル・オプション工作の応用こそが主原因ではあるまいか。ハイテク戦略で簡単にゲリラを潰せるのなら、なぜ、アフガニスタンや、パキスタン辺境で、同じことができないのだろう。あちらはまだ部族社会で、宗派を利用した対テロ壊滅作戦を展開できるほど、宗派的統合がないからだろうに。

ところで、今日の衆院テロ防止特別委員会討論、民主党長島議員と麻生首相の質疑応答、麻生首相が正直に?自民党の人かと思うと答えたほど。(日本軍)派遣必然という提案、ある程度予想はしていたが、あきれた。「自衛隊艦艇による海賊対策」案を持ち出したのだ。他国船籍の護衛を含む新法整備(憲法破壊)の必要性をいいだす。ひどい茶番政党、茶番議員。自民党民主支部議員。政権交代など呪文にすぎない。実体は、派閥内の政権たらい回し。正確には、アメリカ傀儡大政党間たらい回し。たらい回しに失敗すれば大連立をするだろう。二大政党などというマスコミの虚構にだまされてはならない。実体は傀儡二大政党。

(とはいえ、政権交代を待望するブロガーの方々の数! 小泉選挙を思い出せば、結局は大半がだまされるのは確実だろう。いや、騙されているのではなく確信犯か? 少なくとも、友人の数人はそうだ。)

森田実氏のweb記事に、気味の悪い情報が書かれている。10/14の記事末尾。

10月13日、日米両国で生活している友人に会ったところ、「日本の自衛隊は間もなくアフガニスタンへ出動する。アフガニスタンへの自衛隊の派遣については自民党と民主党は考えが一致しているとアメリカ政府はみている」とのことだった。

異議を言う隊員、「はなむけの訓練」をうけるのだろうか。やがて異議を言う国民もはなむけの牢

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関連記事翻訳:

アメリカの対イラク戦争-文明の破壊

ボブ・ウッドワード、イラクでのゲリラ活動が大幅に減少したのは「増派」のおかげではないと、他要因を説明している。

と、上に書いたが、この記事こそが、その戦慄的な作戦内容を、詳しく説明している。

2008年10月16日 (木)

アメリカ諜報機関と軍、アフガニスタン戦争の暗い先行きを予想

World Socialist Web Site

Bill Van Auken

2008年10月11日

ブッシュ政権がアフガニスタンへの容赦ない爆撃で「不朽の自由作戦」を開始して以来七年後、アメリカの諜報機関は、荒廃したこの国の状況は「大幅下落」状態にあり、アメリカが支援する政府を安定化させ、増大する武力抵抗軍事的に打ち破る見込みは芳しくないと結論づけた。

水曜日ニューヨーク・タイムズが引用したアメリカ当局筋によると、これらは、作成最終段階にある、機密扱いの国家情報評価(NIE)草稿に書かれた結論だ。

タイムズの記事によると、16の個別アメリカ諜報機関の合意であるこの報告書は、「アフガニスタン中央権力の崩壊は、ハミド・カルザイ大統領の政府内部での汚職の横行や、パキスタン国内の隠れ家から、益々高度な攻撃をしかけている過激派の武力行為の増大によって、拍車がかかっている。」と結論している。

本質的に、ワシントンがアフガニスタン戦争に敗北する危機にあることを警告するものであるこの報告書は、アメリカにおける11月の選挙が終えるまで、最終的な形では、発表されないことになっている。

アメリカとそのNATO同盟諸国が、占領軍を兵士20,000人ほどで増強した中、過去18カ月、強化されたアメリカの空爆や戸別急襲で殺害された親戚の仇をうとうとしている民間人で兵卒数が膨れ上がっているアフガニスタン人レジスタンス戦士が遂行する武装攻撃回数は50パーセント増加した。

火曜日、南部のヘルマンド州の村人たちが、アメリカの空爆で40人の民間人が亡くなったと報告した。一軒の全壊した家では、夫婦と夫婦の子供8人が亡くなった。村人は、爆撃の時点ではこの地域にはタリバン戦士などいなかったと報告している。

「民間人死傷者を確認した報告はある。ただし現時点では何人かは不明だ」アメリカが率いる占領軍の簡潔な声明にはそう書いてある。

ペンタゴン自身が、水曜日、アフガニスタン西部のヘラト州、アジザバード村に対する。アメリカ軍8月22日の空爆で、当初、民間人は一人も亡くなっていないと否定していたアメリカ軍が、実際に何十人もの民間人、その大半は子供たちを虐殺した事実の承認を強いられた。22人の「反同盟軍戦士」と共に33人の非武装の男性、女性と子供を殺害したことを今や認めている。アフガニスタン当局は、90人の民間人、そのうち大半が女性と子供、が攻撃で亡くなったと主張し続けている。

カルザイをトップに奉じるアメリカの傀儡政権に対する敵意は、同国の経済が悪化し続ける中、増大している。最も新しい数値では、全国的な失業率は40パーセントで、国民のほぼ半数が、最小栄養必要量に会った十分な食糧をとれずにいると推計している。

アメリカの推計によると、政府軍は国の三分の一以下しか支配しておらず、多くの人々がこの数値すら過大評価だと考えている。一方、アメリカが率いる占領に反対する、タリバンや他の勢力が、益々広い地域の支配を確立し、自派の知事、裁判所や警察部隊をしつらえている。

同時に、官僚の汚職が横行している。NIEは、麻薬取引が、同国の国民総生産の、ゆうに半分にものぼっていることを確認している。

NATO当局は、今週、ペンタゴンの推計によれば、タリバンが6000万ドルも稼ぎだしている麻薬取引を抑制するために、外国占領軍を使用することで、アフガニスタン政府と合意に達したと発表した。ドイツ、スペインと他のNATO同盟国は、それは占領に対する国民の反対を燃え上がらせるだけだと考えており、そのような動きに反対している。

問題は、政府高官たちが、恐らく更に相当な金額を麻薬取引から得ている事実によって、一層複雑になる。先週ニューヨーク・タイムズはアフガニスタン大統領の弟アフメド・ワリ・カルザイが麻薬取引に関係しているとする複数当局者を引用する記事を載せた。

同紙は「DEA [アメリカ麻薬取締局] 幹部と、国家情報局が、ホワイト・ハウスがアフメド・ワリ・カルザイに対し、政治的に微妙な問題であるため、傍観主義的な態度を好んでいる。」と自分たちに、こぼしたと話したアメリカの麻薬捜査官の発言を引用している。

アメリカ諜報機関が草稿を書いた陰鬱な評価は、今週、軍上級司令官によって確認された。

統合参謀本部議長のマイケル・マレン海軍大将が、ペンタゴンの記者たちに 木曜日 アフガニスタンの状況は、過去二年間「誤った方向」に向かってきたと語った。

「全体的に、傾向は良い方向に向かってはいない」マレンは述べている。「これら全ての課題に対処できなければ、来年は一層大変になるだろう。」

また木曜日には、駐アフガニスタン・アメリカ軍の最高司令官デービッド・マキャナンが、フランスの通信社AFPに「究極的には、この国における解決策は、軍事的なものではなく、政治的なものだろう」と語った。

ワシントンの諜報情報による推測とアメリカの司令官たちの発言は、駐アフガニスタン・イギリス軍司令官とイギリス大使が行った最近の評価を反映している。

退任するアフガニスタン駐留イギリス軍司令官マーク・カールトン-スミス准将は、先週末、報道陣に「この戦争には勝てそうもなく」望みうる最善のことは、「反乱を、戦略的な脅威にならない程度の、御しやすいレベルに下げることだ」と語った。

一方、フランスの雑誌ル・カナール・アンシェネは、先月の駐アフガニスタン・イギリス大使シェラード・カウパー・コールズと、フランス当局者との会談を記録したメモで、カウパー・コールズが、アメリカ-NATOの同国への軍事駐在は、「解決ではなく、問題の一部そのもの」だと主張したものを引用した。

その文書によれば、イギリス大使は、腐敗して破綻したアフガニスタン政権は、ひたすら外国占領軍のおかげで存続していると語っている。この危機から脱出する唯一の方法は、カルザイ政権を「無難な独裁者」で置き換えることだと断言した。

イギリス当局は、明らかに、アメリカが始めたアフガニスタン戦争は、勝利できないと結論しており、アメリカ軍司令官達や、イラク占領への152,000人の兵士、および、アフガニスタン内の33,000人という展開によって、限界点までぎりぎりに広がっているアメリカ軍は、概して、同意しているようだ。

しかしながら、ワシントンがこの七年に及ぶ戦争の敗北を認めようとしている徴候はない。2001年9月11日のテロ攻撃に対する報復として正当化されている戦争は、ソ連崩壊後、開放された、中央アジアの石油の豊富な地域に、アメリカの覇権を確立しようという願望の一環だ。これはアメリカ支配層エリートにとり主要な戦略的目標であり続けている。

ワシントン・ポストの報道によると 木曜日、ブッシュ政権は、NIEに答えて、アフガニスタンにおけるアメリカの戦略と戦術の大規模な再評価を命じたが、これは当地におけるアメリカ介入の大幅なエスカレーションを招きかねない動きだ。

ポスト紙によると、近づきつつある選挙と、その後の政権の変化を念頭に「アフガニスタンとパキスタンにおける状況は、きわめて微妙であり、アメリカの新政策立案者たちが落ち着くまでの間に、崩壊しかねないと、幹部たちが懸念を表明している。」

現在検討されているのは、兵士数の大規模な増大と、既にポスト紙が指摘している通り、「軍特殊作戦部隊と工作員が、現在、通常の秘密侵略を遂行している」西部パキスタンへの介入強化だ。

ポスト紙は、アフガニスタンにおいてアメリカ軍が遂行している汚らしい植民地戦争のエスカレーションは、超党派の支持を享受していると書いている。

「大統領候補のバラク・オバマもジョン・ マケインも、アメリカの新たな大規模作戦に疑念を呈することはなさそうだ。二人ともアメリカ兵の増員を要求している」とポストは書いている。「しかも、議員たちが資金拠出と兵員数を巡って何年も議論を続けてきたイラクとは違い、アフガニスタンの場合には、より多く、より早く、ことを進めることへの超党派的な支援がある。」

要するに、11月の選挙は、アメリカ人にとって、アフガニスタンとイラクで続けられている戦争に対する圧倒的な反対を表現する機会には決してならない。そうではなく、投票の直前にブッシュ政権によって準備されたエスカレーションは、オバマ、マケインのどちらが投票で勝利しようと、次期政権によっても継続される可能性が益々高くなりつつあるように見える。

下記も参照のこと(英文):

Continuing US air strikes in Pakistan's tribal agencies

[2008年10月9日]

British diplomat paints bleak view of Afghan war

[2008年10月6日]

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2008/oct2008/afgh-o11.shtml

2008年10月14日 (火)

ナオミ・クライン:「新自由主義に対する、ウォール街の危機」は「共産主義に対する、ベルリンの壁の崩壊」に匹敵

Democracy.now

2008年10月6日

ナオミ・クラインが、ミルトン・フリードマン研究所と言う名の経済研究所創設に、反対する教職員グループに招かれ、シカゴ大学で行った講演筆記録(冒頭部分のみ翻訳)。

(全文(英語)は、Democracy.nowをどうぞ。日本版Democracy.nowに、皆様の浄財がもっと集まれば、日本語翻訳も更に促進されるのでは?)

   2002年、ミルトン・フリードマンが90歳になった時、ブッシュのホワイト・ハウスは、彼を讃えるため、思想的遺産を讃えるため、彼の誕生パーティを催し、ジョージ・ブッシュを含む誰もがスピーチをしたのだが、ドナルド・ラムズフェルドによる実に素晴らしいスピーチがあった。それを私のウエブに置いてある。このラムズフェルドのスピーチの中で、私のお気に入りの文句はこうだ。彼は言った。「ミルトンは、思想は結果をともなうという真実の権化だ。」

      そこで、何よりも私がここで主張したいことは、ウォール街やメイン・ストリートや、ワシントンで、私たちが今目にしている経済的な混沌は、もちろん多くの原因から起きているのだが、その中には、ミルトン・フリードマンや、多くの彼の学派の同僚や学生たちの思想があるということだ。思想は結果をともなうのだ。

      それだけではなく、我々が目にしている「フリードマン理論に対する、ウォール街の崩壊」は、「独裁主義的な共産主義に対する、ベルリンの壁の崩壊」に相当するものに違いないと私は確信している。イデオロギーに対する告発だ。なぜなら、レーガン以来、我々が暮らしてきた世界は、もちろん、1929年の株式市場崩壊以後、大いに普及した思想である、強欲の有害な影響から国民や消費者を保護する調整役としての政府、という考え方を放棄し、強欲の力を解放する政策だったので、単に、腐敗や、強欲として、清算するだけでは済まない。しかし、私たちが暮らしてきた世界なるものは、実際には、解放運動、実際、現代で最も成功した解放運動、資本が集積しようということに対するあらゆる制限から、資本を解放するという、資本による運動だった。

      だから、このイデオロギーが崩壊しつつある際、私は同意しかねるのだ。シカゴ大学の教科書で学ぶ術語だけではない、もう大変な大成功だったと、私は本気で信じている。そのプロジェクトが、実際に、世界の発展と貧困の根絶だったとは思わない。これは、裕福な人々が、貧しい人々に対してしかけた階級戦争であり、裕福な人々が勝利したのだと私は考えている。そして、貧しい人々が反撃しているのだと思っている。これはイデオロギーへの告発に違いない。思想は結果をともなうのだ。

      様々な理由で、様々な分野で、人々はミルトン・フリードマンにすこぶる忠実だ。ところで、ミルトン・フリードマンには、儲かる思想を考えつく才覚があったと、私はひねくれて、言ったことがある。彼には才覚があったのだ。彼の思想は、とてつもなく儲かるものだった。そして、彼は報われた。彼の仕事は報われた。彼が個人的に強欲だと言っているわけではない。彼の仕事は、大学で、シンクタンクで支持され、FedExとペプシがスポンサーになった「選択の自由」という題名の10回シリーズのドキュメンタリー作品も制作された。彼の思想は、企業にとって有用だったので、企業世界は、ミルトン・フリードマンに好意的だった。

      しかし、彼はまた、あきらかに素晴らしく学生を鼓舞する教師で、しかもあらゆる偉大な教師がそうであるように、彼は自分の学生たちを、その教材に惚れ込ませる才能を持っていた。だが、彼は、多数のイデオローグが、多くの頑強なイデオローグが持っている、そして私はここで「原理主義者」が、という言葉さえ使ってしまう、才能を持っていた。完璧な想像上のシステムつまり、教室で、地下の仕事場で、全ての数値が良い結果になりさえすれば、完璧で、ユートピアと思えるようなシステムに、ぞっこんにさせてしまう能力だ。そして彼は、もちろん、優れた数学者で、それがこれを益々魅惑的にし、これらのモデルを、この、完璧で優雅で、 あらゆるものを包含するシステム、完璧なユートピア市場という夢を一層魅力的にした。

      さて、アーノルド・ハーバーガーらのような、フリードマン派のシカゴ大学経済学者たちの著作に何度も何度も繰り返し現れることの一つは、自然への訴え、自然状態への訴えであり、経済学は、政治科学や、社会科学ではなく、物理学や化学と比肩しうる自然科学だという思想だ。そこで、シカゴ学派の伝統を見てみると、それは単なる、民営化、規制撤廃、自由貿易、政府支出の削減等といった類の一連の政治的、経済的目標ではない。経済学の分野を、政治や、心理学などと対話する雑種の学問から、変貌させて、議論の余地のない自然科学へと変えることであり、それこそが、なぜあなた方フリードマン派の人々が、決してジャーナリストを相手にしない理由だろう、違っているだろうか? なぜなら、そこは、ご承知の通り、面倒で、不完全な実社会だからだ。それは自然の法則に訴えるお歴々には、ふさわしくないものなのだ。

      ところで、1950年代と60年代、この学派のこうした思想は、まだほとんど理論の領域にあった。これらは、学問上の思想であり、混合経済が基本である、実社会で本当に試されたわけではなく、それにすっかり惚れ込むことは容易だった。

      さて、私はジャーナリストだということを認めよう。私は調査報道ジャーナリストで、調査者であることを自認しており、ここで理論について論じようというわけではない。私がここで論じたいのは、ミルトン・フリードマンの思想が実践されたら、面倒な実社会で何が起きるかだ、つまり、自由に何が起きるか、デモクラシーに何がおきるか、政府の規模に何が起きるか、社会構造に何がおきるか、政治家たちと、大企業の大物たちとの関係に何がおきるかだ。そこには一定の傾向があるように思えるから。

      この会場におられるフリードマン主義者は、必ずや、私の方法に反対されるだろうし、私はそれを期待している。私が、ピノチェト支配下のチリ、エリツィンとシカゴ・ボーイズと呼ばれたミルトン・フリードマンの弟子たちによる支配下のロシア、鄧小平支配下の中国、あるいはジョージ・W・ブッシュ支配下のアメリカ、またはポール・ブレマー支配下のイラクをあげると、彼等は言うのだ。これらは全て、ミルトン・フリードマンの理論の歪曲だった、これらの一つたりとも対象とは見なせないと。政府の抑制や監視や拡大した規模や、システムへの介入のことを言及すると、それは実際は、地下の作業場では、本領を発揮していた、優雅で完全に均衡した自由市場ではなく、縁故資本主義や協調組合主義に、ずっと近いとのたまう。ミルトン・フリードマンは政府の介入を嫌悪していたとか、彼は人権のために立ち上がったとか、彼はあらゆる戦争に反対していたと、私たちは聞かされている。そして、こうした主張のいくつかは、その全てではないが、本当だろう。

      しかし、肝心なことがある。思想は結果をともなうのだ。安全な学究的世界を出て、政策的処方箋を実際に書き始めればだ。それがミルトン・フリードマンのもう一つの側面で、彼は単なる学者ではなかった。彼は人気のある作家だった。彼は世界の指導者達と会っていた。中国、チリ、至るところで、アメリカ合州国でも。彼の回想録は「世界紳士録」も同然だ。だから、安全圏を離れて、政策的処方箋を発行し始め、国家首脳に助言を始めたら、自分の思想が、世界にどのように影響を与えるか考えているだけで判断されるという贅沢は、もはや許されなくなる。たとえ現実が、そのユートピア理論の全てに矛盾しようとも、理論が世界に実際にどのように影響を与えるかに、取り組まなければならなくなるのだ。そこで、フリードマンの偉大な知的天敵、ジョン・ケネス・ガルブレイスの言葉を引用すれば、「ミルトン・フリードマンの不幸は、彼の政策が実際に試みられたことにある。」

以下略

記事原文のurl:www.democracynow.org/2008/10/6/naomi_klein

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ポール・クルーグマンが、今年のノーベル経済学賞を受賞した。

同じノーベル賞受賞者フリードマン"市場原理主義"経済学の終焉時にぴったりの出来事。

本山美彦教授のブログ、クルーグマンのフリードマン批判をどうぞ。

本山美彦教授の「金融権力」―グローバル経済とリスク・ビジネス 岩波新書 新赤版1123もどうぞ。素晴らしい本。目次のごく一部を。

第四章 新金融時代の設計者たち─ミルトン・フリードマンを中心に

4. クルーグマンのフリードマン批判

5. 「ノーベル経済学賞」の装われた中立性

bk1の本書書評「サブプライム問題によせて」をご覧ください。

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The Shock Doctrineについては、下記森田研究所のwebに、ごく簡潔な紹介がある。

森田実の言わねばならぬ【616】平和・自立・調和の日本をつくるために[611]
【話題の本紹介】
2008/9/6
NAOMI KLEIN,“THE SHOCK DOCTRINE ― THE RISE OF DISASTER CAPITALISM”(ナオミ・クライン著『ザ・ショック・ドクトリン――災害資本主義の勃興』)〈1〉――フリードマンに対する徹底批判の書

森田実の言わねばならぬ【620】平和・自立・調和の日本をつくるために[615]
【続・話題の本紹介】
2008/9/7

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2008年10月13日 (月)

アメリカの新たな機密情報報告書、イラクでの「勝利」は確実ではないと警告

2008年10月7日公開

Jonathan S. Landay, Warren P. Strobel and Nancy A. Youssef | McClatchy Newspapers

ワシントン

ほぼ完成した、高官レベル向けのアメリカ機密情報分析は、イラクにおける、未解決の人種的、宗派的緊張が、武力活動の新たな波を解き放ちかねず、昨年中に実現された、治安上と政治上の主要な進歩を、反転させてしまう可能性があると警告している。

新しい「国家情報評価」に詳しいアメリカ政府高官は、この極秘報告書がいつ完成し、11月4日の大統領選挙までに刊行されるかどうかは、よくわからないと語っている。

アメリカの諜報コミュニティーが作り上げる最も権威ある分析「国家情報評価」は、主要な所見部分だけが公表されるごく稀な場合を除いては、大統領、側近高官と議員への限定公開なので、半ダース以上の役人が、匿名を条件に、マックラッチーに語っている。

イラク戦争をめぐる意見の相違は、大統領選挙戦上、重要な問題なので、16のアメリカの諜報機関全ての合意を反映する、新「国家情報評価」は、共和党のジョン・マケインと、民主党のバラク・オバマに対して、非常に大きな意味を持っている。

所見は、マケインが議会における主唱者であった、総勢30,000人のアメリカ兵増派にもかかわらず、状況についての深刻な先行き不安を強調することで、アメリカ合州国が、イラクにおいて、"勝利への道にある"という、マケインの頻繁な主張に、疑問を投げかけているように思われる。

しかし、マケインは、この所見を、自説を強化するため、事態が安定化するまで、アメリカ兵をイラクに駐留させておくるに利用することが可能だ。

オバマにとって、この報告書は、アフガニスタンで、増えつつあるタリバン反抗分子と戦うべく、より多くのアメリカ軍を派兵できるようにするため、就任から16カ月間以内に、アル・カイダと取り組むため、および、アメリカ人外交官や民間人保護のため若干の兵士を残して、駐留している152,000人のアメリカ兵の大半を撤退させるという彼の約束を実現できるかどうかという、疑問をひき起こす。

国防省によれば、2004年始め以来、イラクでの暴力事件が最も少ないレベルにあり、民間人の死亡が、2008年6月から2008年8月の期間、2007年の同時期に比べ、77パーセント減少している時に、この「国家情報評価」草稿の話が現れた。

 

 

 

アメリカの関係筋は、現在既に全員が撤退した、昨年の30,000人の兵士増派は、状況改善の、理由の一つに過ぎなかったと語っている。他の要素としては、イランが支援するシーア派イスラム教徒の民兵の指導者、反米聖職者ムクタダ・アル-サドルが宣言した停戦協定、および、イラクのアル・カイダや他の過激派たちと戦わせるべくアメリカ軍が作り出した覚醒部隊への、元スンナ派反抗分子の編入等も含まれる。

しかしながら、「国家情報評価」草稿は、地方選挙法案が最近、通過したことに見られるような、治安の向上と政治的進歩が、多数派のシーア派アラブ人、スンナ派アラブ人、クルド人、および他の少数派民族の間の、長引く論争によって、脅かされていることを警告していると、アメリカ政府高官は言う。

「国家情報評価」が明らかにしている対立の原因には、石油の豊富な北部の都市キルクーク支配をめぐる、スンナ派アラブ人、クルド人とトルクメン人間の争い、そして、覚醒部隊に参加した元スンナ派反抗分子を雇用するという、シーア派主導の中央政府が実行していない公約などが含まれる。

自分の元で「評価」を編集させたマイク・マコーネル国家情報長官のスポークスマンは、当該官庁は「国家情報評価」については話題にしないとして、コメントを拒否した。

「情報評価」の所見は、状況を"脆弱"で"元に戻りかねない"と表現し、イラクでの勝利を宣言することは決してないだろうと語った、元駐イラク・アメリカ軍司令官デービッド・ペトレイアス陸軍大将の最近の発言に、反映されているように見える。

ペトレイアス陸軍大将とライアン・クロッカー駐イラク・アメリカ大使に対する国務省での月曜日の授与式において、コンドリーザ・ライス国務長官もその論調に同調していた。

「皆さん、この世には確実なことなどありません。イラクにおける成功も、確実なことではありません」と、ライスは、彼女らしからぬ悲観的発言をした。

「国家情報評価」の所見は、「前向きな流れにもかかわらず、イラクにおける治安上の進歩は、脆弱な状態なままである。いくつかの問題が、進展を狂わせる可能性がある。」と警告した先月の国防省による評価と、似ている。

問題点としては、「イラクの息子たち」としても知られている元スンナ派の反抗分子が終身雇用の口を見つけられるかどうか、一月に予定されている地方選挙、キルクーク情勢、国内で強制退去させられた人々と、帰国する難民の運命、そして「有害なイランの影響」が含まれている、と非機密のペンタゴン報告書にはある。

「評価」の内容に詳しい諜報機関幹部によると、諜報機関によるこの「評価」は、もしも反米聖職者のサドルが、再び自己主張をしようと試みた場合に、何が起きるかについての懸念を表明しているという。

もしもサドルが停戦命令を放棄した場合、かつての彼の信奉者が、彼の大義に再結集するのか、それとも、彼の活動が永久に分解し、制御が困難になってしまうのか、はっきりしない。

四面楚歌状態の「イラクの息子たち」が、ラクの持続的な安定性に対する究極的な課題となる可能性がある。大半がスンナ派の元反抗分子たちに、近隣を警備したり、場合によっては、アメリカ人に対する攻撃を止めさせたりするため、給料を支払うという、アメリカの事業が、今やシーア派主導の政府の管理下に移行しつつある。

大半がスンナ派である民兵集団のおよそ100,000人のうちの多くはシリアに逃げたが、シーア派政府が、集団を解体し、拘束するのを恐れ、イラクに残っている人々もいる。アメリカ軍は彼等を見捨てないと約束し、そのうち約54,000人が今月イラク政府の支配下に移された。

(レイラ・ファデルがバグダッドから協力)

記事原文のurl:www.mcclatchydc.com/244/story/53605.html

2008年10月12日 (日)

NATOの拡張バブルは破裂するか?

サラ・フランダース

2008年9月24日

Workers World

自己の存在を主張し、衰えつつあるアメリカの世界支配を逆転しようとする、アメリカ帝国主義のあらゆる努力は、アメリカの弱体化した立場の確証だ。それぞれの問題や課題を解決するのに、ワシントンは、ますます、経済制裁の脅威、および/または軍事攻撃に、依存するようになっている。だが、ブッシュ政権が、それぞれの新たな侵略に、帝国主義同盟諸国を結集させることは、益々困難になっている。アメリカの傀儡諸国や属国中にすら、今やアメリカの唱導に距離をおこうとしている国々がある。

アメリカと競合する全ての主要資本主義諸国は、なによりもまず自国の経済的利益が優先だ。彼等の認識は、アメリカが競争力ある経済的地位を失い、アメリカ金融機関が危機に瀕しており、資本主義制度全体が弱まりつつあるということだ。手を広げ過ぎたアメリカ軍機構は、壊滅的な占領の泥沼にはまり、長期的な抵抗運動に直面している。

ディック・チェイニー副大統領が、9月早々、グルジア、ウクライナとアゼルバイジャンを歴訪していた間ほど、アメリカの立場があからさまになったことはない。グルジアによる8月7日の南オセチア侵略とロシアの反撃後、ロシアに経済制裁を課するようにという、アメリカの要求を、NATO加盟諸国が避けた際に、それは確認された。NATO加盟諸国の帝国主義者ドイツ、フランスおよびイタリアは、グルジアとウクライナを、アメリカが指揮するNATO同盟に加盟させろというアメリカの圧力を、丁重に保留にした。

ヨーロッパの帝国主義諸国は、自らの産業にロシアからの石油と天然ガスを供給する必要がある。それに、彼等は、アメリカの崩壊しつつある立場を支援したいというより、ロシアへの自らの企業投資を守りたいのだ。

軍国主義-唯一の選択肢

ロシアに対する軍事的脅威を徐々に増強し、ロシア国境にある、この戦略的地域を支配するというアメリカの決意を示すというワシントンの尽力の一環として、チェイニーはグルジア、ウクライナとアゼルバイジャンを歴訪した。彼の訪問時、巡行ミサイルを含む戦略兵器を装備した18隻のNATO戦艦が、グルジアとロシア沖の黒海に出現した。アメリカ海軍第六艦隊の旗艦マウント・ホイットニー(揚陸指揮艦)が、9月6日グルジア、黒海の、ロシア軍事基地から6マイル離れた港、ポチに着いた。

チェイニーが訪問している頃合いに、ジョージ・ブッシュ大統領は、対グルジア新規援助として10億ドルを発表し、これは多年度の約束だと語っている。アメリカが支配する国際通貨基金も、グルジアへの緊急援助として、更に7億5千万ドル用意している。更に何十億ドルもの軍事援助が計画されている。

黒海におけるNATOの攻撃的な姿勢と、同時に見られるのが、アメリカの同盟国パキスタンにおけるアメリカ/NATOの武力侵略と爆撃の拡大だ。このパキスタンの主権に対する侮辱は、既にenflamed反米および反NATO感情。9月16日の声明で、パキスタン首相ユスフ・ラザ・ギラニは、アメリカ侵略の即時停止を要求し、「わが国の主権と領土的一体性は、いかなる犠牲を払っても守るつもりだ。」と加えた。

主としてアフガニスタンの子供たちや民間人を90人以上を殺害した、アフガニスタンの村へのNATOの爆撃を、アフガニスタンの傀儡政権すら非難せざるをえなくなっている。

五年以上すぎても、イラクにおけるアメリカ占領軍は、未だに、地位を確立することも、圧倒的に占領を拒否してきた国民に、飲料水や電気のような最も基本的なサービスさえ提供することも出来ていない。

こうしたあらゆる事のさなか、イランに対する軍事攻撃の可能性は減じていないと、アメリカが、脅し、リークした。アメリカ海軍の半分はイランをすぐ攻撃できる距離にある。

同時にアメリカは、両国民の圧倒的な反対にもかかわらず、とりとめないエスカレーションを推進してきた。ポーランドの迎撃ミサイル基地、チェコ共和国内のレーダー基地設置計画だ。

アメリカ軍の脅威のエスカレーションは、西欧帝国主義者同盟の事業利益だけを憂慮させたわけではない。ロシアに出現しつつある資本家階級との鋭い対立をも、もたらした。

この集団は、これまで、あたかも自分たちが、巨大な、かつては社会的に所有されていたソ連産業を、長期的に搾取する、アメリカ帝国主義のパートナーであり続けるかのように振る舞ってきた。彼等はソ連邦の解体に、全面的に迎合していた。そして彼等は、残念なことに、帝国主義の海賊たちは約束を守らないことに気がついたのだ。

1990年、ベーカー国務長官が、NATOはその支配権を東方には拡張しないという確約を与えた後で、ソ連の指導者ミハイル・ゴルバチョフが、併合した資本主義ドイツは、NATOに加盟しても良いと、驚くべき降伏をしたのだと、多くの歴史研究が主張している。ドイツのハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー外務大臣、フランスのフランソワ・ミッテランも、イギリスのジョン・メージャーも同様な約束をしていた。

アメリカ帝国主義は、究極的に資本主義国としてライバルになるような、資本主義パートナーは許容しない。政策文書にはっきりと述べられている、1990年代中期のワシントンの政策は、社会主義的な計画と所有が再登場することを防ぎ、新たなライバルとなるロシア資本主義勢力や、ライバルとなるヨーロッパでの軍事ブロックが確立してしまうのをしっかり防ぐために、NATOをアメリカが指揮する軍事同盟へと転換させることだった。アメリカ軍と企業による地域全体の支配が目標だった。

NATOの爆撃、1994年以来のユーゴスラビアの解体と占領が、アメリカが支配する軍事同盟としてのNATOの急速な拡張の先例となった。

ロシアの新たな資本主義階級は、東欧の全諸国や、ソ連邦旧共和諸国の多くが、反ロシア軍事基地として利用される手先へと変えられさまを見つめてきた。今、ロシア首相プーチンが、ソ連時代以来、すっかり弱体化した、広大な、包囲された国をめぐる主権を、遅まきながら、いささか主張しようとし始めたのだ。

押し戻されたアメリカの政策

"人道支援"物資をグルジアに送るのだとされる黒海でのアメリカ戦艦の役割を、プーチンが非難しても、何ら驚くべきものではない。しかし、NATOの1999年のユーゴスラビアに対する爆撃キャンペーンを「人道的戦争」と呼んだフランスの外務大臣ベルナール・クシュネルさえもが、現在のアメリカの戦術に疑念を呈し、「人道的支援を送るのに戦艦を使うことは、ロシアとの緊張を燃え上がらせかねない。」と、辛辣に語った。

クシュネルの発言は、この重要な同盟内部の、この同盟を破綻させかねない、あららゆる緊張、亀裂や弱さを表している。クシュネルは、危機は「政治的手法によってのみによって解決するのであり、戦艦によってではない。」とも発言した。チェイニーのグルジア、ウクライナとアゼルバイジャン歴訪の政治的価値にも彼は疑念を呈した。(ブルームバーグ・ニューズ、9月6日)

カスピ海の石油資源豊富な国家で、かつてはソ連の共和国の一つだったアゼルバイジャンへのチェイニーの訪問は、大失敗だった。アメリカは、40億ドルかかる、延長1,000マイル、アゼルバイジャンの首都バクーから、グルジアの首都トビリシを経由し、トルコの港ジェイハンに至る一日百万バレルの輸送能力をもつ石油パイプライン建設に資金をだしていた。

バクー-トビリシ-ジェイハン、あるいはBTCラインと呼ばれる、この巨大かつ高価な建設プロジェクトは、クリントン政権時代に始まったアメリカの取り組みである。西欧市場向けの石油を、ロシア経由をせずに搬出する経路を作ることがその大目的だった。同じ理由から、何十億ドルもの資金がバクーから、グルジアを経由してトルコへとつながるナブッコ・ガス・パイプラインにも使われた。

「西側は、エネルギー冷戦で、どのように敗北しているか」http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/columnists/guest_contributors/article4698316.eceと題する9月8日のタイムズ記事によると、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、チェイニーを公然と鼻であしらい、チェイニーと会った直後に、ロシアのメドベージェフ大統領に電話をかけ、ガスをナブッコ・ガス・パイプラインに供給する可能性を除外した。「不機嫌なチェイニーは、とうやら公式晩餐会を欠席した模様だ。」

そして、9月16日には、モスクワに対して団結させておこうというワシントンの尽力にもかかわらず、ウクライナ政権の二つの親米党派が分裂し、政権が崩壊した。これはこの地域全体のほぼ二十年間にわたるアメリカ企業や政治的支配の大きな方向転換だ。

アメリカ傀儡の崩壊

黒海におけるNATO艦船の危険なエスカレーション、NATO加盟国の更なる拡大、ロシアに対する経済制裁に、他の西欧のNATO帝国主義諸国を加わらせようというたくらみ、チェイニーの示威的な歴訪と支援金の劇的な増大は、自らの立場を補強するための全アメリカ帝国主義者の死に物狂いの尽力だ。だがこれらの対策も、グルジアという属国におけるアメリカの大きな挫折を覆すことはできない。

グルジア軍は、アメリカとイスラエルによる軍事訓練を五年間受け、何百万ドルものペンタゴンのハイテク器機をもらい、NATO加盟に対する、アメリカによる政治的支援と激励を得てきた。何千ものアメリカ企業が財政支援する非政府組織が大半の国家機構を運営して、グルジアをしっかりアメリカの軌道上に抑え込んできた。

そしてグルジア大統領サアカシュヴィリは、ちっぽけな南オセチア自治区への破壊的攻撃を8月7日に開始し、首都ツヒンバリと、周辺地域を爆撃し、多くの南オセチア人を殺害した。

その日のうちのロシアの反撃に、グルジア軍は全くの混乱状態で崩壊した。将校たちは持ち場を放棄し、救急車をハイジャックしてトビリシの首都へと逃げ帰った。各部隊間の通信もできなかった。兵卒たちは何トンもの真新しいアメリカの兵器を路上に放棄し、やはり逃走した。

9月3日のニューヨーク・タイムズ記事はこう説明している。「グルジア軍の欠陥は深刻で、装備のアップグレードだけでは、到底改めがたい。」記事は、それでも、更に「新たな旅団の訓練と装備、既存軍隊の再装備と最新防空網の設置には、80億ドルから90億ドルもかかりそう」で、それも議論中であると書いている。

アメリカにとって唯一の解決策は更なる戦争だ

アメリカの企業支配者階級は、自分たちの立場を救い出す方策には、戦争以外の選択肢は無いと考えている。これは、共和党と民主党両方が、NATOの更なる拡大、イラクとアフガニスタンの兵員、そして世界中の米軍基地に対する、継続的な支持と並んで、アメリカの対グルジア支援を支持していることに反映されている。

アメリカが、政治的、経済的、軍事的挫折を味わっているとはいえ、戦争の恐れの高まりを常にもたらしてきた矛盾は、軍国主義というものは、何千社もの契約業者、下請け契約業者と並んで、ボーイング、ロッキード・マーチン、マクドナルド・ダグラスやGEといった主要なアメリカ企業、つまり軍需企業への果てしない助成であることだ。カフカスにおける戦争は「軍需関連株にとって、鐘を鳴らして祝うべきものだ。」(ウォール・ストリート・ジャーナル、8月16日)

新たな戦争や、新たな武器の出荷のための口実は、こうした死の商人たちにとって、母乳のようなものだ。

アメリカ軍予算は、既にアメリカ以外の国々の予算をあわせたものより大きく、しかも増大しつつある。今日のアメリカ帝国主義には、世界中に起きつつある危機に対して、軍国主義、戦争と戦争の恐れ以外に、解決策はない。これは資本主義制度全体を、一層危うく、一層、絶望的にするものだ。

労働者階級運動と進歩的、反戦活動家たちが、単にアメリカ帝国主義の個別の戦争にだけ反対するのではないことが肝要だ。今や、全てのアメリカの戦争に反対し、NATOの廃絶を要求することが課題なのだ。

Workers World, 55 W. 17 St., NY, NY 10011

Email: ww@workers.org

記事原文のurl:www.workers.org/2008/world/nato_1002/

2008年10月10日 (金)

アフガニスタンでの事実に直面すべき時期

エリック・S・マーゴリス

トロント 2008年10月06日

歴史上の皮肉を味わう向きへの話だが、ソビエト連邦帝国は、アメリカ合州国との破壊的な軍拡競争と、アフガニスタン占領の莫大なコストによってもたらされた経済の内部崩壊のため、1989から1991年の間に瓦解した。

それから17年後、世界におけるもう一つの大帝国、アメリカ合州国の曲がり角がやってきた。とめどもない負債で、致命的なまでに膨れ上がり、世界の軍事支出の50%という重荷を背負わされ、アメリカ経済という名の不安定な仕組みは、とうとう崩壊した。

ニューヨークやワシントン発、世界の終わりのニュースのおかげで、他の大半の国際問題がぼやけてしまった。これは不幸なことだ。なぜなら、初めて、点滅する明かりがみえかけたところなのだから。これはつまり、アフガニスタン・トンネルの出口で光が点滅していることを言っているに過ぎない。それもまあ、前方から近づいてくる自爆トラックなのかも知れないが。

アメリカが据えつけたアフガニスタン大統領ハミド・カルザイは、先週、彼が、ひとまとめにして、タリバンとして知られている、西側占領に抵抗している部族と政治的集団の連合との和平交渉を仲介してくれるよう、サウジアラビアに依頼したことを明らかにした。サウジアラビアは、タリバン政府を承認していた数少ない諸国の一つであり、アフガニスタンに対してかなりの影響力を維持しており、パキスタンの忠実な友人であり続けている。

タリバン指導者オマール師は、カルザイの申し出をすぐさま拒否し、アメリカは、ソ連がアフガニスタンで味わったと同じような壊滅的敗北に向かっていると主張した。進行中の北米における金融パニックが、彼の言葉を裏付けている。

アメリカ経済は、重大な危機状態にあり、三大自動車メーカーは間もなく破産に直面する可能性がある。ウォール街とアメリカの金融制度が崩壊に直面する中、のんきなペンタゴンは、イラクで、親アメリカ宣伝を広めるため、アメリカの業者に3億ドル支払う予定だと発表したのは、異常なオマケだ。この驚くべき暗愚さにもかかわらず、ワシントンは、イラクにおける作戦をまかない続け、アフガニスタン国境に沿った反抗的なパシュトゥーン族パキスタン国民に対する戦争を行うため、パキスタンに月に2.5億-3億ドルの賄賂を渡すのに必要な資金が、今にも足りなくなりかねない。

有能で、歯に衣着せない在アフガニスタン・アメリカ軍指揮官である、デビッド・マキャナン司令官は、緊急に、少なくとも更に10,000人の兵士の増派を求めた。アフガニスタンのアメリカとNATOの軍隊は、益々守勢に回りつつあり、大量の火力と、完全な制空権にもかかわらず、脆弱な補給線を守るのに四苦八苦だ。

アメリカとNATOの輸送車列への攻撃は、なんとカラチ港から始まっている。アメリカがアフガニスタンで勝てない戦争を、パキスタンにまで拡大するという展望など、軍事的、経済的な狂気だ。

驚くべきことに、マキャナン司令官は、タリバンとの政治的対話を提案し、戦争は外交によって終わらせなければならないことを認めることで、ブッシュ政権の政策と決別するかのように見える。軍人たちは、この戦争は戦場で勝利することができないことを知っているのだ。マキャナン司令官の前任者は、議会で、アフガニスタンを平定するには400,000人のアメリカ兵士が必要だろうと述べた。アフガニスタンには、現在80,000人の西側の兵士がおり、彼らの多くは戦闘するのをいやがっている。

これとは極めて対照的に、私は最近ブッシュ大統領の元上級顧問だったカール・ローブに、どうすれば、アメリカがアフガニスタンでの戦争に勝つよう期待するようにできるか尋ねてみた。彼の目を帝国の傲慢さで輝かせながら、ローブは明るく答えた。「より多くのプレデター無人偵察機(ミサイルを搭載した無人飛行機)とヘリコプターだ! そこで、我々はパキスタンに向かうのだ。」

これは、19世紀のイギリス帝国主義にまつわる、詩人ヒレア・ベロックの詩「アメリカの支配」の素晴らしい一節で、私が新刊書で使ったものを思いださせる。「何が起きようとも/俺たちには/マキシム銃があり* /連中にはない。」

*マキシム銃-初期の機関銃

カルザイのオリーブの枝は拒否されたとは言え、彼がそれを公にしたという事実は非常に重要だ。そうすることによって、彼とマキャナン司令官は、タリバンとその同盟陣営との交渉に対するに西側の愚かなタブーを破ったのだ。

タリバンは、西側の戦争プロパガンダが主張するような「テロリストの活動」等ではなく、共産主義と麻薬取引と戦うべく立ち上げられたイスラム教の宗教運動だという事実を想起しよう。

タリバンは、2001年5月まで、アメリカの資金援助を受けていた。実際、CIAはタリバンと緊密な関係を維持しており、そのメンバーの多くは、1980年代の対ソ連戦争の間に、中央アジアの共産党政権と中国に対して将来も使えるようにと、アメリカが支援したイスラム聖戦士だ。9/11攻撃の後、CIAは即座にタリバンとの関係を絶ち、関連ファイルを焼却した。

近年、西側の戦争プロパガンダが、タリバンを極めて悪辣な悪魔であるかのように描き出してきたため、当然かつ必然的な提案をする勇気を持った政治家はほとんどいない。つまり、この無意味な七年間にわたる戦争の交渉による解決だ。今年四月、ヤープ・デホープスヘッフェルNATO事務総長が、軍事的な手段ではなく、交渉によってのみ、終わらせることができると認めたことは、注目に値する例外だ。

カルザイ政府は、そうすれば、まさに自らが権力基盤としている、ウズベクやタジクの麻薬売買をしている軍閥の長や共産主義者の幹部を追放することになるため、カーブル外部には権威を及ばせることができない。本当のアフガニスタン国軍などというものは存在せず、戦うふりをしている不熱心な傭兵の集団に過ぎない。

アフガニスタンにおける現在の戦争は、本当のところは、アル-カイダやテロリズムに対するものなどではなく、中央アジア・カスピ海盆地の石油と天然ガス資源を、パシュトゥーン部族地域を経由して、西側に輸出する、安全な回路を切り開くためのものなのだ。アフガニスタンに駐留するアメリカとNATOの軍隊は、本質的に、敵対的な先住民を撃退しようとしている、パイプライン防衛部隊だ。

バラク・オバマ、ジョン・ マケインの二人ともアフガニスタンについては、間違っている。それは、「テロ」に対する「良い」戦いではなくして、西側の地政学的な力を、資源の豊富な中央アジアに拡張しようという、古典的な19世紀の植民地戦争なのだ。そこに暮らすパシュトゥーン系アフガニスタン人は、更に100年間戦い続ける覚悟がある。西側諸国がそういう訳でないことは確かだ。

あの偉大なアメリカ建国の始祖ベンジャミン・フランクリンが言ったように、「良い戦争も、悪い平和も存在しない。」西側にとって、アフガニスタンにおける現実に直面すべき時期だ。

記事原文のurl:www.ericmargolis.com/political_commentaries/time-to-face-facts-in-afghanistan_7.aspx

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えせ「二大政党の政権交代選挙」という、大本営マスコミ宣伝のなか、早くも民主党は、その正体をあらわにした。下記のニュースだ。本気で反対する意図など始めからなかったのだろう。結局は、アメリカの圧力に迎合するのと同じこと。

Yahoo news 10月8日12時46分配信 毎日新聞

 民主党は8日午前、衆院議院運営委員会の理事会で、インド洋での給油活動継続のための新テロ対策特別措置法改正案について、週内の衆院通過を容認する姿
勢を示した。9日の衆院本会議を省略し、衆院テロ防止・イラク支援特別委員会で趣旨説明と質疑を行うことを要求した。民主党の要求には、速やかに反対の意思表示を行うことで、与党に早期解散を促す狙いがあるとみられる。

 与党は9日の衆院本会議で趣旨説明を行い審議入りすることを提案したため、折り合いがつかなかった。【高本耕太】

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この件については、例えば下記のblog記事を、お読みいただきたい。

進む自公民談合・協力体制~インド洋給油活動延長を黙認する民主党 世界の片隅でニュースを読む

補正予算案は賛成できるシロモノか。 花・髪切と思考の浮游空間

2008年10月 9日 (木)

9/11陰謀論者の新たな友人 ロシア政府、9/11陰謀論を蒸し返す

キャシー・ヤング

The Weekly Standard

2008年10月13日、014巻、05号

グルジア戦争後の米ロ関係の冷却が継続する中、もしもアメリカ合州国が、同様に報いてくれて、冷戦的言辞をやめるなら、友好的関係を回復するのはやぶさかではないと、ロシア政府は繰り返し主張してきた。しかし、同時に、モスクワは、体制支持派のロシア・マスコミを通じて、反米ヒステリーのばか騒ぎを奨励した。9月12日、アメリカ叩きは、最低レベルに達した。ゴールデン・アワーの国営放送特別番組が、2001年9月11日のワールド・トレード・センターとペンタゴンへの攻撃は、アメリカの戦争挑発者達による内部犯行だったという考え方を広めたのだ。

「非公開上映(ロシア語原題Закрытый показ)」と題し、政府が支配するチャンネル・ワンで放映され、最大3000万人が視聴した特別番組は、イタリア人ジャーナリストで、ヨーロッパ議会議員であるジュリエット・キエザが制作したドキュメンタリー映画Zeroを中心に構成されていた。ヨーロッパのほとんどで無視され、イタリアのマスコミに酷評されたZeroは、お馴染みの「9/11に関する真実」なる主張(ツイン・タワーは建物内部の爆発物によって破壊された。ペンタゴンには、飛行機ではなく、ミサイルが突入した)や、ノーベル賞受賞者である文学的道化師ダリオ・フォのような「専門家」の洞察に、不気味な音楽伴奏をつけたごた混ぜだ。

キエザ自身、ソ連時代のイタリア共産党の党官僚で、共産党日刊紙ル・ウニタのモスクワ特派員だったが、ソビエト連邦から、今日の腐敗した国家資本主義ロシアへと、円滑に宗旨変えを果たしたように思われるのだが、スタジオでの論議に出席した。西欧とアメリカ合州国で配給業者を見つけられないことを、彼はひどく悔やんでいた。有り難や、ロシアは、依然として、自由な言論のための公開討論の場を許容しているのだ。

全くのソ連時代というわけではないので、少なくとも、ディベートのようなうわべはあった。建築専門家と(愉快なことに)退官したKGBアナリストを含むパネリストの何人かは、陰謀論を否定した。元チャンネル・ワンの特派員で、攻撃当日にはワシントンD.C.におり、数日後にはニューヨークにいたウラジーミル・スホイは、目撃した恐ろしいできごとを感動的に語り、キエザの理論に信憑性を与えて、そうした記憶を"裏切る"ことはできないと述べた。キエザの共著者、フランス人の9/11陰謀論者ティエリー・メイサンが、見てはいないはずだと熱心に断言したにも関わらず、スホイはまたペンタゴンで、77便の残骸を自分は見たと語った。スホイは、精神異常者が荒れ狂っているのを耐えるよう強いられている人物であるかのように、辛抱強い、困惑したような表情で耳を傾けていた。

だが、ほとんどの部分は、まるで精神異常者が精神病院を経営しているような状態だった。論議は"洞窟のオサマ・ビン・ラディンに指揮された19人のアラブ人"によるものだという"公式説明"を、馬鹿げたものであることは自明だと片づけた数人の陰謀論者寄りのパネリストによって、かなり支配されていた。(しつこい「19人のアラブ人」のからかいは、意見を異にする人々の一人、中東専門家イリーナ・ズヴャゲルスカヤが、厭味な質問をしたほどだった。つまり、25人あるいは50人だったら、より信じやすいということですか?) ロシア語が流暢なキエザは、TVで放送されたビン・ラデンのビデオテープは「明らかに」ビン・ラデンに扮した何人かの異なる人物を主役にしていると主張した。

過激な反米派のTV解説者ミハイル・レオンチェフは、あたかも当然のごとく、アメリカの指導者たちは、自国民の大量虐殺を、海外政策の目標を実現するための、全く問題がない手段だと考えているのだとほのめかし、フランクリン・ルーズベルトが"真珠湾を仕組んだ"などという極右のデマまで持ち出した。評論家のヴィタリー・トレチャコフとロシア・イスラム委員会議長のガイダル・ジェマルは、9/11攻撃が、ホワイト・ハウスの関与なしに活動していた謎につつまれた戦争挑発者達の徒党(トレチャコフ)か、ブッシュ自身(ジェマル)のどちらが仕組んだものかで、意見は別れた。

何人かの論者は、マスコミ、つまり西側マスコミの"情報の不足"と"情報操作"を嘆いていたものの、もちろん、反体制派のブラックリストを作り、フォックス・ニューズのキャスターが、ロシア寄りの意見を言ったオセチア人少女を黙らせようとしたことを示唆するよう改竄したビデオを放映するロシアのテレビは対象外だ。たしかに予想通り、マスコミが、丁度9/11事件の隠ぺいで共謀したように、ロシアの侵略という嘘を反復したという、節度のない偏向と、偽情報の一例として、グルジア戦争に関する西側報道が引用された。

ホスト役、ロシア人ジャーナリストで映画作家のアサクサンドル・ゴルドンは、真摯な関心と不安感をにじませてはいた。だが彼の偏向は、キエザ-メイサンの主張に懐疑的なゲストを、「アメリカの公式説明で十分満足している人々」とどこか痛烈に呼んだ、そもそもの出だしから明らかだった。懐疑派の発言は、無視されるか、多少装いを変えたあざけりで迎えられた。最後の30分間、彼らの発言はほとんど完全にかき消されてしまった。ゴルドンが生放送のスタジオの聴衆に、9/11の"公式説明"を、一体何人が信じているのか質問した時には、一人も挙手しなかった。

番組の終わり近くで、メイサンはアメリカ帝国主義とその悪に対する激しい非難を始めた。「この極悪の略奪者が、地球を荒廃するのを止められるのは誰でしょう? 私たちはあなたがた、ロシアに、大いに期待しています。これを止められるのはあなた方だけです」と彼は叫び、スタジオの聴衆から騒々しい拍手を受けた。

「非公開上映(Закрытый показ)」は"物議を醸す"話題を目玉としていたが、当局の承認なしで、映画を放映できたとは考えがたい。この放送は、評論家のボリス・ソコロフが、無党派のオンライン・マガジン、Grani.ruで書いているように、「少なくともロシアのテレビでは、冷戦がしっかり進行中であることを示している。」番組が放送された二日後、ロシアで政治的に独立した唯一の大手ラジオ局エホー・マスクヴィ(モスクワのエコー)にゲストとして出演したゴルドンは、番組が米ロ関係の最近の冷却化と関係していたのかどうかと質問された。彼は答えた「そうかも知れません。そうでないかも知れません。」

皮肉なことに、Zeroが放送された日、ロシア大統領ドミトリー・メドベージェフは、西側評論家の集会で、8月8日のグルジアの南オセチア攻撃は、無力なロシア国民が殺害された日で、ロシアの9/11だと語っていた。(実際は、彼等は近年発行されたロシア・パスポートを持った南オセチア人だ。)Zeroの放映を考えれば、この無理なこじつけは、モスクワが南オセチアにおける衝突を秘かに仕組んだということを無意識に告白したものと見ることも可能だ。

だが、多数のロシア人が、こうした類の考え方を深めたり、これに匹敵する悩ましい事件について熟考したりする可能性はまずない。1999年ロシアで、およそ300人の命を奪い、チェチェン人テロリストの犯行とされ、チェチェン戦争に対する一般の支持を生み出すのに役立ったアパート爆破に、ソ連崩壊後のKGB後継者であるFSBが関与していた、というかなり信ぴょう性のある疑惑だ。

称賛に値するのは、政府寄りロシア・マスコミの解説者の何人かさえもがZeroの放映に驚いたことだ。イズヴェスチアのコラムニスト、マクシム・ソコロフ(上記のボリスとは無関係)は、この番組は「人間の知性に対する侮辱であるばかりでなく、極めて趣味が悪い。」と書いた。彼は、米ロ関係が最良とは到底言えない時期の、アメリカ合州国に対するこの計画的な侮辱の狙いに疑問を呈した。

ロシア国民の間に、反米感情をかき立てる他に、仕返しという面もあったかも知れない。グルジア戦争に関する我々の主張を受け入れようとはしないわけか? 結構、我々も、9/11に関するそちらの説明は受け入れないからな。だが、チャンネル・ワンでの狂ったようなサーカスは、遊び場におけるあざけりの、政治版等価物どころではなく、遥かに深刻なものだ。ロシア国内における影響は別として、正統性という風格を与えることによって、9/11陰謀論という毒を、世界中に広める助けになりかねない。

今のところ、この侮辱に対し、ワシントンは反撃していない。反撃をするに違いない。今度、ロシア外務大臣セルゲイ・ラヴロフがコンドリーザ・ライスと会う時には、二人は議論するには不愉快な話題に事欠くまいが、それでもなお、Zero放映は言及に値しよう。意図的な挑発であるとともに、ロシアの指導者たちが、ロシアをどこまで、主流の文化的諸国から引き離そうとしているかという、更なる徴候だ。

キャシー・ヤングは、「リーズン(理性)」誌の寄稿編集者である。

記事原文のurl:www.weeklystandard.com/Content/Public/Articles/000/000/015/661hwlum.asp?pg=1

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決して、筆者意見に同意し翻訳したものでないことは、明記しておきたい。ロシアの番組に対する、アメリカの反応の例をご紹介するだけのこと。

アメリカが「主流の文化的国家」だという傲慢な発想!これが『理性』!

アメリカ「主流テロリスト国家」以外の何ものでもあるまい。

ただ「1999年ロシア・アパート連続爆破事件」は、恐らくロシア版9/11だ。

ロシアがアメリカの9/11の実態を、アメリカがロシア「アパート爆破事件」の実態を、暴露してくれたら有り難いことだが、それはあり得まい。

2008年10月 7日 (火)

イラク戦争を阻止しようとした内部告発者キャサリン・ガンの物語、ようやく刊行

2008/9/25

ノーマン・ソロモン

もちろん、イギリス諜報機関における仕事の邪魔にならない限り、キャサリン・ガンが良心を持つのは自由だった。当局にとって、事実上、良心は、コンピューター画面上の一画素以下のものとしか思われなくなりがちだ。しかし、あるありきたりな朝、机で電子メールをスクロールしている時、突然、彼女の良心が目覚めたのだ。それはキャサリン・ガンの人生を変え、歴史をも変えた。

この若いイギリス人女性の国籍にもかかわらず、彼女の物語は、大いにアメリカ的だ。アメリカ合州国では、これが国民からほとんど隠されたままだったがゆえに、一層そうなのだ。キャサリン・ガンが、非常に大きな個人的なリスクを覚悟して、アメリカ政府が、上位パートナーとして存在している国連における、違法なスパイ活動を明らかにした際、彼女は、米英の暗部を、白日の下では耐えられないような特別な関係を暴いたのだ。

あの当時、2003年早々、アメリカ大統領は、すぐ背後についてきてくれるイギリス首相の断固たる支援を得て、イラク侵略を開始することを早くから決断していたことは明白だった。ガンの倫理的な懸念は珍しいことではない。彼女は、他の無数のイギリス人やアメリカ人と共に、差し迫った戦争開始への強い反対の意識を持っていた。ところが、運命の単純かつ複雑なねじれのおかげで、彼女は突然、ワシントンとロンドンから、戦争に向かう政治的行進の道をふさぐ、バリケードを投げ込める、稀な立場にいる自分に気がついたのだ。だが、何よりも非凡なものは、目ざましい事実を、世界に明らかにするため、自らを大変な危険にさらそうという彼女の決断だった。

このような機会をうらやみ、原理を貫くこのような勇気に感服することはありえよう。だが、戦争への道に敷石を置くために、服従と沈黙を必要としている機関では、内部告発者が、なぜほとんど現れないかという、十分な、あるいは、少なくとも理解可能な理由があるのだ。そうした理由は、個人の安全、経済的安全性、法律的に有罪になる危険性、社会的一体性や服従という既定の立場といった事柄に関係している。これは、たとえ甚だしく、嘘という基盤に基づいていようとも、なぜ、どのようにして、人々は、好戦国家と折り合って行こうとするのかを説明する助けになろう。

あの運命的な朝、キャサリン・ガンに衝撃を与えた、アメリカ国家安全保障局から電子メールで送られてきたあのメモは、何千人もの占領軍兵士や、何十万人ものイラク国民の死を招く結果となったイラク侵略まで、二カ月もない日付のものだった。現代は誠実さなど信用できない時代だと言われているが、予告もなしに机の上に現れたメモに対するキャサリン・ガンの対応には、誠実さを疑うようなところはほんのわずかもない。慎重な無為のための底無しの理由付けに従って、それを無視する理由など山のようにあった。倫理的関与と、それに対応する行動の基盤は一つしかなかった。

NSAメモの重要性が非常に大きかったため、トニー・ブレア政府を震撼させ、いくつかの大陸で騒ぎをひき起こした。しかし、アメリカ合州国のマスコミにとって、それは些細な話題だった。ニューヨーク・タイムズにとっては、それは話題でさえなかった。

とうとう一冊の新刊書がこの話を物語ってくれた。"The Spy Who Tried to Stop a War"は、強烈なパンチが山盛りだ。個人的、政治的、そして歴史的な意味で、キャサリン・ガンが何をしたのか、イギリスとアメリカの政府がどう対応し、アメリカのマスコミが、何を報じ、また何を報じなかったかを理解することは、彼女の大胆な良心の行動の直後に、イラク侵略へと突進した、軍産マスコミ複合体についてのはっきりとした実情を把握することだ。この複合体は、マーチン・ルーサー・キングJr.が、「軍国主義の狂気」と呼んだものを、依然として推進しつづけている。

政治家たちや、広く尊敬されているジャーナリストたちが、非常に洗練されたように見える姿勢を進んで示そうとする時代にあって、キャサリン・ガンの対応は拍子抜けするくらい単純だった。外交で戦争を避けるようとするのではなく、 戦争が、ペンシルバニア・アベニュー1600番地とダウニング街10番地それぞれの最高指導者たちの優先項目リストで一番上にあるという、明らかな証拠が手に入った時に、彼女は良心を発動させた。彼女は思い出して語る。「当時私が考えつけたことといえば、彼等は侵略を必死に正当化しようとしていて、世界に対して、戦争への合意が実現できたと連中が発表できるよう、腕をねじり上げ、恐らくは代表たちを脅迫するために、この新しい諜報情報を、彼等は喜んで使うだろうことを、私が知っているということでした。」

政府の通信本部で働いていた彼女や同僚達は、後に彼女が語ったように、「国際法に違反する侵略を実現するという究極的な狙いをもった、違法行為に加わることを要求されていた。」

"The Spy Who Tried to Stop a War"の著者マルシアとトーマス・ミッチェルは、そのシナリオを以下のように説明している。「扱いにくい[国連安全保障理事会]代表たちの腕をひねって、広く受け入れられる論理的根拠を提供できる新たな決議の承認を勝ち取ろうとするもの。」キャサリン・ガンが、何が進行中なのかを発見した後、「彼女は、戦争を合法的なものにしてしまうような、必要とされていた二つ目の決議、つまり引き金機構となり得るものを破壊することで、戦争を押しとどめようとしたのだ。」

単なる非難でなく、NSAメモは、証拠になっているのだ。この事実は、なぜアメリカの諜報機関が断固として、マスコミの質問への対応に妨害工作を行ったのかを説明し、なぜアメリカのマスメディアがこの話題を著しく冷淡にあしらったのかを説明する助けにもなろう。このスクープは、アメリカのマスコミという反響室の内部で、大きく鳴り響くことはなかった。なぜなら、それが、しくまれていた主流の話題に溶け込むには、余りに鋭く、多くを物語っていたため。

表向き、歴史の第一草稿を提供するような振りをしながら、アメリカのマスコミはワシントンの崇高な戦争計画立案者たちの主張も論破できるような、極めて重要な情報は取り除いてきた。「ジャーナリストのうち余りに多くの人々が、中には非常に明確に、自分の使命は、戦争準備を支援することだと考えていると語っている」あるアメリカのマスコミ評論家がイラク侵略の準備段階時期に警告した。「もしも自分の使命をそのように定義してしまえば、結局は、重要で、正確ではあっても、戦争準備には役立たないかも知れないようなニュースを差し止めてしまうことになる。」

この話がキャサリン・ガンの漏洩によって世に流れ、イギリスの新聞の一面中に書き立てられ、ようやくアメリカのマスコミにも滴り落ちようかとする前に、ジェフ・コーヘン(私の友人かつ同僚)は、この話を語っている。彼は、プロデューサー兼、時折、生放送に出演する解説者として働いていた、フィル・ドナヒューが司会するMSNBCテレビの番組で、それを発言した。ドナヒューのゴールデン・アワーの番組が、NBC経営陣によって、侵略の三週間前に中止されたのは、偶然にも、NSAメモの暴露がイギリスで極めて大きなマスコミの話題となり、一方、アメリカ合州国では非常に入念に避けるべき話題となったのとほぼ同時期のことだった。

間もなく漏洩されたあるNBCメモが、戦争に突進するのに邪魔になるような見解や情報を遮るべく、放送局がドナヒューの番組を見捨てたのだという疑惑を裏付けた。放送局のメモには、ドナヒューの番組は「戦時において、NBCにとって厄介な番組」だと書いてあった。さらに、「彼は、反戦、反ブッシュで、政権の動機に懐疑的なゲストたちを登場させるのを楽しんでいるように思われる。」中止することで、番組が"競合する他局があらゆる機会をとらえて、戦争への旗振りをしている時に、リベラルで反戦的な話題の基地"になりかねない可能性の危険が回避された。

概して、アメリカのマスコミの編集者たちにとって、キャサリン・ガンの行動と暴露は、とりわけ、それが大問題である間、ごくわずか、あるいは全く、報道には値しなかったのだ。包括的なLexisNexisデータベースを私が調べたところでは、彼女の名がイギリスのマスコミで初めて報道されてからほぼ三カ月間の間、彼女の名に触れるアメリカのニュース記事はほとんど存在しない。

キャサリン・ガン告訴が、とうとうイギリス裁判制度遍歴の旅を終えた際に、著者たちは書いている。結審する裁判に関するアメリカ・ニュース報道の激増は、「なぜ、そもそもの始めに、NSAスパイ活動について知らされなかったのか、人々に疑問を抱かせた。」本書には、私たち自身の勇気と良心を活性化するよう鼓舞してくれるような良心と勇気の物語と、ゾッとするような好対照である、ジャーナリズムの怠慢についての記事もある。

本記事は、マルシアとトーマス・ミッチェルの新刊書"The Spy Who Tried to Stop a War: キャサリン・ガンと、イラク侵略を承認させるための秘密の策略"へのノーマン・ソロモンのまえがきを、書き換えたものである。

記事原文のurl:www.commondreams.org/view/2008/09/25

出版社による書籍情報

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もちろん、日本のマスコミでは、ほとんど報じられていない。

日本のマスコミ、アメリカの傀儡政権たる「日本政府」広報機関なので。

万が一、別の傀儡、民主党政権になろうとも、変わることはありえまい。

記事を読まれる前に、Blog暗いニュースリンクの記事「黙殺されたキャサリン・ガン事件」を参照いただきたい。

2008年10月 5日 (日)

フランス部隊:アフガニスタン行きを拒否

2008年10月4日

Press TV

フランス国内の軍事基地にいる部隊が、フランス軍が駐留していることに対する支持が次第に衰える中、自分たちのアフガニスタン展開に反対している。

フランスのマスコミによると、南部のフランス軍事基地に駐留している第27大隊の部隊が、金曜日、中央アジア諸国におけるフランスの任務の一端として、アフガニスタンに行くのはいやだと発言した。

部隊が戦争で荒廃した国への駐留を拒否したのは、8月にアフガニスタンで10人のフランス兵が殺害された後のことである。

8月の待ち伏せ攻撃は、2001年のアフガニスタン侵略以来、国際部隊に対する最も破壊的な地上攻撃であり、1983年のベイルートの兵舎爆撃で58人のフランス人空挺部隊員が殺害されて以来、フランス軍にとって一度に亡くなった死亡者数としては最大だ。

フランス兵は、待ち伏せ攻撃から彼等が脱出するのを支援しにやってきた、NATO軍機からの'誤爆'によって殺害されたのだという憶測がされている中、ヘズブ-イ-イスラミ(アフガニスタン・イスラム党)を率いるタリバンでアフガニスタン元首相のグルブッディーン・ヘクマティヤールは、フランス兵士に対する攻撃を行ったのは自分たちだと、単独に主張している。

攻撃は、フランスを震撼させ、フランスのアフガニスタン駐留にかかわる激烈な議論の火付け役となった。撤退の要求にもかかわらず、フランスの議員たちは、アフガニスタン紛争に対するフランスの関与を延長することを最近承認した。

フランス国民の50パーセントが、何千人もの兵士をアフガニスタンに展開することに反対しているという事実にもかかわらず、フランス大統領ニコラ・サルコジは、四月におこなわれたNATOサミットで、アフガニスタンでタリバンと戦うべく、更に700人のフランス兵を派兵し、総計約3,000人とする予定だと表明した。

10人のフランス兵の死亡以後、サルコジの政策に対する批判が増大している。彼は、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領政権に余りに密接にすぎるという厳しい批判にも直面している。

記事原文のurl:www.presstv.com/detail.aspx?id=71254&sectionid=351020603

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盟主アメリカや、NATO諸国軍、およびカナダ軍の惨状については、以下の翻訳記事も参照されたい。

『予期しなかった戦争- カンダハールのカナダ』書評 日本の近未来を予言しているかのような本。

なぜアメリカはアフガニスタンで勝てると考えているのだろう?

アフガニスタンにおけるドイツの戦争

アフガニスタン、血まみれの8月

いっそNATOを廃絶しては?

NATO、コソボ、アフガニスタンとパキスタン: NATOはアフガニスタンで一体何をしているのか?

タリバンのテト攻勢が始まった。

NATOの白鳥の歌: アフガニスタンおける敗北の本当のコスト

そして、直接の戦争行為にこそ参加していない日本はアフガニスタン爆撃の基地だ。

三沢のパイロット「最も功績ある飛行」の栄誉を受ける

2008年10月 4日 (土)

イラク: 街を破壊し人気を絶やすことを、彼らは平和と呼ぶ

エリック・マーゴリス

08年10月2日 "ICH"

がらくたを金に変えた、あのウォール街の金融錬金術者連中が、 ジョン・ マケインが、先週金曜日のバラク・オバマとのディベートの準備するのを手伝ったに違いない。

彼の"増派"戦略のおかげで、アメリカはイラクでの戦争に勝利しつつあるという、マケイン上院議員の執拗な主張は、ウォール街のいかがわしい金融業者たちが世界中に売りつけていたがらくた証券の、軍事-政治的な等価物にすぎない。

マケインは、イラクにまつわるこの最新の嘘を、金曜日の晩、熟練と気迫で、まんまと売り込んだ。バラク・オバマ上院議員は、ほとんどそれを見過ごしたままにしていた。オバマは、マケインが支持する、イラクやこの不必要な戦争をひき起こした全ての嘘に対して、彼を激しく攻撃するべきだったのだ。イラク戦争を巡って、電話帳が一杯になるくらい、沢山の犯罪行為がおこなわれている。アメリカ人の三人のうち二人は、これは大変な過ちだったと考えている。

だが、オバマの上品な、学者ぶったイラク戦争批判は、なまぬるい、効果の薄いもので、マケインが暖め直した冷戦弁舌で愛国主義の旗をもぎとるままにさせた。

誤って始められたイラク戦争が、アメリカにおける現在の金融界の臨死体験上で、主要な役割を演じていることを、なぜオバマはアメリカ人に語らなかったのだろう?

オバマは、グルジアをめぐるマケインの大言壮語も突き返すべきだった。「マケイン上院議員、あなたは、グルジアを巡る、ロシアとの戦争に行く覚悟がありますか? あれが、あなたの計画の行く先でしょう。」

二人の候補者はディベートで、それなりに頑張っており、いずれも大統領らしく見えた。しかし、マケインは"勝利"や"自由世界"という類の慎重に選んだスローガンを使い、アメリカの十八番、イランのアフマディネジャドやロシアのプーチンをこきおろして、愛国主義的な優位な立場を手に入れた。二人は、どちらがより完全にイスラエルを支持することができるかを巡って競い合った。

彼が考え出した軍事リーダーシップのおかげで、アメリカはイラクにおける勝利に向かっている、というマケインの主張で、古代ギリシャのエペイロス王、ピュロスの叙事詩的なセリフをすぐさま連想した。紀元前281年に、彼の軍勢が重大な打撃を被った、極めてむごたらしい激戦で、ローマ軍をヘラクレアで打ち破った後、ピュロス王は周知の通り叫んだのだ。「もう一度、このような勝利があれば、我々は破滅する!」

エペイロス(現代のアルバニアにあたる)の赤毛王は、イラクのことを語っていたも同然だ。マケインの語る勝利など大間違いで、ローマの歴史家タキトゥスの言葉こそ適切だ。「街を破壊し人気を絶やすことを、彼らは平和と呼ぶ。」

まさにそれが、アメリカがこれまでのところ、人口わずか2500万人の、小さな、荒廃した国家イラクに対しておこなったことそのものだ。五年間の戦争の後、4000人以上のアメリカ兵が死亡し、30,000人(数字によっては75,000人)が重傷を負い、その内の多くは不治の頭部損傷だ。

一体何人のイラク人が亡くなったのかは誰も知らないが、推計では100万人にものぼっており、しかもこれには、イラクに対するアメリカ主導の過酷な禁輸や、1991年のアメリカ空軍による全国的な浄水、下水システムの破壊の結果、飢えと病気で亡くなった500,000人は含まれていない。

マケインが主張するように、"増派" つまり、30,000人以上のアメリカ兵をイラク紛争に追加派兵したことが、過去12カ月にわたるイラクにおける武力衝突激減の主要因なのではない。増派も、補助的な役割は演じてはいるが。

武力衝突や、アメリカ占領軍への攻撃が急減した本当の理由は、別の三つの原因にある。第一は、民族浄化。アメリカ占領軍は、シーア派民兵による何百万人ものスンナ派イラク人民族浄化をひそかに煽動していた。アメリカは、イスラエルのヨルダン川西岸占領というお手本の別ページに習って、イラクの都市地域全体を、高い、コンクリートの壁で隔離し、四六時中、家宅捜査作戦を遂行している。

現在、四から五百万人のイラク人が、近隣諸国への避難民となったか、国内で住むところを追われており、これは世界でも最大の避難民人数の一つだ。大半はスンナ派イスラム教徒だ。アメリカ合州国は、この人災に対して、全面的に責任がある。

アメリカは、そういうことには反対すると表明したことを行っている。イラクを三つの脆弱な部分に隔離した。シーア派、スンナ派、そしてクルドだ。事実上、三つのイラク人ミニ国家ができているのだ。イラクの分割と、シーア派暗殺部隊によるアメリカが承認した民族浄化、アメリカが、ボスニアとコソボにおいて、非難したまさにその類の犯罪的行為が、スンナ派-シーア派の対立の緩衝器となった。しかし、それは、イラクを破壊された国家にしてしまい、スンナ派地域は無人地帯に、シーア派地域はイランに支配され、そして、クルドは、アメリカとイスラエルの庇護のもとに入った。

二つ目は、アメリカ占領軍も、とうとう賢くなり、敵の全員を殺そうとするより、敵を買収するほうが安くつくことを悟ったのだ。それで、今やアメリカは、覚醒会議と呼ばれる、80,000人のスンナ派武装集団に、抵抗勢力と戦うよう給与を支払っている。イラクのアル-カイダ狂信者による、アメリカ占領に反対するスンナ派同国人への攻撃は、droveより温和な抵抗集団を into アメリカの手先。

だが今や、エルサルバドルの暗殺部隊を模倣した、このスンナ派武装集団の支配を、アメリカは、シーア派の支配下に移管しようとしている。アメリカ側に着くことで、シーア派政府軍に対する保護を求めていた、アメリカが装備を与えているスンナ派民兵は、今や新たな大問題になりかねない。

三つ目は、かつてアメリカ軍と戦った寄せ集めのマフディ軍団、シーア派民兵の扇動的指導者、ムクタダ・アル-サドルは、身を隠し、武装集団には、武器を山積みにするよう命じた。彼の180度の転換は、シーア派内部政治の変化を反映しているが、アメリカに攻撃されるのを恐れたイランが圧力をかけ、ムクタダに攻撃を停止するよう命じたのだ。

しかし、少なくとも当面の間、武力衝突が減少していることは、いかなる意味でも勝利を意味するものではない。世論調査では、75%のイラク人が、アメリカ軍が去ることを望んでいる。イラクは外国占領下の国家のままである。アメリカがしつらえた政権は、バグダッドのグリーン・ゾーンしか支配していない。実権は、シーア派とスンナ派民兵と、もはやほとんど独立国家状態にある、クルドの二政党の手中にある。石油の分配方法についての合意は未だにできていない。

占領のため、アメリカには、減価償却を計算にいれずとも、少なくとも一カ月に100億ドルかかっており、装備の取り替え費用が670億ドル、負傷者の医療費や、退役軍人給付金用に数十億ドルだ。2008年末には、イラクの"容易な仕事"だったはずものが、アメリカの納税者に1兆ドルもの負担をかけており、その大部分は日本と中国からの借り入れで、これはアメリカ史上、二番目に費用のかかる戦争となった。

アメリカ陸軍の半数はイラクで泥沼にはまりこんでいる。この戦争とアフガニスタンが、アメリカ軍の幹部司令官たちの言葉によれば、アメリカ地上軍と空軍を、"限界点"に至らせている。歴史上、あらゆる占領軍が、非人間的になり、堕落し、士気阻喪した。

少なくとも30,000人のイラク囚人がアメリカによって拘留されており、定期的に拷問を受けたり、裁判なしに処刑されたりしている。彼等は政治囚と見なされるべきだ。サダム・フセインの監獄の方が、囚人の数は少なかった。アメリカのイラク占領の残忍さが、イスラム世界を、アメリカに対して激怒させ、アメリカの諜報機関によれば、新世代の反米闘士を多数生み出した。

ブッシュ政権のイラクに関する嘘の連発や、継続中の占領は、世界中で、19世紀イギリスのインド支配、あるいは、かつてのソ連にも等しい粗野な帝国主義だと見られている。オバマ上院議員が、ディベートの中で、アメリカのイメージは、国家安全保障上、重要な一つの要素だと言ったのは、少なくとも正しかった。現在、アメリカは、世界中で嫌われている。ジョージ・ブッシュとディック・チェイニーのおかげだ。

傀儡政権と、アメリカの空軍力に支援された傭兵軍隊を使って、イラク支配を継続しようというワシントンの現在の計画は、イギリス帝国がイラクを支配し、その石油を搾取したやり方を真似しようとする企みだ。しかし、ひとたび大半のアメリカ軍が撤退すれば、イラクは、再び暴力と混沌に打ちのめされてしまうか、あるいは、三つのミニ国家へとバラバラになる過程を完成して、強欲な近隣諸国の介入を招くだろう。イランは既に東部イラクにおける支配的勢力となっており、イラクの石油が喉から手が出るほど欲しいトルコは、脅すように見守っている。

オバマには、こう切り返して欲しかったと思う。「マケイン上院議員、もう一度、このような戦勝があれば、アメリカは破滅します。あなたや、無二の親友のネオコン、ジョー・リーバーマンが、イラン、ヒズボラ、パキスタン、タリバン、アル-カイダ、反抗的なアラブ人、ロシアや中国との対決をかりたてておられますが、このことを良くお考えになった方がよろしいですよ。」

追伸:それに、ベネズエラ、キューバ、ソマリア、そしてスーダンも決してお忘れなく。

エリック・マーゴリス[margolis@foreigncorrespondent.com]は、Sun National Media Canadaの海外寄稿編集者で、War at the Top of the Worldの著者。彼のウエブは下記のとおり。http://www.ericmargolis.com/

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article20918.htm

2008年10月 3日 (金)

『予期しなかった戦争- カンダハールのカナダ』書評

ジャニス・グロス・スタインおよびユージン・ラング共著

ヴァイキング・カナダ (ペンギン)、トロント、2007刊

Jim Miles

2008年9月24日、

Palestine Chronicle

アフガニスタンは、カナダにとっては、予期しなかった戦争だったのかもしれないが、アメリカ新世紀プロジェクトにまつわるアメリカの期待については十分知っていたことと、カナダ軍が卑屈にも進んでやろうとしている意欲とが結びつけば、この戦争は、起こりそうにないというより、いかにもあり得るはずのものだった。『The Unexpected War(予期しなかった戦争)』で、著者のステインとラングは、二つの主題に、終始注目している。一つ目は、イラク戦争への貢献の欠如と、ミサイル防衛への貢献の欠如を穴埋めするための、カナダ政府によるアメリカに対する妥協の程度だ。二つ目は、大国に、自分たちの力量を誇示したいばかりに、アメリカの相手方に、取り入ろうとするカナダ軍の卑屈な態度だ。

この現在の出来事に関与したすべての政治家と軍関係者が、カナダの国全体として、アメリカに対し、独立した姿勢を実現することができずにいた為に、我々がアフガニスタン戦争に巻き込まれてしまったように見える。あらゆる党派の政治家達は典型的な政治家として行動しており、情報操作を極めて受けやすく、しかも不幸なことに、カナダは、アメリカ合州国に対し、本当に独立した姿勢がとれないことが多すぎるのだ。

表向きは、アフガニスタン政府の原状回復を目指すということだが、アフガニスタンの地政学的地勢をより広く見れば、それは、石油と天然ガス資源の両方を得るためこの領土を支配し、ロシアと中国を孤立化させ、南アジアへの動きを封じ込めるというアメリカの帝国主義的戦いなのだ。これは、国会議員から、政府高官に至るまでのカナダ政府の面々が、明らかに理解してはいなかった複雑な状況なのだ。カナダが、アフガニスタンに巻き込まれてしまったのは、ある面、カナダがアメリカに従属的であることが理由であり、また、ある面では、単なる無知が理由だ。現在の保守派政府のある議員が、全議員に対して私がした多くの具申の一つに反駁しようとして、「アフガニスタンには石油はない」と語った。私はそんなことは言っていないのだが、議員たちと、おそらく他の多くの人々が知らなかったのは、イランやロシアを避けるため、アフガニスタン領土を経由して石油を輸送するという課題があったことだ。更に、アフガニスタン北端のカスピ海には、価値ある天然ガス田が多少ある。

アメリカの本音と、実際の状況と、この地域に内在する複雑な事情に対するこの無知さが、100人が戦闘で死亡するという始めての世紀を迎えようとしており、その解釈と、カナダ国内で派兵に対する国民の支持を得ようという、カナダ軍にとって膨大な問題をもたらしている。カナダ国防省の政策審議官が、「この国について、我々は何も知らない。」と言ったとして引用されている。これらは余りに真実であり、そしてこの無知が、国内における余りの政治的混乱と、アフガニスタンにおいて、カナダ軍が不必要に危険に曝される状況をもたらしたのだ。

著者は、アフガニスタンの状況について、ロシア侵略から始めて、短いかも知れないが、妥当な背景説明をしている。それは、アメリカが、その属国に対して行いがちな支援だ、という言い方もできよう。とはいえそれ以前に、ソ連を引きずり込むような一層不安定な状況を作りだす為、アフガニスタン内でCIAを活動させたことに対するブレジンスキー発言には一切触れていない。パシュトゥーン人領土を横断し、パシュトゥーン人をアフガニスタンとパキスタン二国に分けてしまっている、デュランド・ラインという名の国境線のわざとらしさが、事態進展の上での重要な要素として認識されている。惜しみないCIAの資金供与と軍事補給支援、特に、効果的なスティンガー・ミサイルなどによる、パキスタンISIに対するアメリカの支援にも触れられている。触れられていないもう一つの要素は、この地域全土にわたりムジャヒディン戦闘部隊を育てようとした、アメリカの広範な尽力だ。[1]

アメリカ(そしてつまりはカナダ)が、「安定化と再建」にだけ向き合うのだと考えていたのに対し、著者達の結論は「この判断の上で、無知と傲慢さが効果を発揮していた。」

そこから本書は、カナダの話、つまり、誰が何を誰に言ったのかという典型的な話、あるいは、何を誰に言ったかを彼等がどのように覚えているかになる。アメリカに対して「信用を維持する」というテーマが何度も繰り返される。カナダを、イラクという「困難から抜け出させる」ことには、弾道ミサイル防衛網を懸念し、カナダが「ホワイト・ハウスを離反させてしまう」ことを恐れる、軍部からの「政治家達に対する大変な圧力」があり、そしてまたもや、イラクについての決定を「穴埋めするために、何か目ざましいことを早急にすることが必要だという感覚の再燃」から…アフガニスタンは、手始めとして、道理にかなった場所のように思えた…。「ペンタゴンを感心させるような自らの行動」と、スチーブン・ハーパーのおはこの一つ「世界的に、カナダの刻印を残す」ことが、本書後半で、「ワシントンの友人たちと協同して政策を進めようとした」として、軍部がとがめられる際に、この主題は再び現れるが、「カナダの軍事的任務は、完全にではないにせよ、多くの部分が、『強迫観念』とさえいえるほどの、オタワとアメリカ合州国との関係を基本にして決定されたのだ。

こうした全てに直面すべく、カナダ政府(それぞれ、ほぼ民主党と共和党に対応する、自由党も保守党も)は、これまた政治家たち同様に、本当の状況にうといと思われる典型的に迎合的なマスコミを通して、カナダ国民に対し、かなりの情報操作を行った。アメリカ同様に、部族と村々の統治については、通常カーブル中央政府が関知するところではない地域において、西側がイメージする自由とデモクラシーを打ち立てることが目的だとしたのだ。

カナダは無知ゆえに、どこにいようと、戦闘的なイスラム教徒を打ち破る世界戦争である対テロ・グローバル戦争という、アメリカの路線にも付き従っている。著者たちは、アフガニスタンの立場を、正当に、「現地の不満で激昂した、現地の政治的目標をもった…タリバンや現地の、パシュトゥーンの土壌の息子たち」のイスラム社会として扱っているが、他にも無知な分野があるなかでも、これはほとんどのカナダ政治家が認識しそこねている部分だ。

二大政党いずれもが、カナダがアフガニスタンに派兵している責任を負っているとは言え、それは[ハーパー]政府の未来を決定する」ものとなった。彼のリーダーシップのもと、「アフガニスタンのことをほとんど知らない国会」における論議の為、国会は「悲惨なほど不十分な時間」しか与えられなかった。この表現の裏にあるのは、「ハーパーは、政治的な目的のため、投票を操作しながらも、国会に対する尊敬の欠如を示している 」という見方だ。彼はブッシュ的用語を使っている。「カナダはアフガニスタンからあわてて逃げ出すことはしない」というもので、彼の見解は「9/11に対する報復」をも含んでいた。

最後の章は、将来についての疑問であり、アフガニスタンでの今後の進め方を、カナダがどのように決断するかを問うている。本書が書かれてから、ハーパーは政治的手腕を存分に駆使して、国会を操っており、特にそもそもこれを始めた自由党に、2011年までの延長を支持させている。アフガニスタンの状況は大幅に悪化しており、イスラム教徒との戦線(以前から、そういう状況にはあったが、現在の出来事の歴史は、必ずしもブッシュが感じているようなものではない)に、ブッシュが、新たにパキスタンをも加えたことによって、状況は今後更に悪化しよう。カナダ軍とカナダ政治家の無知に加え、パキスタンの内部事情と、アフガニスタンとインドに対する外交問題という二つの屈折した問題の複雑化について、恐らくは更に無知なことが追い打ちをかける。考慮すべき後の二つの要素は、最後の項で、多くの疑問を受ける部分である、カナダのNATOとの関係、および国際法の問題だ。

ハーパーは、現在、(行われなかった)信任投票の場合を除き、四年ごとの確定日選挙(アメリカの期待に対する、もう一つのハーパーの仕掛け)をするとした法律より早く行われるカナダの選挙戦中だ。このタイミングは、彼の政府を到来する不況に備えさせるとともに、更に、アフガニスタンとパキスタンへの、過去の壊滅的政策の延長であり、危険かつ無知な軍事関与を、アメリカの両党とも強化する予定でいるのだが、新たに授権されるアメリカ政府の到来とともに、更なる海外への介入を議論しなければならなくなることを避けるためだとも言われている。アメリカ軍にへつらおうとするカナダ軍の傾向と、ハーパーの偽装した右翼的好戦性を考えれば、ハーパーが選挙に勝つようなことがあれば、アメリカと並んでカナダが戦争を継続するようになるのも驚くべきことではなかろう。

カナダの有権者に対する課題は、これを「伝統的な平和維持軍」・対・「対ゲリラ」戦士という立場(違う人々たちの用語では、あるいは侵略者または占領者)という概念ではなく、カナダ海外政策の独立・対・世界の多くの場所に死と破壊をもたらしているアメリカの海外政策への卑屈な追従、という問題として考慮すべきだということだ。

しかし、それは本書の第二巻になるのかも知れない。更なる無知、更なる西欧風の傲慢さ、アメリカの欲望に対する更なる追従によって、「予期しなかった戦争」は思ったより長びくだろう。著者達は、アメリカの利害と並んで、カナダがアフガニスタンに関与した現在の出来事の歴史をうまく描き出しており、巻頭における出来事の要約に多少些細な脱落があるとは言え、全体像は明確で、直截で、適切な疑念をはさんでいる。これから五年先に、本書の第二巻が書かれることはないのかもしれない。

[1]この地域の複雑さに関するより詳細情報は、Michael ScheuerのMarching Toward Hell - America and Islam After Iraq、Free Press、New York、2008;  およびAhmed RashidのDescent Into Chaos - The Unites States and the Failure of Nation Building in Pakistan、Afganistan、and Central Asia、Viking (Penguin)、2008を参照のこと。

ジム・マイルズはカナダの教育者で、The Palestine Chronicleの評論記事と書評の常連寄稿者/コラムニスト。マイルズの仕事は、他の非伝統的なウエブ・サイトやニュース媒体によって、世界中で発表されている。

記事原文のurl:www.politicalaffairs.net/article/articleview/7452/

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明日はわがみ。全く人ごととは思われない本、書評だ。

衆議院選挙で、アフガニスタン派兵に反対する野党が大幅に躍進しなければ、日本は周回遅れで、カナダと同じ経験をすることになる。派兵に反対する野党の中には、もちろん民主党は入らない。代表は一貫して、国連至上主義、アフガニスタンISAF派遣を主張しているのだから。

湾岸戦争に、膨大な資金を提供したのは、当時自民党の幹事長だった小沢一郎氏だ。

小沢一郎という政治家が、小選挙区制度導入を推進し、実現した。マスコミはこぞって小選挙区制度導入をあおった。その結果は、どうなっただろう。

小泉政治を、小泉911選挙を、マスコミはこぞって翼賛した。その結果は、どうなっただろう。

そして今、マスコミは政権交代を、こぞってあおっている。その結果は、火を見るよりあきらかだろう。

引退を表明した元首相、国をすっかりアメリカの為に破壊しておいて、アメリカの安保専門家、有名ジャパンハンドラーに預けた次男、日本版サアカシュビリの卵に地盤を譲るという厚かましさ。辞任した中山元国交相のセリフに習えば、「自民党など体制派政治家の子供は頭が悪くても政治家になる。自民党の強い政界はレベルが低い。自民党は日本の癌だ」ろうか。

こりずに、サアカシュビリの卵に投票する市民が多数いる、なんとも不思議な不沈空母基地属国。前回は、天木氏と、羽柴秀吉氏が立候補していた。天木氏の得票、驚くほど少なかった。

マスコミがあおる政権交代、事実は、政権交代ではなく、アメリカ従属を旨とする派閥間交代にすぎまいに。小選挙区制度導入の時から予定されていた遠大なシナリオ。小泉元首相が破壊した日本を、小沢氏が粉砕してくれる。

しかし、人は痛みを実際に感じないと懲りないものなのだろう。もちろん、悲惨な現実を見てから後悔しても遅すぎるのだが。

10/7追記 共同通信で、驚くべき記事が配信されている。

【ワシントン6日共同】米国防総省当局者は6日までに、治安が急速に悪化しているアフガニスタンの国軍増強のための費用として、米政府が少なくとも170億ドル(約1兆7000億円)の負担を日本を含む同盟諸国に要求したことを明らかにした。ロイター通信が同日伝えた。

 ロイターによると、米政府が費用負担を求めたのは、米同盟国のうち、日本やアフガンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)に派兵していない北大西洋条約機構(NATO)加盟国など。

 モレル国防総省報道官はロイターなどに対し、アフガン国軍増強について「少なくとも170億ドルが必要。これは誰かが支払わなければならない」と指摘した上で、「アフガンに軍隊、特に戦闘部隊を派遣することに消極的な国は、財政的な貢献をするべきだ」と述べた。

 同報道官によると、米政府は既に日本に費用負担を要請済みだが、要請は福田前政権に対し行われたため、麻生政権に対してもあらためて要請する方針という。

2008/10/07 00:29   【共同通信】

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こんな大強盗のような国家と、この属国は、本当に同じ価値観を持っているのだろうか?

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2008/10/08追記 MSN産経ニュースに、【ノーベル物理学賞】風呂あがりに浮かんだ「小林・益川理論」 研究秘話というのがある。

研究が始まったのは昭和47年5月。当時、益川さんは教職員組合の書記長も務め、多忙だった。2人は益川さんの時間が空く午前中に議論し、結果を家に持ち帰って熟考。翌朝、また議論する生活を続けた。

辞任した中山元国交相のセリフとは、完全に逆ではないか?

2008年10月 1日 (水)

人は何でも信じるもの。未知のテロ集団、マリオット爆破は自分たちの犯行と主張

Winter Patriot

Infowars - 2008-09-23

パキスタンの新聞ドーンによると、イスラマバードのテレビ局にかけてきた電話で、"フェダイーン・イ・イスラムと自称する集団"が、自分たちがイスラマバードのマリオット・ホテル爆撃の犯人だと主張したという。

ブルームバーグによると、フェダイーン・イ・イスラムは"ほとんど知られていない集団"だ。だが、一体どの程度無名なのだろう?

ドーン紙記事には、"ある[パキスタン]政府幹部"の発言が引用されている。

「そういう組織の名は聞いたことがないが、そのネットワークを見つけ出そうとしている。」

驚くべきことだ。

土曜日の夜の爆撃以来、マスコミは大きな疑問と格闘している。"なぜアルカイダはこの事件をおこしたのか?"

しかし彼等は今や、別の質問にも対処しなければならない。"フェダイーン・イ・イスラムは、アルカイダとどのようにつながっているのか?"

フェダイーン・イ・イスラムが暴力的で過激なイスラム・ファシスト集団に違いなく、彼等がホテルを爆撃したに違いないことは言うまでもない。そして彼等は、アルカイダ、更に、おそらくはタリバンの、指令ではなくとも、支援は受けていたに違いない。結局、世界で最も暴力的なイスラム教テロリスト以外の誰が、テレビ局に匿名電話をかけることができるだろうか?

大きな疑問に注意が払われていることがわかるのは結構なことだ。それは我々に余裕を与えてくれるからだが、ブログ世界のこのささやかな一角で、以下のような無意味で些細な取るに足らない質問をしてみたい。

アメリカ海兵隊員たちは攻撃の直前、マリオット・ホテルで何をしていたのだろう?

パキスタン・デイリーによると、爆発後、ホテルの4階と5階から出火した。

他の階でなく、なぜこの階で出火したのだろう? 公式説明はほとんど意味をなさない。一方で、あるパキスタン議会議員の目撃者証言によると、最近マイク・マレン海軍大将が宿泊していた間に、アメリカ海兵隊員の集団がホテルを訪れていた。

その目撃者によると、ホテルに接近する道は全て閉鎖されていたにもかかわらず、海兵隊員たちは鉄製の箱を白いアメリカ大使館のトラックから下ろし、パキスタン軍の警備も、ホテルの警備も通り抜け、複数の箱を直接ホテルの、まさに、不思議なことに出火がおきた階、4階と5階へと運んだのだ。

海兵隊員たちは建物に発燃剤を詰め込んでいたのだろうか? ある建物が、まず内部関係者よって火薬を詰め込まれ、次に"テロ攻撃"に会うというのは、たしかに初めての出来事ではなかろう。

前回の投稿で、マリオット爆撃を「パキスタンの9/11」と呼んだ際に、私はふざけていたわけではない。だが私は詳しい説明もしてはいなかった。

政治家とマスコミの両方がこぞって、出来事を"デモクラシーに対する攻撃"として描き出していることや、いずれの場合も、攻撃が、合法的に選出されたのだと偽りの主張をする政府にとって、きわどい時に起きていることを含め、二つの攻撃の間には膨大な類似点がある。

パキスタン大統領アシフ・アリ・ザルダリは今や過激派イスラム教テロリストに対する全面戦争の最中にあると主張することができるし、国民が行きたがってはいない方向に、国民を引きずり込むのに十分な"政治的資産" さえ作り上げることができた可能性もある。

いつものごとく、攻撃の後には、アルカイダとつながりをもった男たちが、マリオット爆撃との関連で、パキスタンで逮捕されたというファイナンシャル・タイムズ記事の類の膨大なマスコミのたわごとが続いている。

パキスタン捜査当局は、昨日イスラマバードのマリオット・ホテルへの自爆トラック爆撃にアルカイダが関与している新たな証拠を発見したと述べた。諜報機関職員たちも、攻撃の計画に関連した五人の過激派を逮捕したと報告している[...]

ある諜報機関職員によれば、逮捕された五人のうち二人には「アルカイダとの密接なつながりの決定的な証拠がある。戦闘的集団との彼らのつながりは疑う余地がない。」

考えてみよう。警察がある集団を逮捕しているのに、別の集団が自分たちがやったと主張している。これでは、警察の主張が台無しにされはしないだろうか?

このちょっとした論理で足元をすくわれたのであれば、あなたは民主党員に違いない。共和党によれば、民主党は2001年9月11日の教訓を学びそこねているというのだから。

そして、9月11日の大事な教訓は、もちろん、論理も証拠も、そして科学も、みな使い物にならない、ということだ。

したがって、我々は犯罪を解決するのに、もはや法医学的証拠は使わない。我々はこの犯罪を、戦争行為だとレッテルを貼り、法医学的証拠を破壊し、無防備な諸国を攻撃するのだ。報復のためなり、なんなり。

この大規模爆破攻撃が、パキスタン政府がこれまで聞いたこともない、パキスタン人テロリスト集団によって準備されたものだ、と読者が信じられるのであれば、これまで知られていなかったこの集団は、アルカイダとも、これまで知られていなかったつながりも持っているに違いないと信じるのは、さほど無理なことではあるまい。

APはこう報道している(トロント・スター記事):

レーマン・マリク内務相は、重要なパキスタン自爆攻撃の"全てがFATAにつながっている"と語り、オサマ・ビン・ラディンとアルカイダNo.2のアイマン・アル-ザワヒリが隠れているのでは、とアメリカ当局者が懸念している、連邦管轄トライバル・エリアに言及した。

そういうことだ。誰がやったかなど、どうでも良い。誰がやったと主張しているかなど、どうでも良い。攻撃される直前に、なぜ海兵隊員たちがビルで不可解な行動をしていたのか(整備をすり抜けられたのか)など、どうでも良い。捜査の中で、どのような証拠が収集されたのかなど、どうでも良い。調査が行われたのか否かさえ、どうでも良いのだ。

大切なのは、マスコミと政治家たちが、誰に責任をなすり付け、代償を払わせるかをあらかじめ決めていたということだ。かくして、またもや9/11と同様、責任を押しつけられ、代償を払わさせられるのは、犯人たちではないのだ。

記事原文url:www.infowars.com/?p=4780

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