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2008年10月19日 (日)

アメリカの覇権追求-「アルカイダの脅威」なるもの

ユスフ・ナザール

2008年10月13日、月曜

ザ・ニューズ(パキスタン)

アメリカ合州国で今受け入れられている認識は、パキスタン北西部の過激派が、パキスタン-アフガニスタン国境沿いに、アルカイダに対する安全な隠れ家を提供しており、アメリカの安全保障に対する最大の脅威は、この地域から来るというものだ。アメリカの高官も、ジャーナリストも、シンク・タンクの誰も、アラン・グリーンスパンが著書『波乱の時代』で書いている疑問を呈しておらず、答えてもいない。

「ワシントンにおいて、なぜ二度目の攻撃がないのだろう?という疑問ほど重要な疑問はありえない。もしもアルカイダの狙いが、ビン・ラディンが宣言したように、アメリカ経済を崩壊させることであれば、攻撃は続くはずだ。アメリカ社会はオープンで、国境は穴だらけで、武器や爆弾を探知する能力は脆弱だ。私はこの疑問を政府の最高レベルにいる多数の人々に尋ねたのだが、誰一人として説得力ある答えを持っていなかった。」

グリーンスパン氏は一般人ではない。彼は、単に連邦準備制度理事会の元理事長だっただけではない。彼は、ジョージ・ブッシュ、ディック・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルドや、他のトップ指導者と長年の知り合いであり、ワシントンの重要人物の誰とでも自由に話すことができたのだ。彼が説得力のある答えを得られなかった理由は、[アメリカ]政府最高レベルの連中が答えを持ち合わせていなかったからだ。なぜだろう?

2007年12月21日、アメリカ国防長官ロバート・M・ゲーツは、復活したアルカイダ・テロリスト・ネットワートは、攻撃の中心をパキスタンに移したと語った。「アルカイダは今やその顔をパキスタンに向け、パキスタ政府とパキスタン国民を攻撃しているようだ」ゲーツは報道記者たちに語った。

ワシントン・ポストは、ペンタゴンのトップは、パキスタンにおけるこの集団の作戦の特徴や場所には具体的に触れなかったと書き、国防長官による評価を切り捨てた、アフガニスタン-パキスタン国境における対テロリスト作戦のペンタゴン専門家の発言を引用している。「ゲーツは、この政権が過去六年間やってきたのと同じように、盲信しているのです」。この人物はあの地域の戦士たちはアルカイダと無関係だとも語っている。この人物、仕事を失いたくないため、匿名を条件に語っている。

アルカイダがパキスタンの他の地域でも、本当の脅威かどうかも明確ではないと、国務長官の元南アジア担当次官補代理テレシタ・C・シャファーは語っている。「明らかに、パキスタンという国家に対する大きな脅威として、過激派の暴力が浮上しています」彼女は語っている。「それがアルカイダかそうでないかは知りません。」

2008年1月2日、それぞれ9/11委員会の委員長と副委員長をつとめた、トーマス・H・キーンとリー・H・ハミルトンが、ニューヨーク・タイムズで社説の反対側に掲載される論説記事を書き、抑留者尋問のビデオテープがあることを政権の誰も委員会に話さなかった隠ぺい工作に関し、アメリカ政府を非難している。「法律問題として、こうしたテープの存在を明かさなかったCIAの過ちを調査するのは、我々の責任ではない。それは他の人々の仕事だ。我々が知っているのは、政府幹部が、この国が直面した最大の悲劇の一つを調査すべく、議会と大統領が作った合法的に制定された組織に、その情報を知らせないと決定したということだ。我々はこれを妨害と呼んでいる。」これが二人の結論だ。

委員会自身、事実の全貌追求には熱心ではなかった。報告書の172ページで、究極的に誰が攻撃に資金をだしたかという問題は「実際上ほとんど重要ではない」と述べ、「今日に至るまで、アメリカ政府は、9/11攻撃に使われた資金の出所を割り出せていない。」と書いている。その通り。9/11委員会は、その報告書で、究極的にこの犯罪に関与した連中につながる、金の流れを追うことは重要ではないと結論づけているのだ。

9/11の黒幕とされるハリド・シェイク・ムハンマドを、逮捕から五年以上過ぎても、通常の民事の連邦裁判所で裁判することをアメリカ政府が拒否していることは周知の事実だ。

なぜアメリカ政府は、9/11攻撃につながるアルカイダの資金の流れを追求しようとしないのだろう? グアンタナモ湾におけるアルカイダ抑留者の何百時間もの尋問を撮影したビデオ・テープを、CIAは一体なぜ破壊したのだろう? なぜアメリカ議会の議員たちによる独自の調査を妨害しようとしたのだすう? なぜペンタゴンとCIAは、ハリドや他のアルカイダ・メンバーを通常の裁判所で裁こうとしないのだろう?

これらは決定的かつ極めて重要な疑問だ。アメリカがこうした極めて重要な疑問に答えられない以上、彼等を批判する人々が、アルカイダがパキスタンに安全な隠れ場を持っているという彼等の理論に疑念を持つのは、当然であり、道理にかなったことだ。

過去において、アメリカ諜報機関はサダム・フセインが大量破壊兵器を持っていると結論づけた。この嘘には、しっかり証拠文書が揃っているので、これ以上のコメントはいるまい。本当の動機は、イラクを征服し、その油田を支配することだった。

2007年10月、ブッシュ大統領は、核武装したイランは「第三次世界大戦」をひき起こしかねないと示唆し、もしもテヘラン政府が核開発計画を廃棄しない場合に、「深刻な結果」をディック・チェイニー副大統領は約束した。だが、アメリカの支配層とその諜報機関は、焦点をイラン以外の場所に移すことに決定した。2007年12月、アメリカの16の諜報機関全てによる見解の合意である国家情報評価が、テヘランは、核爆弾開発に向けて執拗に活動しているという2005年の自らの判断に反して、イランは2003年に核兵器計画を中断し、計画は凍結されたままだと結論を出した。

アメリカが、これまでのところ、9/11攻撃の責任が誰にあるのかをはっきりさせそこねていること、9/11以来、アメリカ本土にアルカイダの攻撃が無いという事実、イラク戦争の背後にある本当の動機、そして、イランの核開発計画にかかわる組織的な偽情報キャンペーンを考えれば、パキスタンアにおけるメリカ政策の本当の動機に疑問を抱くのは、極めて論理にかなったことだ。

サラ・ペイリンとのディベート中に、民主党副大統領候補ジョー・バイデンが行った有害な発言によって、この問題は、より重大かつ緊急な重要性を帯びることになった。「パキスタンの(核)ミサイルは、既にイスラエルを攻撃している可能性があった」とバイデンは大声で言ったのだ。しかし彼は一体何の話をしていたのだろう? パキスタンにはイスラエルを攻撃する能力はない。パキスタンはこれまでにイスラエルを脅迫したことはない。ワシントン・ポストのジャクソン・ディールは(10月3日)こう書いた。「バイデンの発言のかなりの部分は、誇張か歪曲か、さもなければ単なる嘘だ- 特に彼の専門領域とされている海外政策において。」

ロバート・フィスクは、イギリスのインデペンデント紙(10月4日)記事で、7,000のイスラム教神学校が建設され... そして、そこにビン・ラディンが暮らしており、具体的な(原文のまま)諜報情報さえあれば我々は彼を追跡するという、バイデン発言をあざけった。フィスクはこうとがめた。「7,000校? 一体この数字はどこから出てきたのだろう? そう、パキスタンには何千もの神学校があるが、全てが国境沿いにあるわけではない」。フィスクはアメリカの本当の狙いを警告している。「『パキスタン国内の世界に対する邪悪』に対する次の戦いに備えなければならない。」

アルカイダの脅威とされるものに対する、アメリカ・マスコミやシンク・タンクによるあらゆるプロパガンダにもかかわらず、現実は別の話を物語っている。2008年8月5日、ニューズ・インターナショナルは報じた。「ムシャラフ大統領と、カヤニ将軍と、ナディーム・タジISI(パキスタン統合情報局)長官が、アメリカ統合参謀本部議長マイケル・マレン海軍大将とCIA副長官スティーブン・R・カッペスとの、7月12日ラワルピンジでの個別会談中に、パキスタン国内におけるテロをアメリカが黙認していることの強力な証拠と状況証拠の概略を示した、と非の打ちどころのない当局筋が語った。」アメリカ軍の最高司令官とCIA幹部は、2008年5月24日に、バイトゥッラー・メフスードの正確な居場所を知らされた際に、CIAが操縦するプレデター無人偵察機とアメリカ軍が、なぜ即座に行動しなかったのかということも質問された。

バイトゥッラー・メフスードのいとこで、いわゆるタリバン-エ-パキスタンの元指導者アブドゥラー・メフスードは、アフガニスタンで、2001年12月アメリカ軍によって逮捕され、2004年3月まで拘留され、グアンタナモ湾収容所から出所し、ワジリスタンへの帰国を許されたことは記録に残っている。二人の中国人技術者を誘拐した後、ムシャラフが中国から強い圧力を受けた際に、パキスタンの治安部隊によって、殺害されるまで「過激派」を組織する上で、アブドゥラー・メフスードは重要な役割を演じていた。

結局、こうしたこと全てが、パキスタンにとって何を意味するのだろう? こうしたことの全てが、一体何につながるのだろう? パキスタンにおけるアメリカ合州国の現在の戦略的目標は何だろう? オタワ大学の教授で、カナダのセンター・フォー・リサーチ・オン・グローバリゼーション所長のミッシェル・チョスドフスキー教授は、以下の身も凍るような説明をしている。

「政治的な手詰まりは意図的なものだ。それは今展開中の、パキスタンという国家構造の崩壊と混乱を望む、アメリカ海外政策目標の一部だ。パキスタン軍と諜報機関による間接支配が、パキスタン国内におけるアメリカ軍駐の留拡大を含む、アメリカの干渉という、より直接的な形で置き換えられようとしているのだ。この軍事駐留の拡大は、更に、中東-中央アジアの地政学的状況と、中東戦争をさらに広域に拡張しようという、ワシントンが継続している計画によっても、決定されている。」

著者は経済学者であり、“The Gathering Storm in Pakistan: Political Economy of a Security State”(Royal Book Co.、2008)の著者。Email: ynazar@cyber.net.pk

ynazar@cyber.net.pk

記事原文のurl:www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=140670

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オサマ・ビン・ラディンといい、アル・カイダといい、いつも、絶妙な時期に話題になるのが、何とも不思議。推理小説では、犯人を見つけ出す際に、「一体、それが誰の役にたつのか」を、まず考える。一般に、ある犯罪行為最も利益を受ける人物、集団が、犯人であることが多い。

オサマ・ビン・ラディンについては、デヴィッド・レイ・グリフィンの新著『お尋ね者オサマ・ビン・ラディン: 生死を問わず』に詳しく書かれている。下記はその書評の翻訳。

8年にもおよぶオサマ心理作戦

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