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2008年9月 6日 (土)

グルジアのチェイニー:石油を追い求めて砲艦外交

Tom Eley

2008年9月5日

先月のカフカスにおける戦争の余波の中、アメリカは、ロシアとの緊張を着実に深化させる策を継続している。

木曜日、アメリカ副大統領ディック・チェイニーがグルジアの首都トビリシにあらわれた。チェイニーは、グルジアのNATO加盟に対するアメリカの支持を繰り返し表明する一方、ロシアに対し敵意に満ちた非難をした。

わずか一日前、国務長官コンドリーサ・ライスは、貧困にあえぐ黒海の国家に対して、10億ドルという驚くべき金額の財政支援を提案した。

訪問中、チェイニーは、グルジアはアメリカの軍事保護領だと宣言するのに等しい発言をした。グルジア大統領ミヘイル・サアカシュヴィリに、チェイニーは「アメリカ合州国の支持と援助の継続を期待してよろしいと言ってやった。私は大統領に、グルジアの領土保全に対するわが国の固い支持も保証した。」と語った。

「グルジアは我々の同盟国だ」チェイニーは約束した。「NATOは防衛同盟だ。誰に対する脅威でもない。」

主要なヨーロッパ諸国、特にドイツが、ブッシュ政権の熱心な努力にもかかわらず、今の所、反対しているため、グルジアはまだNATO同盟国に加盟できずにいる。これも、最近の戦争の結果、変わるかも知れない。

ブッシュ政権が提案している10億ドルの支援計画は、6300万ドルだった昨年の財政的援助に比べて莫大な増加であり、グルジアは、イスラエルとエジプトにつぎ、アメリカ対外援助を三番目に多く受ける国となる。資金のおよそ半額は今年の議会で承認される予定で、残りの半額は、議会の次期会期の始めに承認される予定だ。

ライスは、資金は戦争の間、ロシアの攻撃によって破壊されたグルジア軍再建に割り当てるものではないと主張した。とはいえ、グルジアの金庫に入ってしまえば、資金がまさにその目的で使われることはないと信ずべき理由はほとんどあるまい。ガーディアンのある報道は、チェイニーは訪問中に「グルジアの武器購入希望品の長いリスト」について会談するだろうと書いている。

水曜版の「グルジアを救え」という見出しの社説で、ニューヨーク・タイムズは、チェイニーの訪問に対しては「神経をとがらせてはいた」ものの、グルジアに向けた予算支出案と、ブッシュ政権の強硬な反ロシア姿勢を歓迎した。タイムズによると、「西側は、決して怖じ気づいて、奮闘しているデモクラシーを見捨てるようなことはしないのを、モスクワは理解するべきだ。」

黒海におけるアメリカの権謀術数はデモクラシーと無関係だ。そうではなく、二つの密接に関連する狙いが、グルジアに対するライスの莫大な財政支援提案と、チェイニーのほぼ同時期の訪問を鼓舞したのだ。第一に、ワシントンは対ロシア戦争に備えつつあること。第二に、ロシアの軌道外に、石油と天然ガス・パイプライン確保を求めていること。

チェイニーのグルジア訪問は、核ミサイルを迎撃するように設計された、明らかにロシアに対して向けられている、アメリカのミサイル・システムを、ポーランドが国内に設置することを同意したわずか二週間後、ロシアに敵対的なもう一つの国ウクライナに対して予定されていた訪問より、わずか一日前のことだ。

チェイニーがグルジアに到着したのと同じ日、アメリカは表向き人道的任務で、更にもう一隻の戦艦、地中海艦隊の旗艦、揚陸指揮艦マウント・ホイットニーを黒海、グルジアへと向かわせた。

これはもう典型的な砲艦外交だ。だがワシントンは、対ロシア戦争の高度な準備を行いつつある。これには、アメリカの政治、軍事支配者達が、迎撃ミサイル網によって、それを実行することが可能になったと考えている核兵器による第一撃も含まれている。

グルジア訪問の前日、チェイニーは、ヨーロッパ市場向けカスピ海石油とガスの唯一の非ロシア支配経路、バクー-トビリシ-ジェイハンの石油と、バクー-トビリシ-エルズルム・ガス・パイプラインの出発点アゼルバイジャンにいた。グルジア安全保障会議書記アレクサンドル・ロマイアは、共に行った訪問は「代替エネルギー・ルートとエネルギー源は、確保されるという、極めて明瞭な信号だ」と語った。

アゼルバイジャンは、イルハム・アリエフ大統領のもと、最近はワシントンとモスクワの中間を行こうと試みてきた。グルジアをめぐる西側からのロシアの孤立にかかわる公式発表では概して中立的な立場をとり続けており、モスクワは、アリエフ政府に言い寄ろうと試みている。アゼルバイジャンは、グルジアでの不安定さを理由にして、石油の一部をロシア・パイプライン経由で流し始めてさえいる。アナリストは、チェイニー訪問は、バクーをなだめて引き戻そうとする試みだと考えている。

チェイニーは、アゼルバイジャンでの短い滞在の間に時間をさき、BPとシェブロン石油の現地幹部と非公式会談を行った。

アゼルバイジャン滞在中、チェイニーは、この地域で、軍事、および石油/ガス枢軸の形成を狙っていることを明らかにした。チェイニーは「エネルギー輸出ルートは多様で、信頼がおけるものであること」に対するアメリカの関心の重要性と、「資源の自由な流れを保証するエネルギー輸出のための追加ルート」が必要であることを指摘し、エネルギー・パイプラインの保護と増設のために、トルコの支援を得ると約束した。ロシアの経済的復活の基盤と、ロシアの石油輸出をむしばむべく計算された取り組みだ。

そのような同盟の二つ目の目的は対イラン戦争の準備だろう。トルコとアゼルバイジャンはイランに国境を接しており、グルジアは輸送拠点と空爆作戦基地として利用可能だろう。

下記も参照:

European Union summit sides with Georgia

[2008年9月2日]

Danger grows of NATO-Russian clash in Black Sea

[2008年9月1日]

Georgian crisis heightens US-Russian tensions over Ukraina

[2008年8月29日]

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2008/sep2008/chen-s05.shtml

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