三沢のパイロット「最も功績ある飛行」の栄誉を受ける
2008年5月6日 (by SrA Stefanie Torres)
アフガニスタンの暴風の中を暗視ゴーグルの助けで飛行し、パイロットは計画を正確に遂行した。
F-16 Unit News
最後はわずか25秒の間に十数発のGBU-38を投下して、ほんの数分で任務飛行を終え、応急飛行場の方向に転換するのだ。
「500ポンド精密爆弾の第一波攻撃は命中しました」第13飛行体司令官で、任務飛行の司令官だったスチーブン・"トーチ"・ウイリアムス中佐は語っている。
パイロットたちは2分間の攻撃の機会を割り当てられていたが、他の飛行機による160回の集中攻撃の邪魔にならないようにしながら、命中させることに成功した。今や連合軍地上部隊はタリバン陣地に対して襲撃を行えるようになった。
「攻撃のため目的の国に向かって進む、弾薬を搭載したジェット機と、燃料満タンの空中給油機の数を見るのは感動的なことでした。」この任務飛行についた第13飛行隊パイロット、ローレンス・"ゴルド"サリバン大佐は語っている。
2007年8月12日、これまで試みられたことがなかった秘密任務飛行で、三沢空軍基地から中部イラクに派遣された第13遠征飛行隊のパイロット4人が、東部アフガニスタンに向かって飛び立った。歴史的な新記録である11時間の飛行により、彼らは2007年度のクラレンス・マッケイ・トロフィーを受賞した。
マッケイ・トロフィーは、毎年その年で「最も功績ある飛行」に授与される。
パンサー11 (ワンワンと発音する)飛行隊は限りなき自由作戦を支援するため自分たちの居場所から2,100マイル先への任務飛行を依頼された。この任務飛行は、一体何が起こるか全くわからぬまま、そのような長距離飛行にF-16が乗り出す初めての経験だった。
4機のF-16CJは、6ヶ国の領空を飛行し、新たな作戦命令のもとで動き、合計13回空中補給した。
目標地域に到着して、攻撃の数分前、攻撃後の空中給油機が前もって計画された燃料補給地点から400マイル迂回したことを知らされたが、アフガニスタンで予定外の着陸を強いられる可能性があった。
「飛行中、基地まで帰還するのに十分な燃料があるかどうかわからなくなることが何度かありました。」サリバン機長は語った。
攻撃からわずか数分後に、パンサー11は不定期の空中給油機を見つけだすことに成功し、空中給油のため自分たちの方向に向かわせた。これによって、飛行中隊は基地への帰還の長い飛行を始めることが可能となり、ジェット機とパイロットが誰も待っていてはくれない外国の交戦地帯に取り残されるのを防いだのだ。
飛行した地域が、ほとんどが全くの夜間だったことが、この任務飛行の珍しい特徴というわけではない。グローバル・ストライク任務飛行の特異性は、F-16が長距離飛行をしたことだと、ウイリアムス大佐は説明する。
「イラクにおける通常の出撃は三時間半から四時間なのですが、これは11時間でした」彼は語った。「我々はニューヨークからロサンゼルス往復と同じ距離を飛んだのです。」
このような特殊な飛行でおこりうる結果を論じるため、夜の打ち合わせが攻撃の前の晩行われた。飛行の長さから、肉体的にも、精神的にもきついものだった。
ウイリアムス大佐は、任務飛行について聞いてから、攻撃を計画するのに24時間以下の時間しかなかった。
この種の任務飛行は「未知の世界に向かう」ことであるのが彼にはわかっていた。
「この任務飛行が独特だった理由の一つには、新たな責任分担地域で、初めて、最小の準備で、パイロットが活動することがあります」とウイリアムス大佐は語った。「空中給油機による支援は、長距離飛行をおこなうのに必要不可欠ですが、任務飛行と目標が、機密事項なために、毎日の航空作戦命令に」
それは「一か八かの任務飛行」であり、大佐はチームの中でも最高の人材を選ばざるを得なかった。
「これから我々が遂行しようとしている事態に対処できる能力がある兵器指導員卒業生が必要でした。」ウイリアムス大佐は語った。
第13遠征飛行隊のパイロットたちは、チャールズ・ムーア大佐、ローレンス・サリバン大佐とクリストファー・ストルーヴェ大佐だ。
「兵器学校の学生と教師として、今回のようにやりがいのある任務に出会えた我々は全員幸運であるとわかっていました。」と彼は語っている。「急な通知で時間もないのに、ためらうこともないのです。彼らは本物だと思いました。」
パイロットたちは早朝の任務にそなえるべく乗員休息室に行き、航空機搭乗員とともに派遣されたキャメロン・カルーム少佐は、一晩中作戦計画を立てていた。
「あれだけの短時間で、必要な全ての物資を揃えるのは、能力が試される難題だろうとは思っていました」三沢第35戦闘航空団武器担当将校のカルーム少佐は言う。だがアメリカ空軍兵器学校が、大規模な準備経験を与えてくれていた。
職務命令を受けてからわずか18時間後、あらゆることが起こる可能性がある、大変に困難な課題であることを知りながら、パイロットはイラクの基地から離陸した。
「飛行中、それも、基地から遥かかなたで、変化に巧く調整してあわせなければならないだろうとわかっていました」サリバン機長は語った。
「パイロットの視点からは、任務飛行は時計仕掛けのように正確に行きました。」と機長は語る。「しっかりした任務飛行計画があったので、任務飛行を遂行し、全員無事に帰還できました。こういうことのためにこそ、我々は訓練されており、航空勢力任務飛行を完遂し、所期の効果を達成できる機会を持てたのは名誉なことです。」
急な通知によるグローバル・ストライク任務飛行の歴史的な成功は、多くの支援組織のおかげで可能になったと、ウイリアムス大佐は説明する。
「各組織の大半は任務の詳細を全く知りませんでしたが、一致団結して飛行を成功させてくれました。」
「あの晩の任務飛行全体のための重い責務を遂行して、空中給油機は素晴らしい仕事をしてくれました」とサリバン機長は語った。「私たちは多くの飛行機の飛行中隊の一つに過ぎず、空中給油機は非常に柔軟で、効率的で効果的でした。彼らがなしとげたことに対して、大いに称賛に値します。」
マッケイ・トロフィーはアメリカ空軍の飛行将校にのみ授与される最も古い賞である。賞は、アメリカ空軍と全米飛行家協会が運営し、毎年授与される。
「実に名誉なことです。トロフィー上の多くの名前は、航空勢力に多大な貢献をした人々ですから」とウイリアムス大佐は語った。「この任務飛行が成功したのは、派遣先空軍の他の人々と一緒に働いた派遣三沢要員チームの努力のおかげです。」
トロフィー自体は、ワシントンD.Cのスミソニアン航空宇宙博物館で永久展示されており、四人のパイロットの氏名は、アメリカ陸軍航空軍総司令官ヘンリー・ハップ・アーノルド、撃墜王エディー・リッケンバッカー、東京初空襲を指揮したジミー・ドゥーリトル、アメリカ軍最初の「1日で規定の記録を達成したエース・パイロット」チャック・イェーガー等のとなりに刻まれる。
記事原文のurl:www.f-16.net/news_article2877.html
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インド洋での戦艦油補給は話題にするが、「不沈空母」日本の基地から米軍がはるばるアフガニスタン爆撃にでかけていることを、大手マスコミは報道しない。日米安全保障条約は、その実、日米戦争保障条約であることが良くわかるエピソードだ。
さすがに、東奥日報、2008年7月20日で報じている。
三沢F16がタリバン爆撃/昨年8月 (残念ながら、2021/9現在リンク切れ。)
『在日米軍最前線』斉藤光政(東奥日報編集委員)著 新人物往来社、08年9月刊は、さすがに詳しい。
帯には下記の言葉がある。
在日米軍再編はどのような戦略構想のなかでうまれたのか
ミサイル防衛回廊と化した国家の危機を問う
チェコ、ポーランドのミサイル網と、日本はそのままつながっているのだ。このまま行けば、やがて、二大政党か、大連立政権によって、憲法改正(=破壊)が実現すれば、日本人パイロットもあちこちに出撃して、マッケイ・トロフィーの栄誉をうけられるようになるに違いない。
そうならぬためには、『在日米軍最前線』のような情報が、日本人の常識になる必要があるだろう。
関連記事翻訳:
ラスベガスでタリバン狩り -無人機による空爆 2006年9月Atlantic
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