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2008年8月17日 (日)

ワシントンとポーランドのミサイル防衛条約、世界を大戦へ一歩近づける

F. William Engdahl

Global Research

2008年8月15日

8月14日の、アメリカ合州国とポーランド政府間の、ポーランド領土に、アメリカの迎撃ミサイルを配備するという条約の署名は、1962年のキューバ・ミサイル危機以来、核戦争へと向かう、最も危険な動きだ。ポーランドにおけるアメリカのミサイルは、ヨーロッパのNATO加盟諸国をロシアの核攻撃から守るという防衛的な動きどころではなく、軍事戦略家達が指摘するように、ロシアという国家の将来の存在に対する全面的な脅威をもたらすものだ。2007年早々、アメリカの計画が最初に明らかにされて以来、ロシア政府は、このことについて繰り返し警告してきた。ワシントンと合意をしようというロシアによる再三の外交努力にもかかわらず、今やブッシュ政権は、グルジアに於けるアメリカの屈辱的敗北を受けて、ポーランド政府に対し、条約に最終的に署名するよう圧力をかけたのだ。結果は、ヨーロッパも世界も、思いもよらなかったものとなる可能性がある。

8月14日、アメリカの世界ミサイル防衛網の構成要素を設置するという仮条約が、ポーランドの外務審議官アンジェイ・クレーメルとアメリカの交渉責任者ジョン・ルードによって署名された。この条約のもと、チェコ共和国へのレーダー・システムに連動して、ワシントンは10基の迎撃ミサイルを、ポーランドに設置する計画だが、これはイランを含む「ならずもの国家」と彼らが呼ぶ国々からの潜在的攻撃を迎撃するためのものだという、馬鹿馬鹿しい主張をしている。

条約を実現させるため、ワシントンは、ポーランドの防空を強化することに合意した。条約には、両国政府とポーランド議会による承認が必要だ。ポーランド首相ドナルド・トゥスクは、テレビ放送された発言で「カフカスでの出来事が、このような安全保障が不可欠であることを明らかに示している。」と述べた。グルジアでの最近の敵対行為に先立つ数カ月間、米-ポーランド・ミサイル交渉は長引いていた。

ブッシュ ホワイト・ハウスの報道官ドナ・ペリノは「ミサイル防衛は、NATOの集団安全保障に対する多大な貢献だと確信している。」と公式に述べた。当局者は、ポーランドの迎撃ミサイル基地は、2012年までに開設される予定だと語っている。チェコ共和国は、アメリカのレーダー設備を受け入れる条約に7月8日署名している。

この署名によって、ロシアとNATOの間の緊張が激化し、新たな冷戦軍拡競争が本格化することは確実だ。秋に刊行予定の拙著『Full Spectrum Dominance: The National Security State and the Spread of Democracy』中で、詳細にご説明していることをご理解いただくことが大切だ。これは、対抗する二つの勢力の一方が、相手側の領土から90マイル以内に、例え初歩的なものであれ、第一世代対ミサイル迎撃ミサイル網という形で、ミサイル迎撃ミサイルを設置する能力が得られれば、設備を持った側が、核戦力のバランス上、事実上勝利し、相手側に対して、無条件降伏を検討するか、あるいは、2012年以前に、先制核攻撃をしかけるか、いずれかを強いることになるものだ。金曜日、有力なロシア議員達は、条約はヨーロッパの安全保障を損なうと語り、安全保障を確保すべく、ロシアが手段を講じなければならないことを改めて表明した。

ロシア議会の国際問題委員会副委員長アンドレイ・クリモフは、この協定は、ワルシャワの「アメリカに対する忠誠心と、物質的利益の誇示を意図したものである。アメリカにとっては、ロシアにより近い場所を含め世界中に軍駐留を拡張する好機である。NATOにとっては、これは付加的なリスクだ...ドイツやフランスを含む多くのNATO諸国は、この条約には不満だ」と語った。

クリモフはこの条約を冷戦への「後退」と呼んでいる。

ロシアの対応

アメリカが支配するヨーロッパと北米用ミサイル網の一部として、チェコ共和国にレーダーを、北部ポーランドに、10基の迎撃ミサイルを配備することをアメリカは計画しているが、それを公式的には、イランを含む「ならずもの国家」からの潜在的な攻撃に対するものだという、馬鹿馬鹿しい主張のもとで売り込んでいる。昨年春、当時のロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、アメリカに、イランのミサイル発射を監視するには、ずっと良い、イラン国境のアゼルバイジャンにあるロシア・レーダー施設を賃貸使用するという驚くべき案をブッシュ大統領に持ちかけ、このアメリカ・プロパガンダ文句の浅薄さを曝露した。ブッシュ政権は、この申し出をあっさり無視し、彼らの本当の目標が「イランのようなならずもの国家」ではなく、ロシアであることをむき出しにした。ロシアは、rightlyアメリカ・ミサイル網の配備を、自国の国家安全保障に対する脅威だとみなしている。

最新のポーランドの条約で、ロシアは対応を強化。

ロシア当局者は、もしもワシントンが、ヨーロッパ・ミサイル網計画を実現すれば、モスクワは、ベラルーシ共和国とロシア最西端の飛び領土カリーニングラードに、イスカンデール戦術ミサイルと戦略爆撃機を配備する可能性があると、先に述べている。モスクワは、更にポーランドのミサイルを標的にする可能性があると警告した。

ロシアの上級軍事専門家によると、アメリカの中欧ミサイル防衛計画に対抗して、ロシアも軌道弾道ミサイル・システムの導入を議論している。

「アメリカの防空基地を回避し、南極経由でアメリカ領土に到達できる軌道弾道ミサイルを実現する計画を導入する可能性がある」と、元ロシア戦略ミサイル軍幕僚長で、安全保障、国防、法執行研究アカデミーの現副理事長、ビクトル・イェシンは語っている。

これまで、アメリカとの冷戦後合意の一部として、関連する条約があったが、ワシントンは、NATOの国境をモスクワの戸口へと一層近づけようとする一方、これらの条約を、「大幅に」無視してきており、START I条約に従って、ソ連は、そのようなミサイルを放棄していた。

オバマも、ミサイル防衛を支持

この協定は、今後、ヨーロッパ諸国を、バラク・オバマの海外政策顧問ズビグニュー・ブレジンスキーが、あからさまに、アメリカの「家臣」と呼んだ国々と、より独立した政策をとる国々とに分裂させるだろう。

民主党のオバマが大統領になれば、近年のこのようなNATOとアメリカ軍の挑発的な動きは逆転するという類のあらゆる幻想は、危険な希望的観測として片づけられるべきだ。オバマの海外政策チームには、父親のズビグニュー・ブレジンスキーに加え、アメリカの現ヨーロッパおよびNATO問題担当国防次官補代理である、ブレジンスキーの息子イアン・ブレジンスキーがいる。イアン・ブレジンスキーは、コソボ独立や、ウクライナとグルジアも含めるNATO拡大だけでなく、アメリカ・ミサイル防衛政策の熱心な支持者なのだ。

F. William Engdahlは、Global Researchの常連寄稿者。F. William Engdahによる、Global Research記事


 

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