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2008年5月21日 (水)

ミャンマーのサイクロン アメリカは敵意で支援を阻止

ミャンマーのサイクロン アメリカは敵意で支援を阻止

サラ・フランウンダーズ

2008年5月15日

Workers World

マスコミのお説教で欠けているのは、ニューオーリンズにおけるハリケーン・カトリーナでの壊滅的なアメリカの実績についての言及だ。

ブッシュ政権はミャンマーの人々が彼等を襲った自然災害から再起するのを本当に支援しようとしているのだろうか? それならなぜ、この政権は、ペンタゴンが支援を管理すべきだと主張するのだろう? そしてなぜサイクロンが襲おうとしているのが分かっている国に経済制裁を課したのだろう?

今世紀の中で最も激しい暴風雨が、ベンガル湾の低地、隙間なく耕されたミャンマーのイラワジ・デルタを、5月2日に襲った。そこは肥沃ではあるが低開発地域であり、特に洪水に脆い。デルタにはミャンマー国民5700万人の四分の一が暮らしている。前回熱帯サイクロンが沿岸地帯の山崩れをひき起こしたのは40年前のことだ。

気象学者たちは、熱帯サイクロンのナルギスを一週間にわたって観測していた。だがサイクロンが上陸すると、予想できない高潮は、最高の規模に達した。高さ3.6メートルの水の壁が、11キロもの内陸まで押し寄せたのだ。

百万人以上の人々が家を失い、何万人もの人々が行方不明になった。推定死者数は、20,000人から100,000人に及ぶ。旧首都で主要商業港湾都市ヤンゴンは修羅場と化した。

アメリカのマスコミは災害の規模と支援活動に対処できない政府の無能さについての話でもちきりだ。アメリカ政府自身の災害支援提供における、計り知れないほど酷い実績は完全に無視されている。

どの新たな記事も、緊急物資運送の為、ミャンマーに軍隊が自由に入る権利をワシントンが要求していることを繰り返している。ミャンマーがアメリカ軍航空機の着陸、あるいは海軍艦船の接岸を認めようとしないことに対する怒りと動揺がある。ミャンマー政府は支援物資を配布する上で信頼を置くことができないという非難が、何度となく繰り返されている。

ブッシュ政権が、犯罪的な計算と計画によって、支援活動を意図的にはるかに困難にしてしまったことは、報道されていないのだ。サイクロン・ナルギスが実際にミャンマーを襲う前、怪物のような暴風の接近が既に告知され、一週間にわたって観測されてきた中、ジョージ・W・ブッシュ大統領は、ミャンマーに対する過酷な新レベルの経済制裁に署名した。経済制裁は、侵略行為の一種であり、特に、最も貧しく、最も絶望的なものを標的とする経済戦争の一形式なのだ。

サイクロン襲来に合わせて経済制裁を課した

多数のスパイ衛星を持っているワシントンは、これから何が起こるのか、ミャンマー国民よりもずっと良く知っていたのだ。経済制裁が、アメリカや国際的な、直接の緊急資金や支援の寄付を、ほとんど不可能にした。新華社通信は、5月2日、ブッシュの大統領行政命令の文言が「特定の個人やビルマ(ミャンマー)政府が所有あるいは支配すると判断された団体の財産の全資産と権利を封鎖する」というものであると報じた。

一層の経済制裁を宣言するこの犯罪的な大統領行政命令の数日後、災害を被った住民に対する深い懸念が表明された。これ以上の皮肉と偽善はありえまい。

新たな経済制裁により、アメリカの人道支援団体や個人が、疲弊したミャンマーにおいて、大義に対して直接寄付をすることができなくなる。アメリカ赤十字等のアメリカの支援団体は、経済制裁の規定の元では、救援対策として、人や、資金ではなく、救援物資しか送れないことに気がついた。アメリカ・マスコミは何百もの記事を報道し、ミャンマーで何がなされていないか傲岸に説教しながら、暴風雨が襲ったこの国に課された新たなアメリカによる経済制裁の衝撃については一言も触れない。

気象衛星観測に基づき、多くの科学者が、勢いを増しつつある暴風雨を見守っていた。上陸のほぼ一週間前に、インド気象庁は詳細な進路予測、速度、位置の警報を発表していた。ミャンマー政府は、4月26日以来、インドからテキストの警報メッセージを受け取っており、国営ラジオで暴風雨警報を発令していたが、サイクロンの進路を探知する沿岸レーダーを持たず、この貧困にあえぐ国は、避難計画も持っていなかった。

アメリカ政府は、ペンタゴンは自らの人員や機器で援助物資を運ぶ権利を与えられるべきだと主張してきた。明らかに、この豊かな帝国主義者国家は、銃剣の先端をつきつける他に、人道的支援を行う方法を持たないのだ。

他の多くの国々は、しかしながら、即時援助を提供する非軍事的なやりかたを見いだしている。ミャンマーの国営ラジオは、中国、インド、日本、シンガポール、イタリア、バングラデシ、ラオスやタイから国際人道支援が殺到していると報じている。それぞれの国からの飛行機が、テント、蚊帳、発電機、医薬品、浄水器、乾燥ジャガイモや豚肉、カップ・ヌードル、ビスケット、衣服、トタン板、金槌と釘や、蝋燭を搭載してヤンゴン国際空港に到着している。

アメリカ政府は、ミャンマーが援助は受け入れながらも、外国人がその配布監視をするのは認めないと怒りを表明している。ミャンマーの政府経営の新聞「新しい光」は5月9日、その理由を説明した。「ペンタゴンは、アメリカの軍事基地をわが国に設けようと躍起になっている。」

これはミャンマーを支配している軍事政権の突飛な妄想ではない。ペンタゴンはビルマの政権転覆に対する関心をほとんど隠そうとしていない。これは、この国に対し、開国し、アメリカ軍基地駐留と、ミャンマーの膨大な国有石油とガス埋蔵資源に対するアメリカ企業の利用を認めよという圧力の形で現れている。

ショーン・W・クリスピンは、「ミャンマー侵略についての言い分」と題する記事でこう書いている。

「アメリカ合州国軍艦と空軍機は準備万端な中、サイクロン・ナルギスによって、百万人以上のミャンマー国民は泥まみれ状態で、家を失い、水で伝染する疫病にかかりやすくなっており、自然災害は、アメリカにとって危機の中での機会を提供している。

「人道主義という名目による、一方的で、場合によっては国連承認まで得るアメリカ軍の介入は、貧困にあえぐ国の不人気な軍指導者への逆流へと容易に変わりかねないが、また同時に、死に体状態にあるアメリカ、ジョージ・W・ブッシュ大統領による、議論の多い先制的軍事政策の後遺症を修復してくれるかもしれない。

「アメリカのC-130空軍機を含むアメリカ空軍や海軍艦船が、今や隣国タイで待機し、海軍空母キティー・ホークやニミッツが、現在近くの海域で待機している... ワシントンの政策立案者たちが今や、地政学的、戦略的に極めて重要で突然弱体化された国における先制的人道主義的作戦の、潜在的な損得をはかりにかけていることは確実だ」(アジア・タイムズ・オンライン、5月10日)

ショック・ドクトリン

多くの国々は、災害の最中ですらアメリカや西欧の支援を恐れている。それは厄介な借金の条件や経済再編要求や国家が所有していた資源の民営化等を含むひもつきのものであることが余りに多いからだ。

ナオミ・クラインの著書“The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism”=「ショック・ドクトリン: 災害につけこむ資本主義の勃興」は、たとえその国が、ハリケーン、津波、干ばつや洪水のような自然災害による壊滅的なインフラストラクチャー状態に直面していようと、ショックを受けた国につけ込むために、どのようにアメリカの支援、IMFや世界銀行が利用されているかを、非常に詳細に述べている。そのような危機は、国家資産を売却したり、資源を民営化したりといった不人気な経済的「ショック療法」を押しつけるのに格好の機会と見なされているのだ。これは、その影響を受ける諸国ではなく、国際銀行家にとって、まことに結構な療法なのだ。

ニューオーリンズとイラクにおけるアメリカの実績

あらゆるマスコミによるミャンマーが、すべきこと、できることについて説教する中で欠けているのは、ハリケーン・カトリーナとリタがニューオーリンズやメキシコ湾岸を襲っている最中と事後の、緊急対策、避難や救援についての、アメリカ支配階級自身の悲惨な実績についての言及だ。

2005年8月28日、洪水や決壊した堤防で、ニューオーリンズ市が水浸しになる中、世界中が、犯罪的な怠慢、人種差別、計画の欠如や全くの混乱を目撃していた。

その後、ボランティアを申し出ている様々な組織や個人からの支援受け入れを傲慢にも拒絶し、国際的な支援を非礼にも拒否したのだ。待機医師団を用意し、何トンもの食料、水や追加の石油百万バレルの提供を申し出たキューバやベネズエラからの支援提供は、拒否された。フランスの飛行機やカリブ海で待機していた病院船や、ドイツやロシアの支援さえも、保留にされた。

国際的な撮影部隊が上空を飛び、屋根しがみつく必死の人々を撮影した。20,000人以上の人々が、飲料水、食料あるいは衛生設備なしでスーパードームにすし詰めにされ、更に何万人もの人々が酷暑の中、何日間もコンベンション・センターで過ごした。アメリカ中からの緊急支援隊員がニューオーリンズに到着するのを妨げられた。

パイロットたちが志願し、人々の避難に使ってほしいと請願したにもかかわらず、最寄りの基地にあった空軍ヘリコプターは、地上待機を命じられた。多くのマスコミ報道によると、連邦緊急事態管理庁(FEMA)と国土安全保障省が、支援やボランティアを、実際に阻止した。国中から送られた何台分ものトラックの水や何トンもの物資は決して引き渡されなかった。

二年半後、何万人もの避難者たちが、依然として彼らの家に戻れずにいる。

イラクとソマリアでのペンタゴンの実績

イラクにおけるペンタゴンの実績ははるかにひどい。経済制裁によって骨抜きされ、弱体化されたイラクを粉砕してから、5年以上もたったのに、アメリカ軍が、最も基本的な人間の生存に必要な飲料水、基本的な栄養、電気、緊急医療、あるいは教育を提供できないことがあきらかになっている。

160,000人以上のアメリカ軍兵士、100,000人の民間コントラクター、そして地球上で最大の軍装備品の集積によってしても、バグダッドで、安定した電気、あるいは移動可能な飲料水設備が実現しないのであれば、ヤンゴンで彼等がもっとうまくできるなどと期待する人などいるだろうか?

飢饉に見舞われたソマリアへの人道的な任務という口実を用い、アメリカは海兵隊員が首都モガディシオを占領してよいとする国連決議を1992年12月に押し通した。怒った住民が翌年には海兵隊員を追い出した。ペンタゴンは、絶望的な住民の中にすらある、一般人の間の反帝国主義感情をすっかり計算違いをしていたのだ。

ミャンマーでは、まずはイギリスの、次にはアメリカの支配に対する、広範な抵抗が国民の中で、強い潮流となっている。サイクロンによってひき起こされた苦難にもかかわらず、いかなる介入も強硬な抵抗に直面する可能性が高い。

あらゆるアメリカのマスコミが、ミャンマー政府を独裁制として非難する中、サウジアラビアやインドネシアからパキスタン、チリ、コンゴに至るまで、世界中の残虐な軍事独裁政権を、ペンタゴンがてこ入れし、武器提供し、資金援助をしてきていることを忘れてはならない。ミャンマーの独裁政権にアメリカが反対しているのは、この政権の抑圧的な政治のせいではなく、何十年も昔からの反植民地主義的な大衆感情のおけかげで、この政権が強いられている天然資源の国有化をしていないからだ。これこそが、アメリカ企業がひっくりかえしてやろうと決意しているものなのだ。

反戦・進歩的運動は、ミャンマーをめぐる反動的なマスコミのキャンペーンに注意すべきだ。ミャンマーの人々には、アメリカの要求や経済制裁無しで、即座に国際的支援を受ける権利がある。

この記事原文のurl:www.workers.org/2008/world/myanmar_0522/

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2008/6/1、堤未果さんが、東京新聞のコラムで、「人道支援のカベ」として、この悪辣なアメリカの対ミャンマー制経済裁に触れ、それを報道しないジャーナリズムを批判しているそうだ。(未見だが) さすがアメリカでジャーナリズムを専攻されただけのことはある。

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