« 戦争物語の制作では、ペンタゴンはハリウッドの強敵-『戦勝文化の終焉』あとがき | トップページ | 番外編・エクアドル、アメリカ軍駐留拒否へ »

2008年4月 6日 (日)

グリーン・ゾーンの敗北? サドルという名の政府への「引き渡し」 占領軍もはやグリーン・ゾーンを支配せず

アリ・アル・ファディリとダール・ジャマイル

Global Research、2008年4月2日

Inter Press Service

この記事を知人にEmailで送る

この記事を印刷する

バグダッド、4月2日(IPS)

アメリカ高官達や、彼等と共謀した企業が支配するマスコミによる、イラクでのアメリカの成功を世界に信じさせようという膨大なメディア・キャンペーンにもかかわらず、現場でおきつつある事実は壮大な失敗を現している。

今年の3月25日という日は、5年間にわたる占領を経た真実の日として記憶されよう。

「マフディ軍団の民兵が、すぐさまバグダッド全てのシーア派地域と、混在地域を支配しました。」あるバグダッドの警察官が匿名を条件にIPSに語った。「イラク軍と警察、更にはバドルとダーワの民兵も突然に街路から消え去り、彼等の装甲車を置き去りにしたので、マフディ民兵は歓喜し、バグダッド中をあちこち車列で走り回ってから、本拠地であるバグダッド東部サドル・シティーに乗って帰りました」

イラク国内最大の民兵であるシーア派のムクタダ・アル・サドルのマフディ軍団のメンバーと、彼等のライバルであるシーア派民兵、つまりバドル軍団メンバーで構成されていることが広く知られているイラク政府軍のメンバーとの間の、最近の戦闘について、この警察官が語った。

バグダッド、バスラ、クート、サマワ、ヒッラ、そして大半のシーア派南部諸州で、マフディ軍と、アメリカ、イランおよびイラク政府が支援する他の民兵との間で起きた戦闘で、双方の側で何十人もの民兵が死亡した。

バドル軍団民兵はアブドゥル・アジズ・アル・ハキムに率いられているが、彼は、政府を牛耳っている組織イラク・イスラム最高評議会(SIIC)の指導者でもある。ダーワ党はイラク首相ヌリ・アル-マリキが党首だ。

この戦闘で死亡あるいは負傷した民間人の人数はいまだ不明である。イラク政府当局は、出来事に関してはほとんど沈黙状態のままだ。

「バスラの住民なら誰でも、こうした石油泥棒連中の間でいつ衝突が勃発しても当然で、バスラはまた民兵による戦闘で苦労を味わうことを知っています」と医師で、元バスラの住民だったが先月バグダッドに逃げてきたサルマン・カスムはIPSに語った。

南部、特にバスラの支配をめぐって、サドル派、SIIC、アル-ファディラ党の間の闘争が、これまで何カ月も続いている。

アル・サドルと同盟している議員のファラ・シェンシャルは、3月26日アル-ジャジーラに、アル・マリキは政治上の敵を狙っているのだと語った。「彼等は無法者の一団を標的にしていると言うが、それなら何故サドル派の人々がいる地域から始めるのだろうか? これは政治的な戦闘だ...一つの党派(アル-マリキのダーワ党)の政治的な利益のための。間もなく地方選挙(今年末に予定されている)が行われるからだ。」

アメリカ軍がまさにイラクにおける4,000人目のアメリカ兵士の死亡を発表して直ぐ、イラクへのアメリカ兵士「増派」によって、現場の状況が成功裏に向上したことを見せるように仕組んだ入念に計画されたPRキャンペーンの直ぐ後に、この戦闘が起きた。

「今回は、一体どういう嘘をデヴィッド・ペトレウス大将(イラク駐留アメリカ軍司令官)がでっちあげるのでしょう」バグダッドのジャーナリスト、マレク・シャキールは、IPSにそう語った。「3月25日の出来事は、イラクにおけるアメリカの占領計画の本当の失敗を明らかにしたのでし。今後更に面倒な事態が起きるでしょう。」

マリキ自身、マフディ軍団の民兵に対する攻撃を率いるべくバスラにおり、アメリカは同盟しているバドルとダーワを支援する狙いでサドル・シティーを包囲するために軍隊を派遣していた。

サドル・シティーから、限定的な戦闘と空爆のニュースがあり、民間人に多数の死傷者がでている非公式報告もあった。バグダッドの多くの地区と4つの南部諸州での夜間外出禁止令で、既に生活は困難になっている。

「この失敗のおかげで、イラクは振り出しに戻ってしまい、更にひどくなった」イラク軍准将のカスム・アルワンは、バグダッドでIPSに語った。「わが軍の士官が職場を放棄し、放置した車両を民兵に乗っ取られてしまったのを見れば、わが軍の編成が誤っていたことを認めなければならない。」

アルワンはこう付け加えた。「我が軍や警察は、部隊の一つたりとも、バグダッドでの任務に従事し続けることなく、何をすべきか我々を途方にくれさせただけだ。職場を放棄した大半の士官たちはバドル軍団とダーワ党のメンバーで、マリキ政府に最も忠実なはずの連中だ。」

アメリカ大使館とイラク政府と議会の建物があるバグダッドのグリーン・ゾーンが、複数のミサイルで攻撃された。ペトレウス大将は記者会見に現れ、イラクで最も安全な地域だと思われているゾーン砲撃の背後にいると、イランを非難した。少なくともアメリカ人一人が攻撃で死亡し、更に二名が負傷した。

「大半のアメリカ人とイラク人職員が、地下深く避難するよう命じられたので、グリーン・ゾーンは、さびれてみえます」ゾーン内の外国企業で働くある技術者がIPSに語った。「この地域にも夜間外出禁止令が出されています。もはやイラクに安全な場所はありません。」

イラクを占領する連中にとって、更に頭が痛い問題は大半が元レジスタンス戦士から構成されている、アメリカが支援する覚醒運動集団が、アメリカ軍からの延滞分支払いを要求して、ストライキをしょうとしていることだ。

IPSのバグダッド特派員アリは、アメリカを本拠地とするわが社のイラク問題専門ライターで、イラクや中東から多数の報道をしているダール・ジャマイルと密接に協力して仕事をしている。

アリ・アル・ファディリによるGlobal Research記事

ダール・ジャマイルによるGlobal Research記事



 

ご支援に熱く感謝いたします。


免責条項:本記事の見解は、著者のみが責任を負うものであり、必ずしもCentre for Research on Globalizationの見解を反映するものではありません。

Global Researchの会員になる


© Copyright Ali al-Fadhily, Inter Press Service, 2008

記事原文のurlアドレス:ww.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=8535

« 戦争物語の制作では、ペンタゴンはハリウッドの強敵-『戦勝文化の終焉』あとがき | トップページ | 番外編・エクアドル、アメリカ軍駐留拒否へ »

イラク」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 戦争物語の制作では、ペンタゴンはハリウッドの強敵-『戦勝文化の終焉』あとがき | トップページ | 番外編・エクアドル、アメリカ軍駐留拒否へ »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ