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2008年4月 2日 (水)

9/11のバーバラ・オルソンからの電話というテッド・オルソン報告と、それに対する3つの公式な否定

デビッド・レイ・グリフィン

Global Research、2008年4月1日

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9月11日遅く、CNNはこういう出だしで始まるニュースを放送した。「保守的な評論家で弁護士のバーバラ・オルソンが、火曜日の朝、自分が乗っている飛行機がハイジャックされていると、夫の司法省訟務長官テッド・オルソンに警告する電話をかけてきたと、テッド・オルソンがCNNに語りました。」この報道によれば、オルソンは妻が「アメリカン・エアラインズ77便から、彼に二度電話をかけてきた」と語り、「乗客全員とパイロットを含む全乗務員が、武装したハイジャッカーによって飛行機の後部に集められた。彼女が言及した武器は、ナイフと開こん用カッターナイフだけだ。」と言ったという。

テッド・オルソンの報告は極めて重要だった。ペンタゴンに突入したとされるアメリカンの77便が、午前9:00頃にFAAのレーダーから消えた後も、依然として空中にあった(この消滅後に、飛行機はオハイオ州-ケンタッキー州境に墜落したという報道もあった)唯一の証拠となったのだ。しかも、バーバラ・オルソンはCNNで極めて著名な解説者だった。アラブ人イスラム教徒たちにハイジャックされた飛行機の中で亡くなったという報道は、ブッシュ政権の「対テロ戦争」に対する国民の支持を獲得する上で一つの重要な要素だった。テッド・オルソンの報告は別の点でも重要だ。ハイジャッカーが開こん用カッターナイフを持っていたという、広く受け入れられている情報の唯一の根拠なのだ。

とはいえ、妻からの電話会話というテッド・オルソンの報告は、9/11の公式説明の中心的な主柱であるにもかかわらず、この報告は完璧に崩されてしまっている。

オルソンの自己矛盾

オルソンは、この取り崩し過程を、自己矛盾した陳述から始めた。彼は最初CNNに、我々が見聞きした通り、妻が「携帯から二度電話をかけてきた」と語ったのだ。しかし彼は9月14日にこの主張を否定し、報道番組ハニティー・アンド・コルムズで、彼女は司法省に受信者払いのコレクト・コールで自分に電話をしてきたのだと語った。従って、「彼女はともかく自分のクレジットが使えなかったので」彼女は「飛行機の電話」を使っていたに違いない、と彼は推測した。 しかしながら、オルソン談話のこのバージョンは、彼の最初のバージョンと矛盾するばかりでなく、自己矛盾でさえある。なぜなら、客席に設置されさた電話を起動するには、そもそもクレジット・カードが必要なのだから。

同じ日遅く、オルソンは更に、ラリー・キング・ライブで、「飛行機上の携帯電話からの信号は余り良く機能しなかった」ので、妻からの二度目の電話は突然切れてしまったと語った。最初のバージョンにこうして戻った後、彼は最終的には、二つ目のバージョンに落ち着いた。つまり、彼の妻はコレクト・コールで電話をかけてきたので、財布を持っていなかったからには、「客席の電話」を使ったのに違いない、というものだ。

最終的にこの話に落ち着くことを選択して、オルソンは技術的な落とし穴を避けた。2001年当時に使われていた携帯電話システムでは、高い高度の飛行機からの電話は不可能だった、あるいは、少なくとも事実上、不可能だった(オルソンの発言「飛行機上の携帯電話からの信号は余り良く機能しなかった」というのは極端に控えめな表現だ。)高い高度の飛行機からの携帯電話通話を可能にする技術は、2004年7月まで開発されていなかった。

しかしながら、オルソンの二つ目の話は、自己矛盾するだけでなく、アメリカン・エアラインズによって否定されている。

アメリカン・エアラインズは、オルソンの二番目のバージョンを否定している

AA77便はボーイング757であることを知っていたある9/11研究者が、アメリカン・エアラインズのウェブ・サイトには、同社の757には客席電話が取り付けられていないとあるのに気がついた。彼が2001年9月11日もそうだったのかという質問をすると、アメリカン・エアラインズの顧客サービス部担当者はこう答えた。「そのとおりです。弊社のボーイング757には電話を設置しておりません。77便の乗客は、テロリスト攻撃時には、ご自分の携帯電話を使って通話されています。」

この新事実に対して、公式説明を擁護する人々は、テッド・オルソンの最初の話は明らかに正しいではないか。彼女は自分の携帯電話を使ったのだ、と答えるかも知れない。ただし、2001年当時に使われていた携帯電話技術にからして、このシナリオはありそうにないという事実のみならず、FBIによっても否定されているのだ。

オルソン談話はFBIによって否定された

テッド・オルソンの話の最終的な崩壊は、2006年、20人目のハイジャッカーとされるザカリアス・ムサウイの裁判で起きた。この裁判で、FBIによって提出された証拠には、9/11の飛行機四機全ての電話通話に関する報告が含まれていた。アメリカン航空77便に関する報告で、FBI報告書は、バーバラ・オルソンは一度だけ電話したとしており、しかもそれは(もちろん)継続「0秒」の「接続されなかった発信」だとしている。FBIによれば、従って、テッド・オルソンは、携帯電話、飛行機電話のどちらかによる妻からの電話など一度も受けていないのだ。

9/11に、FBI自身がオルソンを尋問していた。その尋問の報告書は、オルソンが、FBI捜査員たちに、彼の妻が77便から二度電話をかけてきたと語っていることを示している。それなのに、2006年に提示された、77便からの電話に関するFBI報告書は、そのような通話など皆無であったことを示している。

これは驚くべき進展だ。FBIというのは司法省の一部門なのに、その報告書が9/11に妻から二度の電話を受けたという元司法省訟務長官の有名な主張を台無しにしたのだ。

オルソンの談話はペンタゴンの歴史家にも否定された

テッド・オルソンの話は、国防省が刊行したペンタゴン攻撃についての説明である「ペンタゴン9/11」を書いた歴史家によってもひっそりと否定されていた。

オルソンによれば、彼の妻は「乗客全員とパイロットを含む全乗務員が、武装したハイジャッカーによって飛行機の後部に集められた。」と言ったのだという。これはそもそも本質的に信じがたいシナリオだ。二人のパイロットを含め、60人ほどの人々が、ナイフと開こん用カッターナイフしか持たない三人か四人の男たちによって(ハイジャッカーの一人か二人は操縦室にいただろう)釘づけにされたのを我々に信じろというのだ。このシナリオは、ハイジャッカーだとされる連中が全員小柄で、強健とはいえず(9/11委員会は、「がっしりとしたハイジャッカーとされる連中は、実際には肉体的に堂々としていたわけではなく、彼等の大半の身長は165 cmから170 cmで、体つきはきゃしゃ」であることを指摘し)、パイロットのチャールズ・「シックな」バーリンゲームは、重量挙げ選手でボクサーで、かつての相手選手たちの一人によれば「実にタフ」だったということがわかれば、一層不合理なものになる。それに、バーリンゲームがハイジャッカーに飛行機を引き渡しただろうという発想を彼の弟は否定しており、「操縦室で何が起きたかは知りませんが、連中は兄を動けなくするか殺害しなければならなかったはずです。兄ならあの飛行機に起きたような悲劇を防ぐためなら何でもしていたでしょうから」と語っている。

ペンタゴンの歴史家は、いずれにせよ、バーリンゲームと副操縦士は飛行機を引き渡し、乗客や他の乗務員と一緒に飛行機の後部にいたとするオルソンの話を採用しなかった。彼等は、「テロリストは、二人のパイロットを動けなくしたか、殺害したかのいずれかだ。」と書いた。

結論

アメリカン・エアラインズ、ペンタゴン、そして特にFBIによるテッド・オルソンの話の否定は、この上なく重要な進展だ。バーバラ・オルソンからのものだとされる複数の電話通話以外に、77便がワシントンに戻ったという証拠はない。また、もしテッド・オルソンの主張が嘘とするなら、可能性は二つしかない。彼が嘘をついたか、それとも彼は、彼の妻を装う音声変更技術を使った誰かに騙されたかだ。いずれにせよ、バーバラ・オルソンからの電話に関する公式説明は虚偽に基づいたものだ。そして、もしも9/11に関する公式説明のこの部分か欺瞞に基づいたものであれば、他の部分も怪しいのではと思って当然ではなかろうか?

テッド・オルソンの報告が、9/11に関する公式説明を擁護する他の人々によって否定されたという事実は、9/11の新たな調査を要求する根拠となる。この内部矛盾は、しかも、私の最新著書「9/11 Contradictions: An Open Letter to Congress and the Press」で私が説明した25もの、そうした矛盾の一つに過ぎないのだ。


注記

この記事は、デビッド・レイ・グリフィンの最新著書、「9/11 Contradictions: An Open Letter to Congress and the Press (Northampton: Olive Branch、2008)」の第8章に基づいている。

本書は、9/11の中心的な出来事を、一連の25件の内部矛盾として再構成している。読者が、公式説明をそのまま信じ続けられるようにする唯一の方法は、お互いに矛盾する説明をそのまま受け入れることだ。
 
"9/11 Contradictions"は、デビッド・レイ・グリフィンのあらゆる本(あるいは、いかなる本)の中でも、 9/11の新たな調査を開始させる可能性が一番高い書物かも知れない。

デビッド・レイ・グリフィンは、Global Researchの常連寄稿者。デビッド・レイ・グリフィンによるGlobal Research記事。


 

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免責条項:本記事の見解は、著者のみが責任を負うものであり、必ずしもCentre for Research on Globalizationの見解を反映するものではありません。

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© Copyright David Ray Griffin, Global Research, 2008

本記事原文のurl:www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=8514

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