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2008年2月14日 (木)

ケーブルと陰謀について

2008年2月7日

印刷版The Economistから

いささかゆき過ぎに見えるオンラインの熱狂

1月30日、アレクサンドリア北5マイルで、とうやら船の錨らしいもので二本の海底ケーブルが破損した時、それはインターネットの脆弱性に対する注意喚起のようなものに見えた。ケーブルの一本は、インドのリライアンス・グループの子会社FLAGテレコム所有、もう一本(SEA-ME-WE 4)は16社の通信企業によるコンソーシアムの所有で、スエズ運河を経由するデーター通信のほぼ90%を担っていた。接続が切れると、ヨーロッパと湾岸諸国と南アジア間の、ほとんど全てのインターネット・リンクが駄目になる。

エジプトは即座にインターネット接続の70%を失った。西インドの発信機能の半分以上が停止し、インドのアウトソース産業を混乱させた。以後数日間にわたって、ケーブル運営会社が新たな経路を探る間、アルジェリアからバングラデシュまで、7500万人のインターネット・リンクが途絶、切断されたのだ。

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だが、2月1日、もう一本のFLAGテレコムのケーブルが損傷した時には、今度はアラビア半島でも反対側の、ドバイの西でだったが、話の展開が変化した。spyd3rwebという名のインターネット・ユーザーがdigg.comに「ケーブル1本 = 事故、ケーブル2本 = 事故の可能性、ケーブル3本 = 意図的な破壊活動によるもの」と書いているように、陰謀説が急速に広まりはじめた。

defensetech.orgの投稿記事は断言している。「これらのケーブル切断が、意図的な悪意ある行為であった可能性を、熟考する必要がある。仮に最初の出来事は、単に悪意はないものではあったが重要な出来事だったとしても、二度目のものは、テロリストを模倣する連中のしわざでという可能性がある。」あるいは、アメリカの非道だと他の連中は言う。ブレーキー・ラットと言う名のユーザーは「アメリカ海軍は、一時、支援潜水艦上に取り付けた特殊チャンバーを使って、技術的に海底光ケーブルを盗聴することができた。」と報じている。ギャロッピング・ビーバーという名のウエブ・サイトはこう質問している。「米海軍潜水艦ジミー・カーターはどこだ?」この攻撃型原子力潜水艦は、どうやら姿をくらましているようだ。

エジプトの運輸大臣が、ケーブルが敷かれていた場所の航路のビデオ映像を検討したが、出来事の前後12時間内に、断線箇所上を航行した船舶はない(該当地域は、実際、航海禁止だ)と発表し、船の錨以外の何か不気味なものが原因だという考えが勢いを得た。更にもう一本のケーブル、カタールとアラブ首長国連邦間、が2月3日に途絶して、疑惑は広がった。「偶然の一致の範囲を超えている!」とArabianBusiness.comのあるユーザーが書いた。

実際、四度目の断絶は不審なものではない。停電のせいで、所有者がネットワークを止めたのだ。だがその頃には、陰謀論者たちは過熱していた。掲示板Slashdot.orgには、2月1日にイランは全てのインターネット・アクセスができなくなったと書かれている。「通信途絶が意味するものはただ一つ、侵略だ」と、映画「スター・ウォーズ」のセリフを引用してbigdavexは書いている。通信途絶が回復したので、パキスタンのブロガーたちが、どっと戻ってきた。彼等は言う。破損したケーブルによって、テヘラン石油取引市場の開設が遅らされた。pkpolitics.comは、市場は、ドルの大量売りを招いていたはずで、「それによって[アメリカ]経済は瞬時に崩壊していただろう」。ニュー・ワールド・オーダー101.com (nwo101.com) のマーカス・サレクはこう付け加えた。「プーチン大統領は、ロシア空軍に対して、ロシア国家にとって極めて重要な海底ケーブルを守る緊急行動をとるよう命じた。」

一つ小さな問題がある。イランのインターネット接続は決して失われなかったのだ。インターネット・モニター企業レネシスのトッド・アンダーウッドとアール・ズミエフスキーは、イランと接続する695のネットワーク中、4/5は、影響を受けなかったと報じている。良く検討すれば、他のほとんどの説も消滅しよう。おそらくアメリカ海軍は、光ファイバー・ケーブルを盗聴できるのだろうが、一体どうやっているのかは不明だ。2000年の欧州議会のある報告では「光ファイバー・ケーブルは、高周波信号を漏らさないので、誘導磁界を使って盗聴することはできない。[諜報機関]は光ファイバーの盗聴法研究に膨大な資金を投じたが、伝えられるところによれば、ほとんど成功しなかった。」ことが明らかになっている。

一週間に何本ものケーブルが切れるというのはまれなことかも知れないが、起こりうるのだ。海底ケーブルを修理する企業グローバル・マリン・システムは、昨年、大西洋で50本以上のケーブルが切れたり、損傷したと言う。大海には非常に多くのケーブルが縦横に張りめぐらされているので、一カ所の切断はほとんど影響しないのだ。スエズ運河おにおける損傷が特異だったのは、それが「二つの大陸の」通信が、わずか三本のケーブルによって担われている箇所で起きたということだ。更なるケーブルが敷設されつつある。今の所、妥当な結論はただ一つ。インターネットは場所によっては脆弱だが、次第に堅牢になりつつあるのだ。

元記事のURLwww.economist.com/world/international/displaystory.cfm?story_id=10653963

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先に訳した別記事FLAG社海底ケーブル三度目の断線、今度はUAE、オマーン間の関連

The Economist記事の存在、「ジャパンハンドラー」著者、アルルの男・ヒロシさんにご教示いただいた。

ブログ「ジャパン・ハンドラーと金融情報」に、既に本件にまつわる記事を書いておられる。

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