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2008年2月26日 (火)

『シェル・ゲーム』書評 キャロリン・ベーカー

2008年1月24日、2:24pm

変化が我々の頭上になだれとなって押し寄せようとしているのに、ほとんどの人々は、それに対処する用意が異様なほどできていない。

アルビン・トフラー

テンプル大学のスポーツ管理博士号をもちながら、仕事には満足できず、家族を養うために苦労しながら、スティーヴ・オルテンは本を書きたかったのだが、仕事が厳しく、そのための自由時間はなかった。にもかかわらず、彼は毎晩夜10時から3時迄、そして週末に書き続け、8カ月かけて、先史時代の偉大な白鮫についてのやがてシリーズ小説/映画となるを書き上げた。一連のSFスリラー作品群を書き続けた後、オルテンは断固政治的な方向へと切り換え、明日2008年1月22日、未来学的な読み出したらやめられない新作小説『シェル・ゲーム』副題「石油の終焉、第二の9/11、そして文明の終焉」(Sweetwater Books刊)を発表する。

スティーヴがシェル・ゲームの書評用の本を送ってきた時、尊敬する知人たちによる賞讃評にもかかわらず、私はため息がでて、どうも落ち着かなかった。私を良く知る人々は、私がフィクションの書評はしないのを、より具体的に言えば、小説の登場人物を頭の中で整理しようとするのに毎回苦労するので抵抗するのを、知っている。にもかかわらず、私はスティーヴに電子メールを書き、必ず書評を書くと請け合い、恐る恐る流し読みを始めた。たっぷり注意を払い、超然としてページを覗き込んだのに、何か全く仰天するようなことが起きた。気がつくと不可解なことに夢中になっていたのだ。私のような人間が巻を置くあたわざる状態となったことが多くを物語っており、誰よりも私自身がそれにはびっくりした。

評者のビル・ダクラスが指摘しているように、シェル・ゲームは、ネオコンの視点から始まり「それから、小説はその『現実』の解体へと進み、なりすましテロや、公民権や人権の弱体化、戦争をもたらした嘘といった醜い恥部をさらけ出す旅へと読者を導き、我々全員に未来の戦争の前兆を示す。」

本書の始めで、石油地質学者で元大学のフットボールの花形選手だった主人公エース・フットレルが、議会で世界の石油供給の不安定さについて証言するが、彼の冷厳な報告は二大政党の政治的駆け引きの泥沼の中に飲み込まれ、消滅してしまう。フットレルはケリー・ドイルと結婚しており、彼女はCIAとネオコンの為に隠密裏の仕事をしていたが、今や重篤な末期癌を病んでいる。末期の日々、ドイルは「地獄の一歩手前:生存している人々への謝罪」という題名の曝露本を執筆中だが、そこで人類を文明の崩壊に追いやろうとしている帝国の策謀を曝露している。最初の文章はこうだ。「率直に言って、この本であなたを徹底的に怖がらせられたらと願っている」。ドイルは告白曝露本の別の部分で、しつこいくらいに帝国の嘘をすっぱぬき、「全ての大統領は嘘をついている」と書いて言う。ルーズベルトは真珠湾について、リンドン・ジョンソンはベトナムについて、レーガンはイラン-コントラについて、そしてクリントンは大統領執務室での情事について。更に彼女はこう強調する。

「...2001年9月11日の出来事の後に、ブッシュ-チェニーのホワイト・ハウスが送り出した嘘が、我々を、あなたや、最愛の人や、十億人もの無辜の人々に影響を及ぼす、イラク侵略と西欧文明の岐路に引きずり込んだ。

アメリカの諜報組織はアルカイダの攻撃が行われることを知っていたのか?

知っていたわ。

だが、我々は彼らを止めようとしたのか?

止めようとしたけれど、そうするのを止められたのよ。」(77)

これに続くドイルの暴露は、マイク・ルパートの『クロッシング・ザ・ルビコン』の徹底的な調査や、9/11の真実を追求する無数の人々の仕事を反映させており、それが、9/11ブロガー上に、ビル・ダグラスのような書評が現れる理由のだ。実際、オルテンの魅惑に満ちた小説は、9/11の真実を追求する活動をしている多くの人々によって既に支持されており、そうした豊穣な土壌に定着して、恐らくハラハラどきどきのシェル・ゲームの二時間映画を生み出すことになりそうだ。

他の優れた小説と同様、シェル・ゲームは直線状ではなく、複雑な筋が螺旋状に展開し、第二の9/11-今度はロサンゼルスでの核爆発という結果に至る。ただし第一と第二の9/11はオルテンの魅惑的な小説の中心点ではない。彼は労を惜しまずに、21世紀にそのような破局が起きることを可能にしてしまう腐敗、強欲、権力志向の狂気を明確にし、こうした物事を前例のない天然資源の枯渇に苦しむ地球の現実と絡み合わせる。「我々は皆わかっているのに、どうしてこんなことが起きるのか?」と思いたくなるところで、シェル・ゲームのエース・フットレルは、ケリーのいとこ、ジェニファーと会話して、やや乱暴に現実に目覚めさせられる。

この架空の対話は本当の大統領選挙が行われる2008年に実にぴったりで、カール・ローブの元で鍛えられた元選挙参謀ジェニファーは、主流政治過程の不誠実さを、エースに対してばっきりと説明する。なぜ気候変動やエネルギー枯渇に関するあらゆる証拠が揃っていながら、議会は本質的に意味のある行動をとらないのか、ジェニファーに説明しろと主張して、彼は尋ねる。

すると、気候変動のあらゆる証拠があっても、石油価格が上がっても、大気汚染や呼吸困難の問題があっても...石油が枯渇しかけていても、我々には次に起きることへの備えがほとんどないわけか。何も変わらないのか。

ジェニファーは答える。

ワシントンには無いわね。エース、大事なのは問題ではなくて、大事なのはメッセージだから。大半の候補者の政策は、有権者の利益と反しているの。彼らが選ばれるのは、テレビ利用と、メッセージの繰り返しのおかげ。最大の嘘を十分なだけ繰り返せば、大衆はそれを真実として受け取る。私にマスコミで大キャンペーンをするだけの資金さえあれば、エルマー・ファッド(猟銃を持って獲物を狙うが、バッグス・バニーにしてやられるアニメ・キャラクター)を当選させることだってできる。彼が時々教会に行って、舌足らずが直ればの話だけど....まずメッセージから始める。何か人を惹きつけられるものからね。本当かどうかなんてどうでもよくて。そして、宣伝に百万ドルもかけて、アメリカ人の頭にたたき込むのよ。(133-134)

私としては、シェル・ゲームは、ここにごく一部だけ引用したエースとジェニファーの会話の部分だけでも読む価値があると思う。主人公エースのように元選挙参謀の説明を受けたわけではないが、数年前に 私も同じ現実を理解した。それが、少なくとも現在の政治制度が完全に崩壊してしまうまでは、個人的にアメリカの連邦議会選挙ではもう二度と私は投票しないという、あり過ぎる理由の一つなのだ。

シェル・ゲームの価値は、人類が急速に向かいつつある破局を強調しているだけでなく、そうした破局を不可避にしてしまうような、帝国における物の考え方を分析していることにある。オルテンの小説は、不気味な洞察を感じさせ、いかにもありそうな、おそらく止めようもないような悲劇的な筋に満ちている。

本は、ケリー・ドイル回顧録の締めくくりの言葉でおわる。単純にこうだ。「私たちはいつか学ぶことができるのだろうか?」

この質問をしばらく考え、その内に違う質問を思いついた。「私たちはどのようにして学ぶのだろう? 私たちが学ぶにはどうすればよいのだろう?"

他の文明も、自然文化を作り出し、維持し、人々は、お互いに、また生態系とも調和して、何千年も続いてきたのだから、人類の中で、そうした機能がありうることを人は知っている。人類が再び同じような文化作り上げ、それかなりの長期間にわたって維持することは、必ず可能だろうが、現代文明の崩壊を経験することなしに、人類はそれができるのだろうか? 私にはそうは思えないが、心から奇跡を信じる一人として、あえてその可能性までは否定すまい。ただし「残れされた時間は少ない」とはもう言うまい。既に残れされた時間などないのだから。ケリー・ドイルの質問に対しては、別の質問で答えねばならない。私たちが目覚めるには一体何が必要なのだろう? 一体どうすれば私たちは学ぶのだろう?シェル・ゲームは、そうした質問に対する、恐ろしいありうる答えを示している。本書が解決策を与えてくれるわけではないが、私のようなフィクション嫌いでさえ抗することができないほど夢中にさせてくれる冒険に誘ってくれるだろう。

英語原文www.carolynbaker.net

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先に翻訳した記事、「サウジの巨大油田、ガワールは死んだ!」と直接つながっている物語なのにはびっくり。

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