イージス艦「事故責任」一辺倒報道(番外・国内編)
マスコミは事故原因と捜索の報道一辺倒。イージス艦がそもそもどういう軍艦で、どういう経緯で、なぜ導入されているの、そもそも必要なのか否か等々、知りたいことにはまず言及しない。
手元にあった本に、イージス艦について分かりやすい説明があった。
品川正治氏「9条がつくる脱アメリカ型国家 財界リーダーの提言」120-122ページ
引用始め
このテロ掃討作戦の後方支援をめぐっては、海上自衛隊の「イージス艦」をインド洋に派遣するかどうかの議論が一年以上もつづいた。アメリカ海軍が開発したイージス艦は、従来の護衛艦に比べて、飛躍的に高い対空警戒能力と情報収集能力をもっているからだ。
能力の秘密は、目標に対する攻撃を高性能のレーダーとコンピュータで自動処理する「イージスシステム」にある。冷戦のさなかでソ連軍の脅威が高まるなか、敵の航空機や艦船、陸上基地などから発射されるミサイルを撃ち落とすために開発した防空システムで
イージス艦は、パラボラアンテナを機械的に回転させていた従来のレーダーと異なり、フェイズド・アレイ・レーダーと呼ばれるアンテナ面を固定した八角形の平面レーダーを四基搭載し、自艦を中心とする数百キロメーター以上の範囲で同時に二〇〇個以上の目標を捕捉し、同時に一〇個以上の目標を最大射程一〇〇キロメートルを超える迎撃ミサイルで攻撃する能力をもつ。目標を攻撃する対空ミサイルとアスロック(対潜水艦ロケット)は、前部と後部の甲板下に設置したミサイル垂直発射装置から発射され、これらのシステムで敵の目標物を捕捉して迎撃する。このリアクションタイムは、従来の二分の一以下に短縮された。
さらに海上自衛隊のイージス艦は、アメリカ軍の水上艦艇や航空機と情報を共有するデータリンクシステムで結ばれることから、アメリカ軍との一体化が進み、集団的自衛権の行使に当たるのではないかという懸念の声が強かった。しかし、小泉政権はそうした懸念をよそに二〇〇三年一二月一六日、イージス艦「きりしま」を横須賀港からインド洋に向けて派遣したのである。
現在、イージス艦を保有している国はアメリカを除くと、日本(四隻)とスペイン(一隻)の二か国だけである。海上自衛隊はさらに二隻の改良型イージス艦の追加を予定しており、一隻当たりの契約価格は従来の自衛隊主力艦の三倍に当たる一四七四億七一〇〇万円にのぼる。(以上、海上自衛隊のイージス艦については、古木杜恵氏の取材による。) ストックホルム国際平和研究所が発表した世界主要国の軍事費(二〇〇三年)によると、第一位は世界の総国防費の四七パーセントを占めるアメリカの四一七四億ドル、四六九億ドルの日本はイギリス(三七一億ドル)、フランス(三五〇億ドル)、中国(三二八億ドル、同研究所の推定)、ドイツ(二七二億ドル)を抑えて第二位にランクされた。いまや日本の軍事力、とりわけ海上戦力はアジア随一というのが軍事専門家の一致した見解なのである。
引用終わり
別のページで小選挙区制導入を応援したことを反省しておられるのはさすがだが。後の祭り。
品川正治氏、お年にもかかわらず、積極的に講演活動をしておられるのには敬服する。
「こんごう」は昨年末、はなばなしい?話題になった。(話題の艦船はあたご)
同じ話題でも、別の見方はある。「五十嵐仁の転成仁語」
いわく
あらかじめ準備して待ちかまえて発射して、それでも7分かかる。
いつ、どこに向かうか分からないミサイルが、突然、発射される場合はどうなるのか。それでも、7分以内に命中させることができるのか。
こんな無意味なミサイル防衛のための実験に、税金を100億円も使うなんてとんでもない
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また、海上自衛隊の隊員がイージス艦の(つまりアメリカの)秘密を漏らしたとして大騒ぎにもなった。
神戸新聞社説http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0000773343.shtml
事故以前に、品川正治氏の文にある通り、「集団的自衛権の行使に当たる」ような用途の軍艦が日本にあること自体が問題では、と素人は思う。しかし、こと軍事になると属国傀儡政権はなにもできない。
西山元記者の沖縄密約国賠償訴訟裁、ひどい判決がでても、大記事にならない。
国家のあからさまな犯罪共謀の指摘を、司法は受け止めることは不可能なので、へりくつの除斥期間で逃げるだけ。いちじくの葉の役割もはたせない。
そして、「待望」のインド洋での給油活動も再開。
美しい国ならぬ、美国属国は悲しい。
追記:「兵藤ニ十八の放送形式」ブログ記事に、この艦船の効能が書いてある。
ある米国設計の誘導弾搭載型巡洋艦艦長の心の中の台詞(想像)
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