女性の権利に関する文章をあえて読んだアフガニスタン人に死刑判決
キム・セングプタ
木曜日、2008年1月31日
一人の若者、ジャーナリズムを学ぶ学生が、インターネットからレポートをダウンロードしたことに対し、イスラム教裁判で死刑判決を受けた。この判決は、更にその国の支配者達に指示された。これが、タリバン時代ではなく、「解放」から6年後、西欧の盟友ハミド・カルザイの民主的支配下にあるアフガニスタンだ。
サイード・ペルベス・カムバクシュの運命は、国内および国際的抗議を引き起し、アフガニスタンにおける市民的自由の侵食に対する懸念を深めている。彼は、あるペルシャ語ウエブサイトから、コーランが女性に対する抑圧を正当化していると主張するイスラム原理主義者は、預言者モハメッドの見解を事実を曲げて述べている、と主張するレポートをダウンロードした後、涜神のかどで訴えられた。
23歳のカムバクシュは、彼によれば、その件についての論議を引き起こす狙いで、バルフ大学の学生仲間と教師にその冊子を配った。しかし、彼に対する訴えがなされ、彼は逮捕され、彼の友人や家族の言い分によれば、法的代理人も許されずに、宗教者の判事に裁かれ、死刑を宣告された。
インデペンデント紙は、今日、カムバクシュの為、公正を確保するキャンペーンを立ち上げた。国連、人権団体、ジャーナリスト組織や西欧外交官は、カルザイ政府に、介入して、彼を解放するよう要請している。だがアフガニスタン議会は、昨日、死刑判決を確認する動議を可決した。
カムバクシュの死刑判決を提案した国会議員は、シブガトウッラー・モジャッデディ、カルザイの重要な協力者だ。この議員は、アフガニスタン政府に圧力をかけているとして国際社会を攻撃し、外部の非イスラム教的見解に影響されないようカルザイに迫った。
ジャハン-イ-ナウ(新世界)新聞の記者としても働いていたカムバクシュの事件は、アフガニスタンでは、アフガニスタンと西洋との対決激化のもう一つの章と見られている。
カルザイが、イギリスがその行為によって、ヘルマンド州の状況を実際に悪化させたと非難し、続いて、アシュダウン卿の国連特使任命を阻み、イギリスとアイルランドの外交官を追放した後に起きた。
カムバクシュが逮捕された北部の都市マザル-イ-シャリフでは、海外の干渉とされるものに対する聖職者が組織したデモがおこなわれた。国会の第一秘書?アミヌディン・ムザファリは語っている。「我々はイスラム教国の代表なのだ。従って我々は、イスラム教への畏敬の念に対する侮辱に決して耐えることができないことを、人々は理解すべきだ。」
タカール州の集会で、聖職者会議議長マウラビ・グラム・ラバニ・ラフマニは、こう語った。「政府と裁判所には、カムバクシュに対する判決を、できるだけ早く実行して欲しい。」パルワン州で、別の幹部聖職者マウラビ・ムハンマド・アシフは、こう語った。「この決定は聖なるコーランを軽視する連中に対するものであり、政府は外国から一層の圧力を受ける前に、判決を実行すべきだ。」
イギリス当局筋は、特にジャーナリストに対してとられた、そのように過酷な行為を懸念していると語っている。外務省や国際開発省は、この国のマスコミ労働者の訓練の為に大金を寄付している。イギリス政府は、ヘルマンドの首都、ラシカル・ガルの「戦争と平和報道機関」(IWPR)に資金をだしている。
カムバクシュの兄、サイード・ヤクブ・イブラヒミもジャーナリストで、IWPRに記事を書いており、その記事の中で彼は、国会議員を含む著名な大立者達を、殺人を含む残虐行為で糾弾した。彼はこう語った。「もちろん、弟のことを非常に心配しています。彼に起きたことは、極めて不正です。彼は冒涜的言動をしたわけではありません。彼は法律的な抗弁することさえ許されていません。行われたのは、秘密裁判です。」
ジャハン-イ-ナウの編集者、カユーム・バーバクは、マザル-イ-シャリフの検察幹部、ハフィズ・ハリキャルが、もしもカムバクシュに対して下された死刑判決に対して抗議をすれば、罰するとジャーナリストに警告した、と語っている。
IWPRのアフガニスタン所長、ジーン・マッケンジーはこう語っている。「これは、一部の非常に有力な司令官達による虐待の概要をまとめた最も痛烈な記事を書いた、ペルベスの兄ヤクブに、圧力を加えるべく仕組まれたものだと、我々は強く感じています。」
アフガニスタン独立ジャーナリスト協会の理事長ラヒムラー・サマンデルはこう語っている。「これは不当です。これは違法です。彼は記事のコピーを印刷し、それを見て、読んだだけなのです。我々が、読むことも、学習することもできないのであれば、どうして、この「デモクラシー」の正当性を信じることができるでしょう? 手遅れになる前に、死刑判決を取り消すよう、私たちはカルザイに求めています。」
カムバクシュに対する有罪判決をめぐる状況は、タリバン打倒以来、女性達が獲得した権利を取り返そうとする企みだとも見なされている。最も著名な女性国会議員、マラライ・ジョヤは、男性同僚達を批判した後、停職処分になっている。
アフガニスタン憲法の元で、カムバクシュは同国の最高裁判所に上訴する権利があると、法律専門家は言う。しかしながら、幹部聖職者の中には、宗教法のもとで有罪を宣告されたのだから、最高裁判所は非宗教的な解釈を本件に持ち込むべきではない、と主張している者がいる。
カルザイには、介入して、カムバクシュを赦免する正当な資格がある。しかしながら、例え彼が解放されても、原理主義者と軍閥の長達が、益々支配力を増しつつある国で、この学生が懲罰を免れることは困難だろう。
どうすればペルベスを救えるか
サイード・ペルベス・カムバクシュに対し、今にも行われようとしている死刑は、文明的価値観に対する侮辱だ。しかしながら、これは既定の結論ではない。もしも十分な国際的な圧力がカルザイ大統領の政府に加えられれば、まだ彼の死刑判決が覆される可能性もある。外務省に、彼の生命を救うよう要求して、キャンペーンに、読者の圧力を加えて頂きたい。www.independent.co.uk/petitionで、我々の電子請願に署名願いたい。
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「机の上の空 大沼安史の個人新聞」にある通り、こういうことをする政権を支援するための、戦艦への給油など凍結すべきだ。
「文書を配布して、有罪とされる」事件、弱小野党支持者の「ビラ播き」有罪事件は、別の属国でも起きている。アフガニスタンより、民度は高いのだろうか?
と書いた後、日教組教研集会に対する「グランドプリンスホテル新高輪」の会場使用拒否が報じられた。タリバン、いやアルカイダ、決して人ごとではない。
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