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2007年11月10日 (土)

アメリカの支持を得て、イラクはロシアとの石油契約を破棄

The New York Times記事の翻訳

アンドリュー・E・クレーマー

公開: 2007年11月4日

バグダッド、10月29日

アメリカ人法律顧問に指導されて、イラク政府は、ロシアの石油会社ルクオイルとのイラク南部砂漠における、議論の的であった巨大油田開発契約を破棄し、将来、国際投資向けに開放することとなった。

これに対し、130億ドルというイラクの債務を免除するという主要債権国会議パリ・クラブの2004年の取り決めを無効にするとロシア当局は脅したのだと、イラク人政府高官は語っている。

西クルナ油田は、推定埋蔵量110億バレルで、世界的に認められたアメリカ最大の石油会社、エクソン・モービルの石油埋蔵量に等しいものだ。イラク石油大臣フセイン・アル-シャリスタニは、インタビューで、油田は恐らくは来年にも新たな応札者に対して開かれるだろうと述べた。

サダム・フセイン政府によって署名され、後に破棄された契約は、アメリカの侵略以来、法律的にどっちつかずの状況にあった。だがクレムリンは、9月までは何とか救われるのではと希望を抱いていたが、シャリスタニ氏が同月モスクワを訪れ、ロシア幹部に契約を破棄するという決定が最終的なものであると伝えたと同氏は語っている。

最近石油によって富が増大することで、国際情勢上、勢いがついたロシア政府は、ルクオイルの主張を依然として支持し、イラクにおける契約類に対する恣意的な履行と見なし、抗議している。

クレムリンのスポークスマン、ドミトリー・S・ペシコフは電話インタビューでこう語った。「我々の権益は守る。海外でロシア企業の利益を守ることは政府の義務だ。」

あるイラク人幹部は、秘密の外交交渉を担当しているため匿名を条件に、ロシアの対応は「契約を進めてくれれば、ロシアは債務を免除するように政治力を発揮できる。」というものだったと述べた。

1980年代にソ連の地質学者が発見はしたものの、ほとんど未開発だった西クルナは、何ダースかある世界超巨大油田の一つだ。こうした油田は、あまりに巨大なので、企業や国家の命運を傾けかねないため、業界では「巨象」として知られている。

イラクの石油部門幹部とルクオイルの双方によると、4~5年開発すれば、油田は一日100万バレルの石油を生産する。これはほぼ現在のアラスカのノース・スロープの産出量に等しい。

ルクオイルの1997年の生産分与契約で、サダム・フセイン政府は、わずか1000万ドルという契約金で、同社に対し、110億バレルの石油の開発権を与えた。失敗はしたが、国連の経済制裁を解除する工作で、当時イラクがロシアの支援を期待していた時にまとまった契約は、産出量の9.6パーセントをルクオイルに割り当てていた。

この契約は、イラク侵略は石油のためだと一部の評論家達が非難して来たアメリカ合州国にとって厄介の種となっていた。今日に至るまで、戦争のおかげで、アメリカの石油会社がイラクの埋蔵量に対して有利な立場を得たという証拠はほとんどなかったが、ルクオイルの取引は、開戦以来、決定を覆された件として大手石油企業を巻き込んだものではこれ一件だけだ。

しかし、海外政策の拠り所として、アメリカ合州国は、各国に対し、石油契約は履行すると強く主張してきたのだ。それからすると、ルクオイル契約破棄を大目に見ていることは、ダブル・スタンダードの証拠だと見る向きも有る。

「ロシア政府の視点では、イラクは占領されており、イラクの運営、特に石油については、ワシントンが指示していると見なしている」と、ロシアの銀行ウラルシブのチーフ・エコノミスト、ウラジミール I. チホミロフは、電話インタビューで答えている。

「ロシアはイラクの契約破棄を、イラクの主要な油田支配を維持しようとするアメリカの動きの一部とみている」と述べた。

ウラジミール・V・プーチン・ロシア大統領は、ブッシュ大統領に対し、2003年の侵略以来、何度かこの話題を提起してきた。プーチン大統領は、2003年6月のBBCインタビューで、ブッシュ大統領は保障さえ申し出た、と語っている。

プーチン大統領は言った「最後の会談で、ブッシュは直接、明確に言った。ロシア企業をイラクから追い出すというような企みは一切もっておらず、共同して働ける環境を作る用意ができている。到底彼を信じることはできない。」

ルクオイル契約の適法性は依然としてあいまいだ。今国会に上程されている石油法案草稿にある通り、サダム・フセイン政府によって署名された契約を尊重するというのが、イラク政策の建前である。イラク政府は、中国、ベトナム、インドネシアやインドの石油会社との契約では、まさにそうしている。

しかしイラク側は、ルクオイルの契約を破棄したのはサダム・フセイン政府だったと述べている。当時の政府のスポークスマン、タリク・アジズは、ロシアはアメリカと、侵略の際、契約の確保について交渉しているとイラク政府は考えていた、と語っている。

アメリカ占領の初期に、フセイン政府の決定が有効か否かという疑義が生じたと、イラク石油大臣の元首席顧問マイケル・スティンソンは語っている。答えは当時石油省のアメリカ人首席法律顧問ロバート・マクガイア、スティンソン氏によれば国防省で働いていた人物、が提供した。マクガイアは、破棄を正当化するのに、フセイン以前の時代の法律に依拠した、とスティンソン氏は語っている。

本報道にはジェームス・グランツが協力した。

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下記The New York Times記事の翻訳

http://www.nytimes.com/2007/11/04/world/middleeast/04oil.html?_r=1&ref=world&oref=slogin

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