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2007年10月19日 (金)

ブラックウォーター・スキャンダルにおける好戦的底流

ブラックウォーター・スキャンダルにおける好戦的底流

ノーマン・ソロモン

2007年10月16日

ブラックウォーター・スキャンダルは、マスコミで大きく報道されており、確かに更に多くの報道に値する。税金による民営傭兵の助成は、デモクラシーの対極であるし、イラクにおけるブラックウォーターの行為は残忍なものが多かったのだ。しかしアメリカのマスコミによるこのスキャンダルの展開は、戦争に対する批判を、よりよい戦争に対する要求へと、いつもすり替えてしまうという文脈のものだ。

多くの政治家がこの錬金術を手助けしている。今月はじめの下院委員会における、ブラックウォーターUSAの忌むべきCEOエリック・プリンスを主人公にした、大々的に報道された聴聞会の雰囲気は、はっきりと、より良い戦争を渇望するものだった。

ニュー・ハンプシャー選出の議員、ポール・ホーズは、「違法行為に対して、ブラックウォーターの社員に責任を課し損ねたことが、イラクにおける我々の行動を台無しにしたかどうか」を知る重要性を強調した。委員会のもう一人の民主党議員、ニューヨーク選出のキャロリン・マロニーは、ブラックウォーターの幹部に「あなたがたの行動は、アメリカのイラクにおける任務を台無しにし、イラク国民とアメリカ軍の間の関係と信頼を本当に傷つけている可能性がある。」と言った。

だがブラックウォーターの行動の問題はイラクにおけるアメリカ軍の「行動」や「任務」を「台無しに」するということではない。そんな行動も任務もあってはならないのだ。

ブラックウォーター問題に気を取られてしまうことによる本当の危険は、同社が、大いに、しかも本質的に誤っているアメリカの行動と任務に対するスケープゴートになってしまうことにある。ブラックウォーターに対する糾弾は、正しいものではあるが、嘘に基づいた、容赦のない占領戦争が、より良い経営によって修復可能であるかのごとき、また、あたかも陸軍と海兵隊の制服を着た占領軍が、節度と釈明義務の権化であるかのごとき、アメリカの戦争行動の浄化を要求する政治的な嵐に流用されがちだ。

今月半ば、AP通信は「アメリカ人とイラク人幹部が、警備会社ブラックウォーターUSAを六カ月以内にイラクから放逐するというバグダッドの要求を交渉しており、アメリカ外交官が同社が撤退した場合の治安の空白をどうやって埋めるかについて作業中の模様である。」と報道した。今後同じ様な話が沢山でることだろう。

一方、主要なペンタゴンの作戦については、究めて恣意的なアメリカのマスコミ報道しかない。ハイテク・アメリカ兵器から発射された爆弾が辺鄙な地域で爆発するが、アメリカのニュース記事や放送にざっと目を通し、犠牲者数に詳しいような人はごくまれだ。

あらゆるマスコミがイラクの宗派間の武力衝突に注目し、お得意の報道テーマはイラク人対イラク人の武力衝突という大災害を強調する自爆だ。アメリカのレポーターや解説者達が、アメリカ占領こそが、大虐殺の犯人であり触媒であることに触れることはめったにない。

現在のブラックウォーター・スキャンダルで最も特異な点の一つは、殺人者がアメリカ人だったのに、最近のイラク民間人殺害を中心にしている点だ。この視点は、イラク人がお互いに何をしあっているのかに的を絞り、軍服を着ていようと、下請け業者としてであろうと、アメリカ人を、時として、ひどい環境の犠牲者になる善意のヒーローとして描き出す通常のマスコミの枠組みからは、はずれている。

多くの議員が、かなりの数のジャーナリスト同様、アメリカ政府がイラクで成功するのを、同社がをより困難にしていると悲嘆する美辞麗句のもとで、反ブラックウォーターの流れに飛び乗った。だがアメリカの戦争行動はあの国の中での恐怖を深め続けてきている。そしてワシントンの優先順序は、石油の価値の方が、人間生活の価値よりもはるかに大切なのだ。我々がアメリカ政府がイラクで成功するよう望む必要などあるだろうか?

ブラックウォーターと同社に対するアメリカ政府内の投資家のあの酷い傲慢さを、アメリカの戦争行動全体という大きな絵柄の中において見ないかぎり、この会社に対する非難は、アメリカ・マスコミのファインダーの外でエスカレートし続けるイラクにおけるアメリカ軍の存在そのものと、空爆に対する批判をそらす可能性がある。

現在のブラックウォーター・スキャンダルは、民間の傭兵であれ、軍服の兵士であれ、占領者が、自分たちが助けているのだと主張している人々に対して、大規模な暴力に頼っている時に必ず陥る力学を、我々が理解する手だてになるべきだ。

ブラックウォーターは、恐ろしい企業であったし、今後もそういう企業であり続けるだろうが、この暴利をむさぼる企業が、戦争への反対に対する避雷針に使われてはならない。民間警備部隊に対し、釈明義務責任を要求する新たな法律とて、間違った戦争を、それ以上正しいものにすることなど不可能なのだ。傭兵というより、人道主義者として売り込める、より良いポスターのモデルになる青年を探したとて、そもそも占領する権利など全くない国における銃を持ったアメリカ人の基本的な役割を変えることなどあり得ないのだから。

http://www.commondreams.org/archive/2007/10/16/4572/

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追記:09/08/25

2年後に、またもや、国家と民間企業の(殺人請け負い)外注癒着が発覚。さすが宗主国、やることのスケールが大きい。

オバマ政権、無人飛行機による殺害にブラックウォーターを活用

アメリカ暗殺部隊株式会社

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