報告書『アフガニスタン株式会社』によれば「コントラクターはひどい仕事で大儲け」
Democracynow
2006年10月5日放送分の翻訳(冒頭の一部省略)
次のゲストは、アフガニスタンにおけるアメリカの再建事業をしっかり観察してきた人物だ。彼女はコープウォッチが刊行した研究書「Afaganistan, Inc.」(アフガニスタン株式会社)で、ハリバートンの下請けケロッグ、ブラウン & ルート、ブラックウォーター、ルイス・バーガー・グループやレンドン・グループといった企業の再建事業について検討している。彼女の名前はファリバ・ナワだ。アフガニスタン系アメリカ人ジャーナリストで、過去三年の大半をアフガニスタンで暮らしていた。アフガニスタンに生まれたが、八歳の時に国外に逃れた。911攻撃の際には、ファリバはニューヨークで暮らしており、それから間もなく、祖国にジャーナリストとして帰国することにした。ファリバ・ナワさんはサンフランシスコから参加してくださる。
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エイミー・グッドマン:こちらはダーン・エバーツさんで、アフガニスタンにおけるNATOの上級民間人代表者です。
ダーン・エバーツ:アフガニスタンにおけるNATOの任務は困難なものです。そういう中で、アフガニスタンにおける課題は国際的な軍事力や治安作戦だけでは解決できないことを知っています。治安の向上は、再建、開発活動や効率的で透明な統治と平行すべきなのです。これが、過激主義と戦い、民主的な統治の影響を広げ、アフガニスタンの人々の生活を向上する唯一の方法です。
エイミー・グッドマン:今週始め、上院院内総務多数派リーダーのビル・フリストは、タリバンに対する戦いには決して勝利できないかも知れないと認めました。彼は、今や余りに多数のタリバン戦士がおり、彼らは民衆の支持を大いに受けていると言いました。フリストは、タリバン支持者をアフガニスタン政府に取り込むべきだと述べたのです。
この数ヶ月、タリバンがこの国の全域を支配していた。自爆攻撃が今年600%も増加して、治安状況は悪化しました。アヘンとけし栽培は記録的な多さです。
次のゲストはアフガニスタンにおけるアメリカの再建活動を綿密に監視してきた方です。彼女はコープウォッチから刊行された「Afaganistan, Inc.(=アフガニスタン株式会社)」という調査本の著者です。この本は、ハリバートンの子会社ケロッグ・ブラウン&ルート(KBR)、ディンコープ、ブラックウォーター、ルイス・ベルガー・グループ、レンドン・グループといった企業の再建活動を検証しています。
彼女の名はファリバ・ナワです。彼女はアフガニスタン系アメリカ人のジャーナリストで、過去三年のほとんどをアフガニスタンで暮らしていました。アフガニスタンに生まれましたが、8歳の時に国を脱出しました。9/11攻撃の時には、ファリバはニューヨークに暮らしていました。まもなく、ジャーナリストとして祖国に帰ることに決めたのです。ファリバ・ナワさんがサンフランシスコから出演してくださいます。デモクラシー・ナウにようこそ!
ファリバ・ナワ:よろしくお願いします。
エイミー・グッドマン:ご出演ありがとうございます。アメリカが先導した侵略の五年後のアフガニスタン、あなたの祖国の状況についてお話願えますか?
ファリバ・ナワ:ええ、今は良い状態ではありません。2001年にタリバン政権を転覆して以来、更にひどくなっていると思います。しかも悪化しつつあります。アフガニスタンで私が調査し、暮らした時以降、人々がまた出国しつつあります。戻ってきた避難民がまたもや大変な人数が家を売り払って国を去りつつあります。大人数の国外移住者達は、実際、私同様に、持続可能な変化がおきるだろうと大いに期待していたのですけれども、そうは行きませんでした。そこで私のような人間までが出国しているわけです。今はもう悲惨な状態です。治安、再建 -- 再建は概して、失敗だったと申し上げましょう。そして、それは過去数年の間に治安が悪化したのと、歩をともにしています。
エイミー・グッドマン: タリバン支持者をアフガニスタン政府に入れるべきだという上院院内総務多数派リーダー、ビル・フリストのコメントに対するあなたのご意見は?
ファリバ・ナワ:それに対して「はい」なり「いいえ」とお答えする前に、私は十分考える必要があるだろうと思うのです。それはタリバンが本来アフガニスタン人勢力ではないと思うからです。アフガニスタンとパキスタンは、今では非常に密接につながっていて、自爆テロ犯の多くは、例えばアフガニスタン人ではありませんでした。彼らはチェチェン人でした。彼らはアラブ人でした。彼らはパキスタン人でした。要するに、だれがアフガニスタン人で、だれがそうでないのかを区別するのはとても難しいのです。基本的にパシュトゥーン族の境界である長大な国境があるためです。
彼らが民衆の支持を得ているかどうかについですが、私はあの国で暮らし、地方の方言も話せます。特に都会では、民衆の支持を得ていません。アフガニスタン人がタリバンの復帰を望んでいるというのは誤解だと思うのです。アフガニスタン人はタリバンと暮らした時期に幸せだったわけではありません。これは正確な表現ではありません。これまで何も変わることのなかった南部の村では、若い女性は学校には決して行かず、女性は決して働くことができない場所では、民衆の支持がおそらくあったのかも知れないと思います。けれども、まあ国の大半の部分では、タリバンが戻ってきて、かつてそうしていたような恐怖政治を再び行うだろうということを人々は非常に恐れています。
エイミー・グッドマン:ファリバ・ナワさん「Afaganistan, Inc.」について話してください。刊行されたばかりのあなたのレポートについてお話ください。悪事の関係者の名前をあげてください。最大の契約をしている企業のことを、実際に起きていることをお話ください。
ファリバ・ナワ:アフガニスタンにおける最大のコントラクターはルイス・ベルガー・グループです。同社はニュージャージーのエンジニアリング・コンサルタント会社で、この会社は四から五年の期間に対して、最初に66、500万ドル受け取りました。同社はインフラストラクチャーの仕事を与えられたのです。それには、学校、病院、道路、発電所、ダムの建設と再建が含まれています。しかも連中は法外な仕事をしたのです。レポートに書いてありまして、彼らのプロジェクトのうちのあるものがどのように失敗したかという詳細が書いてあります。連中にはいくつか成功談がありますが、彼らのやった仕事の大半は、実は成功などしていないのです。膨大な資金にしては仕事の質は低いのです。彼らは、どこに病院があったのかさえ知らないような場所に病院を建てることになっていたのです。学校の屋根は、学校が使われる前に崩壊しました。建設された道路は使われる前から崩壊しています。しかもそれはアメリカの納税者のお金で行われているのです。
そこで、こうした企業はこれに対してどのように譴責されているでしょう? それが譴責されていないのです。この夏更にブラック&ヴィーチという名前の他の企業と、インフラストラクチャーやウズベキスタン経由でアフガニスタンに電力をひく作業を継続する14億ドルの契約の契約を獲得しました。しかし、それは容認できないことです。なぜなら彼らの実績は、仕事を満足にできないことを示しているからです。
「Afaganistan, Inc.」はまさにそうした再建の詳細について述べているのです。お金はどのようにしてやってきて、一体それがどこからやってきて、お金はどこに使われ、お金がどのように無駄にされているのか? ほとんどが、過去五年間国際社会からアフガニスタンに寄贈された100億ドルが不正に管理されて、無駄に使われているのです。その大半は各企業を通して、援助国に環流しています。そしてわずかに、推計がありまして、これがどれほど正確か知りませんが、そうしたお金の僅か30%が実際にプロジェクトそのものに使われるにすぎません。それが、あなたのレポートが書いていることですね。他の企業として私が触れたものにディンコープ、ハリバートン、あなたが触れられたレンドン・グループ。ケモニックスは農業のグループです。これらは大半がUSAID資金によるプロジェクトですが、国務省とペンタゴンのものもあります。
エイミー・グッドマン:ブラックウォーターについても触れられましたね。どんな仕事をしているのでしょうか?
ファリバ・ナワ:ブラックウォーターの仕事は治安で、アフガニスタン人の麻薬取り締まり部隊を訓練しています。しかも彼らは訴訟されています。良く訓練されていなかったパイロットがからんだヘリコプターの墜落事故です。でも私はさほどブラックウォーターの件を扱っていません。それで、あの会社のことを話す自信が余りないのです。
エイミー・グッドマン:アフガニスタン人のこうしたアメリカ企業に対する考え方はどうなのでしょう?
ファリバ・ナワ:ええ、私企業部門と公的部門について誤解がありますね。それでアフガニスタン人は、彼らは全てNGOで、NGOは何もしないので全て悪いと考えているように見えるのです。しかしこれは情報が欠如している為なのです。こうした私企業コントラクター。また私企業はNGOとも仕事をしているのです。例えば、ケモニックスは40のNGOと仕事をしており、ケモニックスは資金提供者です。けれど期待している結果が見えないので、アフガニスタン人は非常に怒っています。
それはそれで、色々な進歩もあります。家が建てられています。人々が働いています。タリバン時代よりも、今のほうが仕事が色々あるのですよ。タリバンが去って以来、都市部、特に北部と西部の多くの人々の、暮らしが良くなったことは議論の余地がありません。
でも、まだ6月に起きた暴動では、多数のビルが放火され、「アメリカに死を! カルザイに死を!」と言いながら人々が通りを行進していました。あれが、ほとんど一般の感じ方なのです。でもだからといって、それで彼らが、今、正統なアフガニスタン人レジスタンスによるレジスタンス活動があるようには思いません。ですから、政治家がそういう言い方をすると、どうも同意できないのです。
エイミー・グッドマン:現在のけしとアヘン生産の問題についてお話いただけますか?
ファリバ・ナワ:ええ、アフガニスタンは世界でも最大量のアヘンを生産していて、アヘンは精製されてヘロインになります。それが叛徒の資金源になっているのです。叛徒というのは、誰であれ政府に反対している人々で、グルブディン・ヘクマチアールのような人物もふくみます。彼は元ムジャヒディンのメンバーで、ソ連と戦う為にアメリカ合衆国から膨大な金額の現金を得ていました。つまりタリバンです。つまりあそこに出かけているアラブの戦士です。けしの収入が、イラクでアメリカ人と戦うのに使われているのは確実だと思います。
けれども、彼らは再建にも資金を出しているのです。皮肉なことに、麻薬密売組織のボスの多くが、例えば、北部では病院を建設しています。彼らがまるで期待しなかったことをやっているのに皆は気がついたのです。麻薬の儲けを一般にばらまくという、コロンビアのメデリンで起きた、ある種パブロ・エスコバール的な出来事が、今アフガニスタンでも起きているのだと思います。多くの人々が今、それを麻薬国家と呼んでいます。今やまず間違いなくDFPの60%を占めているでしょう。
エイミー・グッドマン:もうあと30秒ほどしかありませんが、女性について伺いたかったのです。アフガニスタンの女性は、五年前と比較して今の状況はいかがでしょう。
ファリバ・ナワ:都市では良くなっています。またもや地方と都市には大きな格差があり、これまでにも格差はあったのだと思います。けれども今や非常に、非常に怯えています。タリバンが去った直後には多幸感がありました。女性がTVで歌を歌い、好きな服を着ることもできました。しかし今では恐れています。カンダハールの女性問題担当の長官が先週暗殺されたばかりだからです。このような出来事は、痛感させるのですが、もはや同じではありません。女性達の多幸感はすっかり消え去り、そして皆恐れています。
エイミー・グッドマン:ファリバ・ナワさん、ご出演有り難うございます。ほとんど誘拐された形でアフガニスタンに帰られ、様々な困難に直面されながら、そこに残られ、長年にわたるご報告に関してもっと詳しくお話頂くよう、またご出演をお願いしたいと思います。過去三年の大半をアフガニスタンで暮らし、コープウォッチから「Afaganistan, Inc.」という報告本を出されたばかりのアフガニスタン系アメリカ人ジャーナリスト、ナワさん、今日はご出演有り難うございました。
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左派・市民派が結集するブログシーンに於いて、ケッタイな主張が、
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こんな酷い貧困の時代だというのに。
下掲は、3月8日付毎日新聞夕刊の一面トップ。
暗澹たる念いだ。一億総中流、社会主義の理想は西側陣営の日本に於いて
達成されたとまで喧伝された、あの日本は、どこへ行ったのであろうか。
原因は、冷戦の帰趨にある。左派勢力との政治決戦に大勝利した
保守勢力は、冷戦勝利のために編み出した、修正資本主義の修正箇所を
四半世紀かけて消して行った。それが、「戦後政治の総決算」の正体だ。
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